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交通事故知識ガイド高次脳機能障害Q&A

自賠責保険における高次脳機能障害審査の対象となる事案にはどのような事案がありますか。

弁護士からの回答

解説者の弁護士今村公治

以下のような事案が審査の対象となります。

自賠責保険における高次脳機能障害審査の対象となる事案について

以下のA又はBに該当する場合には、高次脳機能障害審査の対象とすることとなっています。

A 後遺障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する症状の残存が認められる(診療医が高次脳機能障害または脳の器質的損傷の診断を行っている場合)

→上記の場合には、他の要件を満たしているかどうかを問わず、高次脳機能障害の審査の対象とすることとされています。

B 後遺障害診断書において、高次脳機能障害を示唆する症状の残存が認められない(診療医が高次脳機能障害又は脳の器質的損傷の診断を行っていない場合)

→上記の場合には、①~⑤の条件のいずれかに該当する場合には高次脳機能障害の審査を行うこととされています。

①初診時に頭部外傷の診断があり、経過の診断書において、高次脳機能障害、脳挫傷(後遺症)、びまん性軸索損傷、びまん性脳損傷等の診断がなされている症例

→病名に着目した基準となります。その他、急性硬膜外血腫、前頭骨陥没骨折、外傷性てんかん、対側損傷、外傷性くも膜下出血、外傷性脳室内出血、急性硬膜下血腫、慢性硬膜下血腫、頭蓋底骨折などの傷病名も対象となると考えられます。

②初診時に頭部外傷の診断があり、経過の診断書において、認知・行動・情緒障害を示唆する具体的な症状、あるいは失調性歩行、痙性片麻痺など高次脳機能障害に伴いやすい神経系統の障害が認められる症例

→実際の症状に着目した基準となります。被害者ご本人様の考え方、行動、感情などに事故前と変化が生じている場合や、麻痺などの神経を原因とした症状がでている場合などが対象となります。

③経過の診断書において、初診時の頭部画像所見として頭蓋内病変が記述されている症例

→MRI、CTの画像所見に特に着目した基準となります。脳波、PET、SPECT、MRS、テンソル画像などもありますが、自賠責保険では、頭部外傷の場合、MRIとCTを重視しています。

④初診時に頭部外傷の診断があり、初診病院の経過の診断書において、当初の意識障害が少なくとも6時間以上、または、健忘あるいは軽度意識障害が少なくとも1週間以上続いていることが確認できる症例。
なお、意識障害とは半昏睡~昏睡で開眼・応答しない状態(JCSが3~2桁、GCSが12点以下)であり、軽度意識障害とはJCSが1桁、GCSが13~14点)とする。

→受傷直後の意識障害に着目した基準となります。GCSとはグラスゴーコーマスケールの略称、JCSはジャパンコーマスケールの略称で頭部外傷の際の意識の評価方法としてよく用いられる基準です。

⑤その他、脳外傷による高次脳機能障害が疑われる症例

→上記以外でも高次脳機能障害が疑われる症例はありますので、そのような症例が対象となります。

(平成23年3月4日付「自賠責保険における高次脳機能障害認定システムの充実について」(報告書) 自賠責保険における高次脳機能障害認定システム検討委員会参照)

注 上記は自賠責保険において調査を開始すべき事案としての条件です。上記の条件を満たしたとしても必ずしも高次脳機能障害として後遺障害認定がされるわけではありませんのでご注意ください。

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