メニュー
交通事故知識ガイド交通事故と物損Q&A

車両保管料を損害として請求できますか。

Q18:車両保管料を損害として請求できますか。
A必要な期間の保管料であれば請求することが出来ます。

保管料が認められる場合

全損交通事故に遭った場合、車を一時的に保管して、修理に備えたり、買替を検討することがあります。

事故車両の修理費の見積もりを算出したり、時価額を検討するためには一定の時間を要しますので、その間、事故車両を修理工場等に保管しておいた場合、保管料がかかります。

この、事故車を廃車にするか否かを考慮するのに必要な期間の保管料は、原則として加害者が賠償すべき損害として認められます。

必要な期間を超えた保管料は賠償の対象とならない可能性がある

もっとも、判断をするのに必要な期間を超えた部分の保管料は否定されることがあるので注意が必要です。

例えば判例(大阪地判平成10年2月20日)で、事故車を廃車にするか否かを考慮するのに必要な相当の期間内の保管料は事故と相当因果関係があるとした上で、「原告車が全損になった旨主張している本件においては、事故と相当因果関係がある保管料として認められる範囲は、特段の事情のない限り、原告者につき、これを廃車にするか否かを考慮するのに必要な相当の期間内のものに限られるというべき」と判断したものがあります。

なおこの判例では、月額3万5千円、合計45万5,000円(約1年分)の保管料請求に対し、裁判所は、おおむね2週間程度で判断できたとして、1万7,500円の保管料のみを認めました。

賠償金の不払いを理由とする保管

では、保険会社が保険金を支払わないことを理由として、車両を修理も買替もせず、保管していた場合はどうでしょうか。冒頭のご質問のように、時価額などに争いがあり、保管期間が長くなってしまうケースもあると思います。

例えば判例では、保険金を支払わなくても事故車の修理・処分は可能であるとして全期間の保管料の必要を認めず、これを否定したものがあります(東京地判平成26年3月27日)。

もっとも、相手方保険会社が事故車が全損か否か等について連絡を怠っていた、交渉を怠っていた等の場合には、どこまでが判断に必要な期間として考えられるのか、検討の余地があると思われます。

証拠保全を理由とする保管

例えば、過失割合について争いになっており、後々紛争となることが予想される場合などは、事故車両の損傷態様が極めて重要な証拠となる場合があります。

しかし、修理又は解体処分をしてしまうと、証拠としての車両そのものが消えてしまいます。では、このような証拠の保全を理由として、保管をする場合、必要な期間と評価できるでしょうか。

この点、裁判例(東京地判平成13年5月29日)では、通常は写真をもって、車両の破損状態を保全すれば足りるとして、車両の保管料は車両自体が事案の解明に不可欠であるような特段の事情のない限り、事故と相当因果関係のある損害とは認められないとしたものがあります。

実際工学鑑定等を行う場合には、写真よりも事故車両そのもののほうが証拠としての価値が高い場合もあると思われます。ですので、写真をもって、車両の破損状態を保全すれば足りると一概にはいえないような気がします。

まとめ

以上、保管料は、事故車を廃車にするか否かを考慮するのに必要相当な期間であれば、賠償の対象となる一方、これを超える期間のものになると否定される可能性がありますので注意が必要です。

保管の必要性の有無の判断は、難しいケースもありますので、そのような場合は専門家にお問い合わせください。

交通事故と物損Q&A一覧へ戻る