大腿骨骨幹部骨折

最終更新日:2026年07月07日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

大腿骨骨幹部骨折とは、太ももにある大腿骨の中心部分が折れる骨折です。

この記事では、大腿骨骨幹部骨折について、原因や治療法、後遺障害の認定基準などを交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

大腿骨骨幹部骨折は専門的な判断が必要です。気になることやお悩みがある場合は、まずはよつば総合法律事務所へお問い合わせください。

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大腿骨骨幹部骨折

大腿骨骨幹部骨折とは、太ももにある大腿骨の「骨幹部」、すなわち関節に接していない真ん中のまっすぐな部分が折れることです。

大腿骨骨幹部骨折の原因

大腿骨は体の中で一番太くて頑丈な骨ですので、これが折れてしまうということは、非常に大きな力が加わったことになります。交通事故では、大腿部に車の衝突などによる衝撃を受けたときなどに多く発生します。

衝突の衝撃で空中に投げ出され、太ももや膝を地面に打ちつけて転倒したときは、ねじれるような力が加わって骨折することがあります。

大腿骨骨幹部骨折の種類

大腿骨骨幹部骨折は、その折れ方によっていくつか種類があります。

大腿骨骨幹部骨折

① 横骨折

骨の長軸に対して垂直(真横)に折れた状態です。

② 斜骨折

骨の長軸に対して斜めに折れた状態です。大腿骨にダイレクトに強い衝撃が加わったときに起こりやすい骨折です。

③ らせん骨折

骨に強いねじれの外力が加わったときに、螺旋(スパイラル)状に巻き付くように折れる骨折です。

④ 粉砕骨折

衝突の衝撃が相当に大きいときに、骨折部分がバラバラになってしまう骨折です。

大腿骨骨幹部骨折の治療

急性期には、骨折した部位の腫れ、激しい疼痛があり、歩くことはできません。

もっとも、大腿骨骨幹部は血行が良好であるため、骨折後は骨癒合がしやすく、治りやすいです。

治療方法についてですが、大腿骨は筋力が豊富な部位であることから、骨折すると筋肉の収縮により大きな転位が生じやすく、徒手整復(手術をせずに手で元の位置に戻すこと)は困難です。

かつては、「直達牽引+ギプス固定」の保存療法が主体でした。直達牽引とは骨にピンを刺して「重し」で引っ張る方法です。これにより骨を整復して、その後何カ月もギプスで固めます。この方法は、「入院が何カ月も続く」「筋力が落ちる」「関節が固まる」といったデメリットが指摘されていました。

直達牽引+ギプス固定

現在では、手術をして体内からしっかり固定するのが主流です。今も牽引は行いますが、手術を行うまでの間、筋肉の収縮で下肢短縮が起こることを防いだり、整復位を保ったりする目的で一時的に行われます。

手術の方法は、内固定と創外固定があります。そして内固定には、髄内釘固定、プレート固定などの種類があります。

髄内釘固定

髄内釘固定は、骨の芯(空洞部分)に金属の太い棒を通し、上下をボルトで留める方法です。大腿骨骨幹部骨折では最もよく使われます。

プレート固定

プレート固定は、以下の図のように、骨の表面に金属の板(プレート)を当てて、ネジで留める方法です。

プレート固定

創外固定

開放骨折や粉砕骨折のときは、創外固定が行われます。傷口のまわりの正常な皮膚から骨にピンを刺し、体の外側にある頑丈なフレーム(枠組み)で骨を支える方法です。傷口の治療や消毒がしやすいという大きなメリットがあります。

大腿骨骨幹部骨折の後遺障害

大腿骨骨幹部骨折は、血行が良好であるため、改善することが多いです。

もっとも骨折の程度が重く、骨がうまくくっつかなかった、変形してくっついてしまったようなケースでは、後遺障害が認定される可能性があります。

大腿骨骨幹部骨折で認定される可能性がある主な後遺障害は、偽関節・変形障害、短縮障害、神経障害の3種類です。

大腿骨の真ん中で、上下の股関節・膝関節と遠い部分の骨折であるため、関節の機能障害(動く範囲の制限)が残る割合は低いです。

偽関節・変形障害
7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級9号 1下肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの
短縮障害
8級5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
神経障害
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

偽関節・変形障害

偽関節・変形障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級9号 1下肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの

下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの(7級10号)

下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの(7級)とは、大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残す場合で、常に硬性補装具を必要とする場合です。

下肢に偽関節を残すもの(8級9号)

下肢に偽関節を残すもの(8級)とは、大腿骨の骨幹部等に癒合不全を残す場合で、常には硬性補装具を必要としない場合です。

長管骨に変形を残すもの(12級8号)

長管骨とは長く伸びた管状の骨のことです。大腿骨もこれに該当します。

長管骨に変形を残すもの(12級)とは、大腿骨骨幹部骨折の場合、次のいずれかに該当するケースが考えられます。

  1. 大腿骨が15度以上屈曲して不正癒合したもの
  2. 大腿骨(骨端部を除く)の直径が2/3以下に減少したもの
  3. 大腿骨が外旋45度以上又は内旋30度以上変形癒合しているもの

短縮障害

短縮障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

8級5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

短縮したもの

短縮障害の認定においては、上前腸骨棘と下腿内果下端間の長さを健側の下肢と比較して測定します。

上前腸骨棘とは、骨盤骨の横の一番突出している部分です。下腿内果下端とはくるぶしの一番下の部分です。

大腿骨の骨幹部は、体重がかかる部分であるため、骨折部分が縮んだり、骨が重なり合ったりすることで短縮が生じる可能性があります。跛行(歩くときに体が左右に揺れる現象)が生じているときには、脚長差による可能性があるため、上記の方法で長さを測定してもらいましょう。

過成長

子どもが大腿骨を骨折すると、骨折をきっかけに成長が促進され、骨折した側が健側と比較して長くなる、過成長とよばれる障害が起こることがあります。

過成長についても短縮の場合に準じ、健側と比較した長さに応じてそれぞれ8級、10級、13級が認定される可能性があります。

神経障害

神経障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

12級は、画像や検査結果から客観的に異常が分かり、痛みが残ることが医学的に証明できる場合です。

たとえば、骨が変形してあるいは不正に癒合して、これが原因で痛みが生じる場合は12級になることがあります。

14級は、痛みが残ることが医学的に証明されているとまではいえないが、医学的に説明可能な場合です。

つまり、客観的な所見から痛みが生じる原因が明らかとはいえないものの、受傷態様や治療内容、症状の一貫性などから、将来にわたり痛みが残ることが医学的に説明できる場合です。

まとめ:大腿骨骨幹部骨折の後遺障害

大腿骨骨幹部骨折とは、大腿骨の真ん中の部分の骨折です。骨折直後は強い痛みがあり歩けませんが、血液の流れが良好で豊富に栄養が運ばれてくるため、骨は元通りにくっつくことが多いです。

骨の修復力は比較的高い傾向にありますが、非常に大きな衝撃を受けるけがであるため、変形や短縮、あるいは痛みが残るといった後遺障害が認定されるケースは十分に考えられます。

認定され得る後遺障害は、変形障害・偽関節、短縮障害、神経障害で7級から14級まで等級があります。

大腿骨骨幹部骨折の後遺障害は専門的な判断が必要です。お困りの際は、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

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