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交通事故知識ガイド神経系統の機能又は精神の障害

腰椎捻挫(外傷性腰部症候群)

腰椎ヘルニア

腰の構造

脊柱は合計25の椎骨で構成されています。
そのうち、腰椎は5つの骨で構成されています。
上から順番にL1、L2と名付けられており、一番下がL5です。これら5つの腰椎は、いずれも、関節包、椎間板、靱帯、筋肉等で連結されています。
脊柱

関節包、椎間板、靱帯、筋肉等

外傷性腰部症候群は、追突事故などの衝撃によって腰部に想定を超える動きが生じ、関節包、椎間板、靭帯、筋肉(まとめて「軟部組織」と呼ばれます。)が大きく伸びてしまったり、断裂したりすることによって発症するものです。「腰椎捻挫」、「腰部捻挫」などと診断されることもあります。

自動車事故による受傷部位として、頸部に次いで多いのが腰背部です。被害に遭われた当初の診断書に「外傷性頸部症候群、腰椎捻挫」などと頸と腰の傷病名が併記されていた方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

外傷性腰部症候群は、受傷当初の症状が重くても、その症状は治療によって軽快するケースが多いです。治療によっても重い症状が残るのは、事故前から既に椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症などの既存症があったときに多く発生しています。

腰椎捻挫(外傷性腰部症候群)の後遺障害認定基準

外傷性腰部症候群の治療が終了し、後遺症が残ってしまったとき、それが後遺障害等級14級9号「局部に神経症状を残すもの」または12級13号の「局部に頑固な神経症状を残すもの」に該当するか、それともそのいずれにも該当しないか(後遺障害非該当)が問題になります。

とりわけ、14級9号に該当するか、それとも非該当かが問題になることが多いです。

ところで、損害保険料率算出機構調査事務所(自賠責調査事務所)は、外傷性腰部症候群の14級9号の後遺障害認定基準を公表しています。

それは、次のとおりです。

「外傷性腰部症候群に起因する症状が、①神経学的検査所見や画像所見から証明することはできないが、②受傷時の状態や③治療の経過などから④連続性、一貫性が認められ、説明可能な症状であり、⑤単なる故意の誇張ではないと医学的に推定されるもの。」

頸椎捻挫・外傷性頸部症候群と後遺障害認定基準はほぼ同様です。詳細は、頸椎捻挫の後遺障害認定基準の解説をご参照下さい。
参考:頸椎捻挫の後遺障害認定基準の解説

MRI画像所見など検査所見の重要性

腰椎捻挫(外傷性腰部症候群)では神経症状が生ずることがあります。ここでいう神経症状とは左右いずれかの腰・足・指先にかけてのしびれなどのことを指します。それほど深刻なものでなくても14級9号に該当すると判断されることが多いです。

腰部の神経根症状と検査所見の重要性

腰椎
頚椎

脊椎は、25の椎骨が、頚部~尾底骨まで連なったものです。

頚椎はC、胸椎はT、腰椎はL、その下の仙椎はSと表示します。
腰椎(L1からL5)は5つの椎骨が椎間板を挟んで連なっており、椎骨の空洞部分には、脊髄が走行しています。
脊髄は脊椎より短く、脊髄はL1とL2の間で終わります。それ以下は馬尾神経が走行しています。
椎骨の馬尾が走行する部分を椎孔といい、椎孔がトンネル状に並んでいるのを脊柱管と呼びます。
馬尾神経から枝分かれした神経根は、それぞれの椎骨の間の椎孔と呼ばれる部分を走行、身体各部を支配しています。
神経根
脊髄から枝分かれしているL3/L4/L5/S1の左右6本の神経根は、下肢の各部位をつかさどっています。これらのいずれかに損傷が生じると、痺れ等の症状が発生します。したがいまして、外傷性腰部症候群においては、L3/L4/L5/S1の神経根に着目します。

L3とL4の間の椎間板にヘルニアがあるとき、L4神経根が圧迫され、大腿前面や下腿内側面に知覚障害が生じることがあります。一方、膝蓋腱反射は減弱し、大腿四頭筋・前脛骨筋が萎縮し、大腿神経伸展テスト(FNSテスト)が陽性となります。

FNSテスト

(大腿神経伸展テスト:膝を90度曲げた状態で下腿部を持ち上げるテストです。大腿神経に沿った疼痛が誘発された場合が陽性となり、L4神経根に損傷、圧迫等があることが疑われることになります。)
L4とL5の間の椎間板ヘルニアでは、L5神経根が障害され、下腿前外側、足背に知覚障害が出現する一方、長母趾伸展筋の筋力低下や大臀筋の萎縮が見られ、ラセーグテストは陽性となります。

ラセーグテスト

(ラセーグテスト:一方の手を被験者の足首の下に置き、他方の手を膝頭に置いて膝関節を伸ばしたまま下肢を上げていくテストです。70度未満の角度で坐骨神経に沿った疼痛が誘発されると陽性です。陽性のときは、L5神経根またはS1神経根に炎症、圧迫等が発生していることが疑われます。)
L5とS1の間の椎間板ヘルニアでは、S1神経根が圧迫され、下腿外側、足背、足底外縁に知覚障害が出現し、アキレス腱反射は低下・消失し、腓腹筋および腓骨筋力が低下して、つま先立ちが出来なくなってしまうことがあります。ラセーグテストで陽性となります。

MRI検査の重要性

受傷直後にMRI撮影を行い、神経根が圧迫されていることが画像で示されれば、訴える症状の裏付けとなる画像所見が得られたことになり、後遺障害等級認定(14級9号)に近づきます。
また、一部分にヘルニアが生じ、その他の部位には椎間板の変性が全くないことが明らかになれば、そのヘルニアは交通事故によって生じたものであることを示しえますから、12級13号の後遺障害等級認定に近づきます。
ですから、被害に遭ってからできるだけ早期にMRI撮影を行うことが求められます。

なお、XPやCTは骨を見るためのものでして、神経根の状態を確認することはできませんから、MRIの代わりにはなりません。

MRI画像は1.5テスラのMRI画像撮影機器を置いている病院がほとんどですが、それですと、神経根の圧迫が生じているかどうかを確認することは、実は容易ではありません。できれば、3.0テスラのMRI画像を撮影することができる機器を設置している病院で撮影を受けたいところです。

なお、MRI撮影については、自覚症状の裏付けにとっては重要ですが、医師が治療するに当たっては、実はそれほど重要なことではありません。医師は治療することが仕事ですので、裏付けや証明には協力してくれない方もいらっしゃいます。
したがいまして、MRI画像の撮影を受けるためには、被害者の方から撮影をしてくださいと協力をお願いすることが大切になります。

腰椎捻挫(外傷性腰部症候群)の後遺障害認定基準のまとめ

  • 腰椎捻挫・外傷性腰部症候群は「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性があります。
  • 症状の発生がMRI画像所見による裏付けにより証明されていると、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性が高まります。

腰椎椎間板ヘルニアの後遺障害認定基準

MRIを撮ったところ、ヘルニアがあることが画像上明らかになったものの、それは事故によるものではないとか、外傷性のものではないと言われることがあります。
椎間板は、個体差や環境にも左右されますが、10歳代後半から変性していきます。とりわけ腰椎部は、脊柱の中でも最も多く動く部位ですし、日常生活において負荷が常時加わっていますので、若年のときから様々な退行性変性をきたしていることが多いです。

「でも、被害に遭うまでは腰痛なんかなかった、事故に遭ってから腰痛と足の痺れが出てきたんだ。それなのに、事故とは関係ないなんて。」

と、理不尽だと思われる方も多いです。

加齢による変性の結果、椎間板ヘルニアの状態になっており、神経根が圧迫されていたとしても、痛みや痺れなどの症状が必ず発現するとは限りません。むしろ、多くの場合、症状が出ません。そのようなときでも、交通事故の強い衝撃がきっかけで、症状が発現することが多いです。

したがいまして、多くの場合、椎間板ヘルニアは交通事故によって発生したものではありませんが、その症状は、交通事故によって発生したものです。
治療を継続しても、この症状が消失しないときは、後遺障害の対象となりえます。

ヘルニア

具体的には、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性があります。特に、症状の発生がMRI画像所見による裏付けにより証明されていると、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性が高まります。

脊柱管狭窄症の後遺障害認定基準

脊柱管狭窄症

腰椎椎間板ヘルニアのほかに、脊柱管狭窄症や腰椎椎間板症といった傷病名が付され、事故を契機に症状が発現することがあります。
椎間板ヘルニアと同様に以下の基準で後遺障害認定がされます。

  • 既存症であっても事故前は無症状だったときは、事故後に発現した症状は事故によるものと認められる。
  • 治療終了時にも症状が消えていなければ、後遺障害の問題となりうる。
  • 早期のMRI撮影が重要である。

そして、後遺障害としては、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性があります。特に、症状の発生がMRI画像所見による裏付けにより証明されていると、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性が高まります。

まとめ

  • 腰椎捻挫・外傷性腰部症候群は「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性があります。
  • 腰椎椎間板ヘルニアは、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性があります。
  • 脊柱管狭窄症は「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性があります。
  • 症状の発生がMRI画像所見による裏付けにより証明されていると、「局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)となる可能性が高まります。

参考リンク