3台の玉突き事故の過失割合

最終更新日:2026年03月27日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
Q3台の玉突き事故の過失割合はどうなりますか?

3台の玉突き事故では、一番後ろの車両が事故の原因となることが多く、過失割合も最も大きくなるのが一般的です。ただし、先頭車両や中間車両に急ブレーキなどの落ち度があった場合や、衝突の順序が異なる場合には、過失割合が変わることもあります。

玉突き事故は事故状況が複雑になりやすく、どの車にどの程度の過失があるのか判断が難しいケースも少なくありません。

過失割合で悩んだときは、早めに交通事故に詳しい弁護士へ相談することをおすすめします。

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玉突き事故とは

玉突き事故とは、後方の車両が前方の車両に追突し、その衝撃で追突された車両がさらに前方の車両に追突する事故をいいます。3台以上の車両が連続して衝突する事故を指すのが一般的です。

たとえば、信号待ちで停車している車列に後方の車が追突し、その勢いで前方の車がさらに前の車に追突するケースは、典型的な玉突き事故といえます。このように、1つの追突事故がきっかけとなり、複数の追突事故が連続して発生するのが玉突き事故の特徴です。

玉突き事故は、見た目には「全員がぶつかっている事故」に見えますが、すべての車両に同じように責任があるわけではありません。どの車が最初に追突したのか、衝突の順序はどうだったのかによって、過失割合の考え方が大きく変わります。

また、事故の衝撃で押し出されただけの車両であっても、状況によっては過失が問題になることがあるため、玉突き事故では過失割合をめぐって争いになるケースも少なくありません。

2台の玉突き事故の基本的な過失割合

まず、3台以上の玉突き事故の過失割合を考える前に、2台の追突事故における過失割合の基本を押さえておく必要があります。

これは、玉突き事故が一つの事故としてまとめて判断されるのではなく、「どの車が、どの車に追突したのか」という関係ごとに過失が検討されることが多いためです。

実際の玉突き事故では、「後方車が中間車に追突した事故」と「押し出された中間車が先頭車に追突した事故」といったように、複数の追突事故が重なって発生していると整理されます。

そのため、まずは追突事故においてどちらの車に責任があるのか、どのように過失割合が決まるのかという基本的な考え方を押さえておくことが、3台の玉突き事故の過失割合を正しく理解するうえで重要になります。

2台の追突事故では、原則として追突した後続車に100%の過失が認められます。これは、後続車には前方を十分に確認し、前の車が減速や停止をしても安全に対応できるよう、適切な車間距離を保って走行する義務があると考えられているためです。

そのため、一般的な追突事故では、次の過失割合が基本となります。

  • 先行車(前の車):0%
  • 後続車(後ろの車):100%

もっとも、先行車が理由もなく急ブレーキをかけた場合など、先行車側に落ち度があるときには、先行車にも一定の過失が認められることがあります。

「後方車両が中間車両に先に衝突」した3台の玉突き事故

3台の玉突き事故の中でも最もよく見られる典型的なパターンです。

先頭からA車・B車・C車の順で走行しているところ、後方のC車が中間のB車に追突し、その衝撃でB車が先頭のA車に衝突する形になります。

このような事故では、衝突の順序と、各車両が自らの運転操作で衝突したのか、それとも押し出されたのかが、過失割合を考えるうえで重要になります。

【3台玉突き事故】追突の順序:初めに追突したのが最後尾のC、中間車は2番目、先頭車が3番目に追突

3台の玉突き事故の基本となる過失割合

3台の玉突き事故の直接の原因は、一般的に、C車がB車に追突したことにあります。

B車がA車に衝突したのは、C車に追突された反動によるものであり、B車が自らの判断や操作によってA車に追突したわけではありません。

そのため、原則として次のような過失割合が基本となります。

  • A車(先頭車):0%
  • B車(中間車):0%
  • C車(後方車):100%

これは、最初に追突したC車の前方不注視や車間距離不保持といった注意義務違反が、事故全体の原因と評価されるためです。

3台の玉突き事故で最後尾Cが最初に追突した場合の過失割合(A0%・B0%・C100%の原則)

先頭車両が急ブレーキの場合

では、先頭のA車が、危険を避ける必要もないのに急ブレーキをかけたことが事故のきっかけになった場合はどうでしょうか。

たとえば、A車の急ブレーキによりB車はなんとか停止できたものの、後方のC車が止まりきれずにB車に追突し、その衝撃でB車がA車に衝突したケースです。

この場合でも、B車に追突した直接の原因はC車の運転にあるため、C車の過失が最も大きくなるのが基本です。ただし、事故のきっかけを作ったA車に一定の落ち度があるとして、A車にも過失が認められる可能性があります。

具体的な過失割合は事故状況によって異なりますが、次のように判断されることが多いです。

  • A車(先頭車):30%
  • B車(中間車):0%
  • C車(後方車):70%
3台の玉突き事故で先頭車Aの急ブレーキが原因となった場合の過失割合(A30%・B0%・C70%)

中間車両が急ブレーキの場合

次に、中間のB車が理由なく急ブレーキをかけたことが原因で事故が起きた場合を見てみましょう。

このケースでは、B車の急ブレーキによりC車がB車に追突し、その衝撃でB車がA車に追突することになります。

事故の流れを整理すると、「B車とC車の追突事故」と「B車とA車の追突事故」が連続して発生したと考えることができます。

そのため、B車とC車の関係では、急ブレーキをかけたB車にも一定の過失があると評価されるのが一般的です。一方、A車は事故の原因に関与していないため、原則として過失は認められません。

具体的な過失割合は、個別の事情により変わりますが、一般的には次のように判断されることが多いです。

  • A車(先頭車):0%
  • B車(中間車):30%
  • C車(後方車):70%
3台の玉突き事故で中間車Bの急ブレーキが原因となった場合の過失割合(A0%・B30%・C70%)

よくあるご質問

ここでは、3台の玉突き事故について、よくあるご質問にお答えします。

高速道路での3台の玉突き事故の過失割合はどうなりますか?

高速道路での3台玉突き事故

高速道路での3台の玉突き事故でも、基本的な考え方は一般道路と同じです。つまり、原則としては最初に追突した後方車両の過失が最も大きくなります。

ただし、高速道路は一般道路に比べて走行速度が高く、車間距離の確保や前方への注意義務がより強く求められます。そのため、過失割合の判断も変わることがあります。

たとえば、次のようなケースです。

急ブレーキ

高速道路上で理由なく急ブレーキをかける行為は、一般道以上に危険です。

そのため、先行車が理由なく急ブレーキをかけた場合の過失割合は、一般道の場合(30%)よりも重く、40%程度とされることがあります。

ETCレーン付近

ETCレーン手前では、バーが開かないなどのトラブルで先行車が減速・停止することが予測されます。

そのため、後続車にはより一層の注意が求められ、追突した後続車の過失が重く判断される傾向があります。過去の裁判例では、ETCカードのエラーで先行車が急ブレーキをかけたとしても、後続車の一方的な過失と判断されたケースもあります。

進路変更や合流

高速道路で進路変更が絡む事故では、基本的に進路を変更した側の車の過失が大きくなります。

もっとも、合流地点や料金所手前など、進路変更がある程度予測される場所では、直進車側にも注意義務があるとして過失が認められることがあります。

「中間車両が先頭車両に先に衝突」した3台の玉突き事故の過失割合はどうなりますか?

まずB車がA車に追突し、その後、停止したB車にC車が追突したというケースです。「順次追突事故」と呼ばれるもので、典型的な玉突き事故とは扱いが異なります。

この場合、A車とB車の事故と、B車とC車の事故が、それぞれ2つの独立した追突事故として扱われるため、過失割合についても別々に判断されることになります。

具体的な過失割合は、個別の事故状況によって異なりますが、次のように判断されるのが一般的です。

最初の事故(AとBの追突)

原則として、A車に追突したB車に100%の過失が認められます(A:0%、B:100%)。

ただし、もしA車に理由のない急ブレーキなどの過失があれば、A車にも30%程度の過失が認められる可能性があります(A:30%、B:70%)。

順次追突事故において中間車Bが先に先頭車Aへ追突しAが急ブレーキをかけた場合の過失割合(A30%・B70%)の図解

2番目の事故(BとCの追突)

A車との追突によって停止していたB車にC車が追突したケースですから、原則としてC車の一方的な過失と判断されることが多いです(B:0%、C:100%)。

このように、2つの事故の過失割合がそれぞれ認定されるため、損害賠償の関係は非常に複雑になります。

誰がどの損害についてどこまで賠償責任を負うのかは、事故の状況や各車両の損害内容によって変わってきますので、正確な判断が必要な場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

順次追突事故で停止中の中間車Bに後方車Cが追突した第2事故の過失割合(追突事故の基本)の図解

3台がぶつかった順序はどうすれば明確になりますか?

3台の玉突き事故では、どの車が最初に衝突したのかが過失割合を決めるうえで非常に重要です。

しかし、事故直後は記憶が曖昧だったり、当事者同士の主張が食い違ったりすることも少なくありません。

このような場合には、次のような客観的な証拠が重視されます。

  1. ドライブレコーダーの映像
  2. 車両の損傷状況
  3. ブレーキ痕や事故現場の状況
  4. 目撃者の証言
  5. 実況見分調書
これらを総合して、衝突の順序が判断されます。記憶だけに頼らず、証拠をできるだけ早く確保することが重要です。

3台の玉突き事故の過失割合が決まりません。どうすればよいですか?

これまで見てきたように、3台の玉突き事故の過失割合は、事故のパターンや個別の事情(急ブレーキの有無、道路状況など)によって大きく変動します。

過去の多くの裁判例を見ても、画一的な基準で決まるわけではなく、専門的な判断が必要です。

そのため、当事者同士の話し合いで過失割合が決まらない、あるいは相手方の保険会社が提示する過失割合に納得できないというケースは頻繁に起こります。

そのような場合は、交通事故事案に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。弁護士は、法的な観点と過去の裁判例に基づき、適正な過失割合を主張するためのサポートが可能です。

まとめ:悩んだらまずは弁護士にご相談

3台の玉突き事故における過失割合は、衝突の順序や状況によって結論が大きく異なります。特に、どの車が最初に追突したかによって、責任を負う人が全く変わってくるため、慎重な判断が求められます。

もし相手方の保険会社から提示された過失割合に疑問を感じたり、当事者間の主張が対立して話し合いが進まなかったりする場合には、ご自身だけで悩まず、お早めに弁護士にご相談ください。

弁護士は、事故状況の詳細な分析や証拠の収集、適切な過失割合の主張、保険会社との交渉など、法的な観点から依頼者の権利を守るためのサポートを行います。複雑な玉突き事故だからこそ、専門家の力を借りることで、適正な賠償を受けられる可能性が高まります。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

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