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交通事故知識ガイド交通事故による後遺障害の解説

口の後遺障害

最終更新日:2024年1月19日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

口の後遺障害
口の後遺障害は、障害の種類と程度によって等級が決まります。

この記事では口の後遺障害が残る被害者にむけて、咀嚼障害や言語機能障害・歯牙障害・味覚障害の認定基準、認定のポイントなどを交通事故に詳しい弁護士が解説します。

口の後遺障害は専門的な判断が必要です。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

1. 口の後遺障害

口の後遺障害には、咀嚼(そしゃく)障害や言語機能障害、歯牙(しが)障害、味覚障害があります。

障害の種類と程度により、後遺障害の等級が決まります。

種類 等級 障害の程度
咀嚼言語 1級
2号
咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3級
2号
咀嚼又は言語の機能を廃したもの
4級
2号
咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
6級
2号
咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
9級
6号
咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
10級
3号
咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
歯牙障害 10級
4号
14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級
4号
10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
12級
3号
7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
13級
5号
5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
14級
2号
3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
味覚障害 12級
相当
味覚脱失
14級
相当
味覚減退

2. 咀嚼障害や言語機能障害

咀嚼障害とは食べ物をかむ機能の障害です。言語機能障害とはしゃべる機能の障害です。

1級2号 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
3級2号 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
4級2号 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
6級2号 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
9級6号 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
10級3号 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
Q 「咀嚼及び言語の機能を廃したもの」(1級2号)とはどのような場合ですか?
  • 次の①②両方が認められる場合です。
    ① 流動食以外は摂取できない状態
    ② 4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち3種以上を発音不能

【解説】

  • 「咀嚼機能を廃したもの」とは、流動食以外は摂取できない状態です。
  • 「言語の機能を廃したもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち3種以上を発音不能のものをいいます。語音を形成するために、口腔等附属菅の形を変える構音が障害されると、言語機能に支障をきたします。
  • 口唇音とは、子音のうち「は行音、は行音、ま行音、ぱ行音、ば行音、わ行音、ふ」のことです。
  • 歯舌音とは、子音のうち「な行音、た行音、だ行音、ら行音、さ行音、しゅ、し、ざ行音、じゅ」のことです。
  • 口蓋音とは、子音のうち「か行音、が行音、や行音、ひ、にゅ、ぎゅ、ん」のことです。
  • 喉頭音とは、子音のうち「は行音」のことです。
Q 「咀嚼又は言語の機能を廃したもの」(3級2号)とはどのような場合ですか?
  • 次の①②いずれかが認められる場合です。
    ① 流動食以外は摂取できない状態
    ② 4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち3種以上を発音不能

【解説】

  • 「咀嚼機能を廃したもの」とは、流動食以外は摂取できない状態です。
  • 「言語の機能を廃したもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち3種以上を発音不能のものをいいます。
Q 「咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの」(4級2号)とはどのような場合ですか?
  • 次の①②両方が認められる場合です。
    ① 粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できない状態
    ② 4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち2種以上を発音不能のもの又は綴音機能に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないもの

【解説】

  • 「咀嚼機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できない状態です。
  • 「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち2種以上を発音不能のもの又は綴音機能に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないものをいいます。綴音とは、二つ以上の単音が結合した言語音のことです。
Q 「咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの」(6級2号)とはどのような場合ですか?
  • 次の①②いずれかが認められる場合です。
    ① 粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できない状態
    ② 4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち2種以上を発音不能のもの若しくは綴音機能に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないもの

【解説】

  • 「咀嚼機能に著しい障害を残すもの」とは、粥食又はこれに準ずる程度の飲食物以外は摂取できない状態です。
  • 「言語の機能に著しい障害を残すもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち2種以上を発音不能のもの又は綴音機能に障害があるため、言語のみを用いては意思を疎通することができないものをいいます。綴音とは、二つ以上の単音が結合した言語音のことです。
Q 「咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの」(9級6号)とはどのような場合ですか?
  • 次の①②両方が認められる場合です。
    ① 固形食物の中に咀嚼できないものがあること又は咀嚼が十分に確認できないものがありそのことが医学的に確認できる場合
    ② 4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち1種の発音不能のもの

【解説】

  • 「咀嚼機能に障害を残すもの」とは、固形食物の中に咀嚼できないものがあること又は咀嚼が十分に確認できないものがありそのことが医学的に確認できる場合です。たとえば、ごはん、煮魚、ハムは咀嚼できるが、たくあん、らっきょう、ピーナッツなど一定の方さの食べ物は咀嚼できない場合がこれにあたります。
  • 「医学的に確認できる場合」とは、不正咬合、咀嚼関与筋群の異常、開口障害、歯牙損傷(補てつができない場合)等咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあることの原因が医学的に確認できることをいいます。
  • 「言語の機能に障害を残すもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち1種の発音不能のものをいいます。
Q 「咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの」(10級3号)とはどのよな場合ですか?
  • 次の①②いずれかが認められる場合です。
    ① 固形食物の中に咀嚼できないものがあること又は咀嚼が十分に確認できないものがありそのことが医学的に確認できる場合
    ② 4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち1種の発音不能のもの

【解説】

  • 「咀嚼機能に障害を残すもの」とは、固形食物の中に咀嚼できないものがあること又は咀嚼が十分に確認できないものがあり、そのことが医学的に確認できる場合です。
  • 「医学的に確認できる場合」とは、不正咬合、咀嚼関与筋群の異常、開口障害、歯牙損傷(補てつができない場合)等咀嚼ができないものがあること又は咀嚼が十分にできないものがあることの原因が医学的に確認できることをいいます。
  • 「言語の機能に障害を残すもの」とは、4種の語音(口唇音、歯舌音、口蓋音、喉頭音)のうち1種の発音不能のものをいいます。

咀嚼と会話

3. 口の後遺障害

歯牙障害とは、歯の後遺障害です。本数によって後遺障害等級が決まります。

10級4号 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
11級4号 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
12級3号 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
13級5号 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
14級2号 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
Q 「14歯以上に対し歯科補てつを加えたもの」(10級4号)とはどのような場合ですか?
  • 14歯以上が現実に喪失又は著しく欠損したため補てつを加えた場合です。

【解説】

  • 歯科補てつとは、歯の欠損部を金属等の人工物で修復し機能を回復させることです。次のようなことをいいます。
    ① 現実に喪失した歯牙(抜歯を含む)に対して補てつしたもの
    ② 歯冠部の大部分(歯冠部体積の3/4以上)を欠損した歯牙に対して補てつしたもの
    ③ 歯科技工上、残存歯冠部の一部を切除したために、歯冠部の大部分を欠損したものと同等な状態になったものに対して補てつしたもの
  • 上記の他に喪失、抜糸、歯冠部の大部分の欠損(切除を含む)が確認できる場合も未補てつであっても認定の対象となります。

歯の後遺障害

4. 味覚障害

味覚障害とは味覚の障害です。

12級相当 味覚脱失
14級相当 味覚減退
Q 「味覚脱失」(12級相当)とはどのような場合ですか?
  • 濾紙ディスク法による最高濃度液による検査により、基本4味質がすべて認知できない場合です。

【解説】

  • 味覚障害は、舌そのものを損傷した場合のほか、脳の損傷による高次脳機能障害 などでも生じます。
  • 味覚障害の判定は、濾紙ディスク法による最高濃度液による検査の方法により、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味のついた濾紙を舌上に置いていきます。味覚脱失の場合は、この4つの味質がすべて認知できない場合です。
Q 「味覚減退」(14級相当)とはどのような場合ですか?
  • 濾紙ディスク法による最高濃度液による検査により、基本4味質のうち1味質以上を認知できない場合です。

【解説】

  • 味覚障害の判定は、濾紙ディスク法による最高濃度液による検査の方法により、甘味、塩味、酸味、苦味の4つの味のついた濾紙を舌上に置いていきます。味覚減退の場合は、この4つの味質のうち1味質以上が認知できない場合です。

5. まとめ:口の後遺障害

口の後遺障害には、咀嚼障害や言語機能障害、歯牙障害、味覚障害があります。

障害の種類と程度により、後遺障害の等級が決まります。

口の後遺障害は専門的な判断が必要です。悩んだら、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

(監修者 弁護士 粟津 正博

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