高次脳機能障害と脳しんとうの違い
最終更新日:2023年6月27日
監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎
- Q高次脳機能障害と脳しんとうの違いは何ですか?
- A高次脳機能障害は脳が損傷し、後遺障害となることが多いです。脳しんとうは一時的なもので、後遺障害となることは少ないです。
―――― 目次 ――――
高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
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脳しんとうとは
脳しんとうとは、外傷による精神機能または意識レベルの変化です。意識が消失する場合もありますが、脳の構造に明らかな損傷はみられず、6時間以内に治まります。
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よく発生する出来事
高次脳機能障害は交通事故など強い刺激を頭部に受けたときに発症することが多いです。他方、脳しんとうはスポーツ中に発生することが多いです。
脳の損傷の有無
高次脳機能障害は脳に器質的な損傷があります。「脳が傷つく」ということです。他方、脳しんとうでは脳に器質的な損傷は発生しません。
症状の違い
高次脳機能障害は次のような症状があることが多いです。
- 記憶障害
- 注意障害
- 遂行機能障害
- 社会的行動障害
他方、脳しんとうは次のような症状があることが多いです。
- 頭痛
- めまい
- ふらつき
- 力が出ない
- 集中できない
後遺障害の可能性の違い
高次脳機能障害は後遺障害となる確率が高いです。他方、脳しんとうは完治することが多いです。
高次脳機能障害の後遺障害
高次脳機能障害の後遺障害は1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級、14級の可能性があります。
等級 | 認定基準 |
---|---|
1級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの |
2級1号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの |
3級3号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの |
5級2号 | 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
7級4号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの |
9級10号 | 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの |
12級13号 | 局部に頑固な神経症状を残すもの |
14級9号 | 局部に神経症状を残すもの |
脳しんとうの後遺障害
交通事故で脳しんとうとなったとき、後遺障害認定の可能性はあるでしょうか?
脳しんとうは完治することが多いです。そのため、通常は後遺障害にはなりません。ただし、何らかの症状が6カ月経過後も続いているとき、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)の後遺障害となる可能性はあります。
まとめ:高次脳機能障害と脳しんとうの違い
高次脳機能障害は脳が損傷し、後遺障害となることが多いです。脳しんとうは一時的なもので、後遺障害となることは少ないです。
(監修者 弁護士 大澤 一郎)