脛骨顆部骨折(高原骨折)

最終更新日:2026年08月20日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

脛骨顆部骨折(けいこつかぶこっせつ)とは、脛骨の上端部の骨折で、膝の部分のけがです。

この記事では、脛骨顆部骨折(高原骨折)について、原因や治療法、後遺障害の認定基準などを交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

脛骨顆部骨折は専門的な判断が必要です。気になることやお悩みがある場合は、まずはよつば総合法律事務所へお問い合わせください。

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脛骨顆部骨折

脛骨顆部骨折とは、すね(脛骨)の上端部、膝にあたる部分の骨折です。高原骨折、プラトー骨折、脛骨近位端骨折とも呼ばれます。

脛骨上端部の平らな面を「高原」にたとえてこのように呼ばれています。「プラトー」とは、英語で高原のことです。

紛らわしいですが、脛骨「果部」骨折は足首の骨折ですので、全く異なるものです。両方とも同じ「けいこつかぶこっせつ」と読みますが注意が必要です。

脛骨顆部骨折の原因と症状

脛骨顆部骨折は、膝に衝撃が加わったときに起こります。膝の広範囲に強いエネルギーが加わることが通常なので、脛骨顆部骨折が単独で起こることは少なく、膝の靭帯損傷や脱臼、膝蓋骨骨折などを伴うことが多いです。

症状は、受傷直後から、激痛、腫脹、膝の変形、痛みによる運動制限などが出現し、通常は歩くことができません。

脛骨顆部骨折の診断

脛骨顆部骨折は、レントゲン撮影で明らかになることが多いですが、より立体的に判断するためにはCT撮影も行われます。

なお、合併して発症しやすい軟骨・靱帯・半月板の損傷は、レントゲンやCTではわかりません。骨以外の組織の損傷が疑われるときは、MRI検査が必要です。関節鏡検査が行われることもあります。

脛骨顆部骨折の治療

脛骨顆部は、密度の高い皮質骨の部分が薄く、中にスポンジ状の海綿骨が詰まっています。そのため、強い力が加わると潰れて凹む陥没骨折となりやすくなっています。

また、海綿骨内部に空洞が生じ骨欠損となると、土台がスカスカであるため強固な内固定(スクリュー固定)が得られにくいという問題があります。

そのため骨欠損部を生じた場合には、空洞に骨(人工骨や自家骨)をぎっしり詰めて補強する骨移植が必要です。

脛骨顆部骨折になると、多くの場合は手術が選択されます。膝は体重がかかる重要な関節であるため、わずかな凹みでも残ってしまうと変形性膝関節症の原因となってしまうためです。

稀に陥没や転位(骨がずれたり曲がったりすること)のない場合に限り、保存的にギプス固定が選択されることもあります。

脛骨顆部骨折の治療期間ですが、全荷重をかけることが許可されるまで8~12週間程度かかることが多いです。

手術後のリハビリは、膝の可動域制限を防止する観点から、持続的他動運動器(CPM)が使用されています。

持続的他動運動器(CPM)

持続的他動運動器(CPM)とは、患者自身が力を入れなくても、機械が自動で足を曲げ伸ばししてくれる装置で、自動でゆっくり関節を動かすことで、関節液の循環を促し、軟骨の回復を早めたり腫れ・痛みを引きやすくしたりすることができます。

脛骨顆部骨折の種類

脛骨の上端部の外側部を、「外顆」または「外側顆」(細長い腓骨が接続している側)、内側部を「内顆」または「内側顆」と呼んでいます。

脛骨顆部骨折は、外側顆に多く、陥没骨折の形態となるのが特徴です。下部のイラストは、見た目ではいずれも骨の上端部がほんの少し骨折したイメージですが、実は軟骨損傷を伴う重傷です。

脛骨顆部骨折(軟骨損傷を伴う重症)

  • ①は、骨が陥没せず縦割れとなっている状態(割裂骨折)です。
  • ②は、骨が縦に割れるとともに、関節面が下へ陥没している状態(割裂陥没骨折)です。
  • ③は、縦割れはなく、関節面の中央部分だけが下にめり込んで凹んでいる状態(陥没骨折)です。
  • ④は、内側顆の骨折で、高エネルギーの衝撃で起こりやすいものです。
  • ⑤は、外側顆と内側顆の両方の骨が割れている、両顆骨折といわれる状態です。
  • ⑥は、両顆骨折に加えて、脛骨の骨幹部も骨折が認められる最も重度な状態です。

②の割裂陥没骨折に加えて骨折片の転位が認められるときは、関節面を平らに戻すとともに骨折片をスクリューまたはプレートで整復して固定がなされます。このタイプは関節面の壊れ方がひどくなるため、後遺障害を残しやすく、正確な整復が必要です。

③の陥没骨折では、陥没部の真下側に穴をあけ、関節面を整復し、できた空洞に自分の腸骨や人工骨を埋め、スクリューで固定します。

④⑤⑥ではいずれも内側顆に骨折が生じています。この場合、内側顆に僅かな転位があっても内反変形、すなわちO脚変形となることが予想され、放置すると、将来、変形性関節症になりやすいので、手術により、しっかりと固定しなければなりません。

脛骨顆部骨折は、膝の靱帯損傷や半月板損傷を合併することが多いです。関節面に段差を骨移植、内固定をしっかり行って戻すことは当然重要なのですが、合併する靱帯損傷についても関節鏡を使用して修復し、半月板損傷は可能であれば縫合、不可能であれば切除する必要があります。

関節面の整復を正確に実施できないと、被害者は近い将来、外傷性膝関節症に悩まされることになります。

脛骨顆部骨折の後遺障害

脛骨顆部骨折は、関節面の骨折であり、後遺障害が認定されるケースが多いです。

陥没骨折が起きたときは、膝部外顆関節面の軟骨損傷を伴うことから、変形性関節症に発展することもあります。
頻度は少ないものの、内顆骨折の場合も重症化しやすいため、後遺障害に注意が必要です。

脛骨顆部骨折で認定されうる主な後遺障害は、機能障害(下肢)、変形障害、短縮障害、神経障害の4種類です。

関節の機能障害
8級7号 1下肢の三大関節中の1関節の用を廃したもの
10級11号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
変形障害
12級8号 長管骨に変形を残すもの

なお、骨移植を行うことにより腸骨に変形が生じ、「骨盤骨に著しい変形を残すもの」(12級5号)に該当する可能性もあります。

ただし、裸体で変形が明らかに分かる程度のものであることが認定の要件であるため(たとえば、XP画像で初めて発見できる程度のものでは認定されません。)、腸骨からの骨採取量がそれほど多くなることはなく、要件を満たさないことが大半です。

短縮障害
8級5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
神経障害
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

機能障害(関節の動く範囲の制限)

機能障害は、関節が動く角度を測定し、異常があるときの後遺障害です。動かない程度が大きいほど上位の等級になります。

脛骨顆部骨折の場合、膝関節の機能障害が考えられます。

8級7号 1下肢の三大関節中の1関節の用を廃したもの
10級11号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

膝関節の可動域制限の場合、原則として屈曲と伸展による運動を参照します。

可動域の測定にはルールがあります。詳細は関節可動域表示並びに測定法(日本リハビリテーション医学会)をご確認下さい。

認定のためには、単に数値上の基準を満たすだけではなく、そのような可動域の制限が生じることについて医学的な説明ができることが必要です。脛骨顆部骨折の場合、できれば3DCTで骨癒合状況を、MRIで軟骨損傷のレベルを立証する必要があります。

「用を廃したもの」(8級)

「用を廃したもの」(8級)とは次のいずれかの場合です。

  1. 関節が全く動かない場合
  2. 関節の可動域が、負傷していない側の1/10以下に制限されている場合
  3. 人工関節置換術を行い、可動域が負傷していない側の1/2以下に制限されている場合
脛骨顆部骨折は、プレートやスクリューによる固定が一般的ですが、整復が不可能なほど粉砕している場合や重度の変形性膝関節症に発展する場合は、人工関節が選択されることもあります。

著しい機能障害(10級)

「関節の機能に著しい障害を残すもの」(10級)とは次のいずれかの場合です。

  1. 関節の可動域が、負傷していない側の1/2以下に制限されている場合
  2. 人工関節置換術を行った場合

現在は関節鏡術が進化したこともあり、著しい機能障害(10級)を残す例は少なくなっているようです。

機能障害(12級)

「関節の機能に障害を残すもの」(12級)とは次の場合です。

  1. 関節の可動域が、負傷していない側の3/4以下に制限されている場合

脛骨顆部骨折は、関節面に及ぶ骨折であることが多いため12級が認定されるケースは多いです。

変形障害

変形障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

12級8号 長管骨に変形を残すもの

長管骨に変形を残すもの(12級8号)

長管骨とは長く伸びた管状の骨のことです。脛骨もこれに該当します。

長管骨に変形を残すもの(12級)とは、脛骨顆部骨折の場合、次のいずれかに該当するケースが考えられます。

  1. 脛骨が15度以上屈曲して不整癒合したもの
  2. 脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの

短縮障害

短縮障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

8級5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

短縮障害の認定においては、上前腸骨棘と下腿内果下端間の長さを健側の下肢と比較して測定します。上前腸骨棘とは、骨盤骨の横の一番突出している部分です。下腿内果下端とはくるぶしの一番下の部分です。

脛骨顆部骨折では、3センチメートル以上の短縮が生じることは稀です。跛行(歩くときに体が左右に揺れる現象)が生じている時には、脚長差による可能性があるため、上記の方法で長さを測定してもらいましょう。

神経障害

神経障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

12級は、画像や検査結果から客観的に異常が分かり、痛みが残ることが医学的に証明できる場合です。

たとえば、次のような場合は12級になることがあります。

  1. 骨が変形してあるいは不整に癒合して、これが原因で痛みが生じる場合
  2. 関節面に不整(段差や凸凹)を残して骨癒合して、これが原因で痛みが生じる場合

脛骨顆部骨折の場合、患側(かんそく:けがをした側)と健側(けんそく:健康な側)の膝関節部のXP正面像の撮影をし、両者を比較することにより、患側に関節裂隙狭小化や軟骨下骨が厚く硬くなっている状態(骨硬化)があることを立証する方法があります。

さらに、MRI、3DCTで軟骨下骨の骨硬化や関節面の不整があることなどを立証することができれば、「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)が認定される可能性があります。

14級は、痛みが残ることが医学的に証明されているとまではいえないが、医学的に説明可能な場合です。

つまり、客観的な所見から痛みが生じる原因が明らかとはいえないものの、受傷態様や治療内容、症状の一貫性などから、将来にわたり痛みが残ることが医学的に説明できる場合です。

まとめ:脛骨顆部骨折の後遺障害

脛骨顆部骨折とは、膝の脛骨部分の骨折です。陥没骨折の場合は、骨移植をして空洞部分を埋める手術が必要になります。骨折の形態に応じて正確に整復できないと可動域制限や、疼痛が残存する可能性があります。靱帯損傷や半月板損傷にも注意が必要です。

後遺障害が認定されることも多く、認定され得る後遺傷害は、機能障害・変形障害・短縮障害・神経障害で8級から14級まで等級があります。

脛骨顆部骨折の後遺障害は専門的な判断が必要です。お困りの際は、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

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