交通事故証明書|もらい方や記載内容を弁護士が解説
最終更新日:2025年05月13日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
- Q交通事故証明書はどのようにもらえばよいですか?また、どのようなことが交通事故証明書には書いてありますか?
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交通事故証明書は、警察に届け出た事故であれば、自動車安全運転センターに申請することで取得できます。また、加害者側の保険会社が用意してくれることもあります。
証明書には、事故の日時・場所、当事者の氏名や車両情報、事故の類型、人身・物損の別などが記載されています。損害賠償請求や保険申請の際に重要な書類です。

目次

交通事故証明書とは
交通事故証明書とは、「実際に交通事故が発生したこと」を公的に証明する書類です。保険会社への保険金請求や、加害者に対して損害賠償を求める際などに必要となる重要な資料であり、発行は「自動車安全運転センター」という公的機関が行います。
この証明書は、事故の加害者・被害者のどちらでも申請・取得することができます。どちらか一方しかもらえないということはありません。
ただし、交通事故証明書を発行してもらうには、事故を警察に届け出ていることが前提条件となります。警察が現場を確認していなければ、証明書は作成されないのが原則です。そのため「相手が届け出たはず」と思い込まず、事故にあったら自分でも警察へ通報することが重要です。
証明書には、事故が発生した日時・場所、当事者の氏名・住所、関係する車両の情報、事故の種別(人身事故か物損事故か)などが記載されます。ただし、過失割合(どちらにどれだけの責任があるか)や損害額など、賠償に関する具体的な内容までは書かれていません。
交通事故証明書をもらう方法
交通事故証明書の申請は、郵便局・ゆうちょ銀行、自動車安全運転センターの窓口、またはインターネットのいずれかで申し込むことができます。ただし、警察に届け出をしていない事故については、証明書をもらうことができないので注意しましょう。
申請できるのは、事故の加害者や被害者はもちろん、損害賠償や保険請求に関係する家族や代理人など、正当な理由のある人に限られます。代理人が申請する場合は、委任状が必要です。事故からある程度の年数がたっていると発行してもらえないこともあります。
申し込み方法は次の3つです。
① ゆうちょ銀行・郵便局での申込み
申請用紙に必要事項を書いて、最寄りのゆうちょ銀行か郵便局の窓口に出します。証明書の発行には1通あたり800円の手数料がかかります。このほかに、払込料金(手数料)も別途必要です。
申請書は、センター事務所や警察署、交番、駐在所などに置いてあります。同じ証明書を何通も申し込むこともできますが、その分料金は増えます。
申し込みが完了すると、証明書は自宅や指定の住所に郵送されます。通常、手元に届くまでに10日ほどかかります。なお、申込用紙の形式は都道府県ごとに少し異なります。
詳しくは、交通事故証明書の申請方法(自動車安全運転センター)をご確認ください。
② センター事務所窓口での申込み
お近くの自動車安全運転センターの事務所に直接行き、申請用紙に記入して申し込みます。手数料は800円です。
警察から事故の情報がセンターに届いていれば、その日のうちに証明書を発行してもらえることがあります。ただし、警察からの資料がまだ届いていない場合や、他の都道府県で起きた事故の場合は、後日郵送になります。
どの都道府県で事故があった場合でも、最寄りのセンター事務所で申請できますが、即日交付できるのは、その場所が事故の発生地を担当しているセンターだった場合に限られます。
窓口の場所や申請用紙の見本についても、詳しくは交通事故証明書の申請方法(自動車安全運転センター)をご覧ください。
③ インターネットでの申込み
パソコンやスマートフォンを使って、インターネットから交通事故証明書を申し込むこともできます。この方法では、事故に関係した本人だけが申請できます。また、警察に届け出たときの住所に、今も住んでいることが原則として条件です。
手数料は800円で、払込手数料132円も必要です。支払いは、コンビニやネットバンキング、ペイジーなどを使って行います。申し込みから7日以内に支払いをしないと、自動的にキャンセルになります。
支払いが確認されたら、証明書は郵送で届きます。こちらも、だいたい10日くらいで届くと考えておきましょう。
インターネット申請の詳細や注意点については、交通事故証明書の申請方法(自動車安全運転センター)をご確認ください。
④ 加害者の保険会社からコピーをもらう方法
交通事故が起きたあと、多くの場合、加害者が入っている保険会社が、すでに交通事故証明書を取り寄せています。つまり、事故の被害者が自分で証明書を準備しなくても、保険会社がすでに持っていることが多いのです。
そのため、加害者の保険会社に損害賠償を求めるときには、わざわざ自分で証明書を申請する必要はありません。その保険会社に連絡すれば、コピーを送ってもらえる場合がほとんどです。保険の手続きなどでも正式な書類として使えます。
もちろん、このコピーを送ってもらうのに費用はかかりません。ただし、書類の準備や郵送には少し時間がかかります。何日くらいで届くかを事前に聞いておくと安心です。
事故後に必要な書類が足りないと思ったら、まずは加害者側の保険会社に「交通事故証明書のコピーをもらえますか?」と相談してみましょう。
交通事故証明書の記載内容
ここで、実際の交通事故証明書がどんなものかを見てみましょう。
引用元: 交通事故に関する証明書(自動車安全運転センター)
見本をもとに、証明書に書かれている主な項目を簡単に説明します。
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【事故照会番号】証明書の左上にある番号で、警察に問い合わせるときなどに使われます。
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【事故の発生日時・発生場所】事故が起きた日付と時間、そして正確な場所が書かれています。
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【当事者の情報】事故に関係した人の名前、年齢、住所、運転者か同乗者かなどが記載されます。
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【車両の情報】事故に関係した車のナンバーや車種、自賠責保険の有無や保険会社名などが書かれています。
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【事故の類型】事故がどういう形で起きたか(正面衝突、追突、人との接触など)を表しています。
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【人身事故か物損事故か】
事故の結果、けがをした人がいるかどうかが記載されます。「人身事故」ならけがあり、「物損事故(物件事故)」なら物だけが壊れた事故です。
もしけがをしているのに「物損事故」として届け出てしまうと、手続きが増えたり、あとから痛みは大したことがなかったのではないか等と疑念を抱かれたりすることがあります。痛みがあるなら、病院で診断書をもらい、「人身事故」として届出するのが無難でしょう。
交通事故証明書ではわからないこと
交通事故証明書は、「事故があったこと」を証明するための書類です。しかし、それだけでは事故のすべてを説明できるわけではありません。たとえば、次のような情報は、この証明書を見てもわかりません。
- なぜ事故が起きたのか(事故の原因)
- 事故を見ていた人の話(目撃者や証言)
- 壊れた物の内容や、どのくらいの損害が出たか(損害の内容や金額)
- 誰が加害者で、誰が被害者なのか(明確な区別)
- どちらにどれくらいの責任があるか(過失の割合)
実際にどちらがどれだけ悪かったかという「過失の割合」は、証明書では決まりません。当事者同士や、保険会社が話し合って決めるものです。つまり、交通事故証明書は事故の「基本情報」を伝えるだけで、事故の責任割合まで決めるものではないのです。
よくあるご質問
ここでは、交通事故証明書に関してよくある疑問とその回答を、わかりやすくまとめました。ご自身の状況にあてはまる内容があるか、確認の際にお役立てください。
証明書発行までどのくらいかかりますか?
申し込みの方法によって、発行までの日数は異なります。早ければその日のうちに発行されることもありますが、郵送やネット申請だと10日ほどかかることがあります。詳しくは、次の表をご覧ください。
申請方法 | 発行までの目安 |
---|---|
加害者の任意保険会社に依頼 | 数日 |
自動車安全運転センター窓口 | 最短で即日 |
郵便局・ゆうちょ銀行から申請 | 約10日 |
インターネットから申請 | 約10日 |
証明書を取得する費用はいくらですか?
交通事故証明書の発行には、1通あたり800円かかります。申し込み方法によっては、払込手数料が必要になることもあります。
詳しくは、次の表をご覧ください。
申請方法 | 証明書の取得費用 | 払い込み手数料 |
---|---|---|
加害者の任意保険会社に依頼 | 0円 | なし |
自動車安全運転センター窓口 | 800円 | なし |
郵便局・ゆうちょ銀行から申請 | 800円 | 数十円程度 |
インターネットから申請 | 800円 | 132円 |
交通事故証明書で加害者・被害者はわかりますか?
はっきりとはわかりません。
交通事故証明書には、当事者である両者の名前が「甲欄」と「乙欄」にそれぞれ記されていますが、そこから確実に「加害者」「被害者」がどちらかを判断することはできません。
たしかに、甲欄に加害者、乙欄に被害者が記載されることが多いのですが、それが絶対というわけではありません。書類だけを見て判断するのではなく、事故の状況や保険会社とのやりとりなど、全体の流れを見て確認する必要があります。
交通事故証明書で過失割合はわかりますか?
いいえ、わかりません。
交通事故証明書は、事故が起きた日時や場所、関係者の情報などをまとめたものですが、「どちらがどれだけ悪いか(過失割合)」は書かれていません。
過失の割合は、事故の状況をもとに、当事者や保険会社が話し合って決めていくものです。証明書はその判断材料のひとつにはなりますが、それだけで過失の割合まで判断することはできません。
物損事故から人身事故に切り替えたほうがよいですか?
はい。けがをしている場合は、早めに人身事故として切り替えることをおすすめします。
たとえ事故当初に物損事故として届け出ていても、あとから人身事故に変更することは可能です。病院で診察を受けて診断書を発行してもらい、それを持って警察に相談すれば、人身事故としての届けができます。
交通事故証明書には、「人身事故」か「物損事故」かを明記する欄があります。けがを負っているにもかかわらず、物損事故として処理されてしまうと、次のような不利益が生じる可能性があります。
- 人身事故扱いになっていない理由を聞かれたり、手続きが増えたりする可能性がある
- 痛みはたいしたことがなかったから物損扱いになっているのではないか等と疑念を抱かれる可能性がある
- 捜査がなされず、実況見分調書や供述調書などが作成されない
特に、相手方や警察から「物損事故で処理しておきましょう」と言われたとしても、体に痛みや違和感がある場合は、遠慮せず「人身事故として扱ってほしい」と伝えることが重要です。
なお、事故直後は気が動転していて自覚症状がなくても、数日後に痛みやしびれが出てくることも少なくありません。そのため、「大丈夫」と思っていても、まずは医師の診察を受け、必要に応じて人身事故として届け出ることで、後の補償手続きも円滑に進めやすくなります。
まとめ:交通事故証明書のもらい方や記載内容
交通事故証明書は、事故が起きたことを客観的に証明する大切な書類です。保険金の請求や損害賠償の手続きにおいて、必要になる場面も少なくありません。
こうした交通事故後の対応は、初めての方にとってはとてもわかりにくく、不安なものです。だからこそ、交通事故に詳しい弁護士に早めに相談することがとても大切です。
よつば総合法律事務所は、千葉を中心に、交通事故の被害回復のため日々活動をしています。「いつ相談したらいいの?」「保険会社の対応に納得できない」など、どんな小さな不安でもかまいません。初回相談は60分無料ですので、ぜひお気軽にご相談ください。
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