高次脳機能障害の生活訓練プログラム

監修者:よつば総合法律事務所
代表弁護士 大澤 一郎
- Q高次脳機能障害の生活訓練プログラムとは何ですか?
- A高次脳機能障害の生活訓練プログラムとは、日常生活能力や社会活動能力を高め、日々の生活の安定や積極的な社会参加を目的とする訓練です。次のような目的で実施します
- ①生活リズムの確立
- ②生活管理能力の向上
- ③社会生活技能の向上
- ④対人技能の向上
- ⑤障害の自己認識
- ⑥必要な支援の明確化
- ⑦家族支援
―――― 目次 ――――

高次脳機能障害とは
高次脳機能障害とは脳損傷による認知障害全般です。様々な認知障害だけではなく、行動障害や人格変化を伴うことが多いです。症状には記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害などがあります。
関連情報
高次脳機能障害の訓練プログラム
高次脳機能障害の訓練プログラムは、①医学的リハビリテーションプログラム②生活訓練プログラム③職能訓練プログラムの3つがあります。
医学的リハビリテーションプログラム
医学的リハビリテーションプログラムは主として病院で行うリハビリです。
注意障害、記憶障害、遂行機能障害、コミュニケーション障害、病識欠落、社会的行動障害、身体機能障害などの個々の障害に対して行います。
生活訓練プログラム
生活訓練プログラムとは、日常生活能力や社会活動能力を高め、日々の生活の安定や積極的な社会参加を目的とする訓練です。
高次脳機能障害の場合、本人に病気であるという意識がないことがあります。訓練を通して病気であるという認識を持てれば、リハビリや社会復帰が進みやすいです。
発生している障害を補う方法が見つかれば、より社会復帰が進みやすくなります。
職能訓練プログラム
職能訓練プログラムとは、職業に就くために必要な訓練です。
生活訓練プログラムの内容
生活訓練プログラムは次のような目的で行います。
- ①生活リズムの確立
- ②生活管理能力の向上
- ③社会生活技能の向上
- ④対人技能の向上
- ⑤障害の自己認識
- ⑥必要な支援の明確化
- ⑦家族支援
①生活リズムの確立
高次脳機能障害の障害を負うと、生活リズムが崩れやすいです。そのため、規則正しい生活を行うことを目的とした訓練をします。
日課を掲示し日課にしたがった行動を行ったり、昼夜逆転しないよう昼の活動量を増やしたりします。
②生活管理能力の向上
高次脳機能障害の障害を負うと、自らの生活を管理する能力が低下します。毎日のスケジュールの管理、薬の管理、金銭管理などができるよう訓練します。具体的には、スケジュール帳を作成したり、予定をわかりやすく掲示したりします。
③社会生活技能の向上
公共交通機関の利用、買物、家での生活などができるよう訓練します。施設に入所している場合は外出も試みます。
④対人技能の向上
集団生活ができるよう訓練します。グループワークなども試みます。
⑤障害の認識
高次脳機能障害患者は障害の認識がないことが多いです。
画像検査や神経心理学的検査の説明を通じて、本人が障害を認識できるようにします。
日々の訓練の中で本人が少しずつ障害を認識できることもあります。
⑥必要な支援の明確化
高次脳機能障害の患者が自らの障害を認識できれば、必要な支援内容が明確になります。必要に応じた今後の支援内容を検討します。
⑦家族支援
高次脳機能障害患者の生活には家族の支援が必要です。福祉サービスの紹介や家族会の紹介など家族を支援します。
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まとめ:高次脳機能障害の生活訓練プログラム
高次脳機能障害の生活訓練プログラムとは、日常生活能力や社会活動能力を高め、日々の生活の安定や積極的な社会参加を目的とする訓練です。次のような目的で実施します
- ①生活リズムの確立
- ②生活管理能力の向上
- ③社会生活技能の向上
- ④対人技能の向上
- ⑤障害の自己認識
- ⑥必要な支援の明確化
- ⑦家族支援
(監修者 弁護士 大澤 一郎)