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所有権留保特約付き車両の損害賠償請求は誰が出来ますか。

Q19:所有権留保特約付き車両の損害賠償請求は誰が出来ますか。
A買主が請求することが出来ると考えられます。

所有権留保特約

損害賠償請求車を割賦販売(オートローン)等で購入した場合、月々の購入費用を完済するまで、購入した車を担保に入れ、車の所有権を売主に留保しておくという形態がとられることがあります。買主は代金完済時に、車の完全な所有権を取得します。買主が代金の支払いを滞納すると、せっかく買った車は引きあげられてしまうことになります。実際には、車そのものは買主に契約日から引き渡され、これに乗ることができるので、外見上は通常の売買と何ら変わらないかもしれませんが、車検証などにはこのことがわかるように必ず記載されています。

この場合も、リース契約と同様に車両の所有者が買主ではなく、売主にあるため、誰が修理費用等の損害賠償請求ができるかということが問題となります。

すなわち、車両の所有権を侵害されたことを理由とする、不法行為に基づく損害賠償請求が可能なのは、当該車両の所有者、すなわち買主ではなく売主ではないかという点が問題になるのです。

修理費を損害賠償請求できるのは

もっとも、結論から言えば、所有権留保特約付き車両について生じた損害の賠償請求をできるのは、買主である可能性が高いでしょう。

例えば、京都地判平成24年3月19日判決は、「この場合、債権者に留保された所有権の実体は担保権であり、A車の実質的な所有権は原告に帰属すると解することができ、原告は、第三者の不法行為により同車を損傷された場合、同社に対する完全な支配を回復するため、当該第三者に対し、不法行為による損害賠償として修理費相当額を請求できると解すべきである」と判断しました。

また、東京地判平成15年3月12日判決は、「買主は、条件成就によって所有権を取得する期待権を有するとともに、当該車両の利用権を有するのであり、毀滅に至らない程度の損傷を受けた場合は、買主ないしはその意思に基づいて使用する者が、その利用権を侵害されたことを理由として、実際に支出したか、あるいは支出を予定する修理費の賠償を求めることができる」と判断し、実際に修理をしていなくても、利用権の侵害を理由に、修理費の賠償を求めることが出来ると判断しました。

代車使用料の請求をできるのは

所有権留保車両が使用できなくなった場合、その間車両を使用し得るのは買主であると考えられますので、代車の使用料を請求できるのは、買主であると考えられます。

一方で、評価損(格落ち)等の車両そのものの損害賠償請求権は、所有者である売主に帰属するものと考えられます。

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