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交通事故知識ガイド交通事故と物損Q&A

ぶつけられた車を修理しようとしたら、保険会社から「全損だから時価までしか出せません。」と言われました。これはどういうことですか?

Q9:ぶつけられた車を修理しようとしたら、保険会社から「全損だから時価までしか出せません。」と言われました。これはどういうことですか?
A全損の場合には、事故当時の被害車両の時価額の補償が原則になります。

全損とは?

全損車が事故によってペチャンコになってしまったなど、物理的に全損になった場合はともかく、一見すると修理可能なように見えるけど全損と判断される場合があります。

それは、経済的全損の場合です。経済的全損とは、修理額及び買い替え諸費用の合計額が事故当時の被害車両の時価を超える場合をいいます。

全損の場合の賠償の範囲

交通事故の物損における損害賠償は、「車両の損傷を現状に回復するために相当かつ必要な費用」に限られます。つまり、修理費が車の時価を超えているにもかかわらず修理をしたような場合、その修理費は「相当かつ必要な範囲」を超えているとされてしまうのです。

そのため、全損の場合には、事故当時の被害車両の時価額の限度でしか補償がなされないのが原則的な扱いとなります。

時価はどうやって決めるのか?

被害車両の時価額は、中古車市場における価格のことをいいます。

この点、最高裁判所の判例でも、「中古車が損傷を受けた場合、当該自動車の事故当時における取引価格は原則として、これと同一の車種・年式・型、同程度の使用状態・走行距離等の自動車を中古車市場において取得するのに要する価格によって定める」とされています。

中古車市場における価格って具体的に何をみて判断するの?

裁判において中古車市場における価格は、オートガイド自動車月報(いわゆるレッドブック)を見て判断される場合が多いです。また、その他には、gooなどの中古車取引サイトでの取引価格を参考にしたり、減価償却の方法を使って価値を算定したりもします。

また、保険会社との交渉においても、だいたい裁判所と同様、レッドブックやインターネットの取引サイトの価格を参考として、時価額についての交渉が行われます。

例外的に時価額を超える修理費が損害として認められる場合

なお、例外的に、時価額を超える修理費を損害として認められる場合があります。

裁判例においても、①被害車両と同等同種の自動車を中古車市場において取得することが至難であり、あるいは、②被害者が被害車両の代物を取得するに足る価格相当額を超える高額の修理費を投じても被害車両を修理し、これを引き続き使用したいと希望することを社会通念上是認するに足る相当の事由が存する場合などの特段の事情がある場合、に認められるとされています(札幌地裁平成8年11月27日判決)(交通事故の法律相談242頁)

つまり、主観はともかくとして客観的に見てもどうしてもどうしてもどうしてもその車ではないとダメ、というよっぽどの場合には認められるということですね。

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