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交通事故知識ガイド下肢及び足指

股関節その5

股関節その5 股関節中心性脱臼

股関節中心性脱臼とは、股関節内方脱臼ともいいます。
大腿骨頭が骨盤内部に向かって転位するものです。
交通事故においては、後方脱臼骨折がダッシュボード損傷で生じることが多いのと異なり、股関節中心脱臼は、大転子部に対する外力、つまり側方からの力が加わることによって発生することが多いです。 自転車・バイクVS自動車の衝突で、自転車・バイクの運転者に生じてしまうことが多いです。

関節包が敗れることは少ないのですが、大腿骨頭を介して寛骨臼蓋底が骨折し、大腿骨頭が臼底を破って、大腿骨転子部まで骨盤内部に陥没します。
一般的な治療としては、大腿骨の遠位部または大転子部に鋼線を刺入してそこを力点とし、直達牽引を行います。

膝付近の大腿骨に鋼線を刺入してその部分に力を加える方法により牽引をしています。

牽引
これにより、大腿骨を臼蓋底から引っ張りだし、臼蓋底骨折部が自然に癒合するのを待ちます。関節面が正しく整復されたものであれば、7週間~9週間牽引して骨癒合を待ちます。
その後、リハビリテーションに移行します。

股関節中心性脱臼における後遺障害のポイント

1)直達牽引により、臼蓋底骨折部の骨癒合が良好に推移すれば、骨頭壊死に至る可能性は低く、予後は良好です。後遺障害に至ることもあまりありません。

2)骨頭壊死に至る可能性は低いものの、将来、変形性股関節症や骨化性筋炎に至ることが考えられます。
そうなったときは、股関節中心性脱臼の治療中の3DCTやMRI画像を用いる必要性が生じることもありえます。そのため、受傷時だけでなく、治療中や癒合状況の撮影も行ったほうが良いです。