休業損害証明書の記入例やひな形

最終更新日:2025年05月23日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
Q休業損害証明書はどのように作成・記入すればよいですか?

休業損害証明書は、交通事故の影響で仕事を休んだことや収入が減ったことを保険会社に証明するための書類です。

自分で記入することはできず、会社(勤務先)が作成者となり、所定の様式に沿って記載する必要があります。

記入する内容には、欠勤日数、有給休暇の取得状況、事故前の給与額、休業中の給与支給の有無、社会保険給付の状況などが含まれます。

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休業損害証明書とは

休業損害証明書とは、交通事故によって仕事を休み、その結果として収入が減ったことを証明するための書類です。

この書類は、被害者が「事故が原因で働けなかった期間」や「通常どれだけの収入を得ていたか」を明らかにするために使用され、保険会社に休業損害を請求する際に必要です。

たとえば、会社員、パート、アルバイトなど雇用されて働いている人が、けがの治療や通院で仕事を休んだ場合に、実際にどれだけ休み、どれほど収入が減ったかを勤務先に記載してもらいます。

休業損害証明書は、通常、加害者側の保険会社から未記載の用紙が送られてきますが、こちらからもダウンロードできます。必要に応じてお使いください。

休業損害証明書は勤務先に依頼

休業損害証明書は、自分で記入するものではありません。勤務先に作成してもらう書類です。

この書類を自分で記入してしまうと、たとえ本当のことを書いたとしても「信頼できる証明書」として見てもらえません。保険会社に提出しても、「本当に仕事を休んだのか?」と疑われてしまう可能性があります。そうなると、休業損害の支払いに影響が出たり、示談交渉で不利になる恐れもあります。

だからこそ、休業損害証明書は勤務先に正式に書いてもらいましょう。会社という第三者が客観的に証明することで、書類の信頼性が高まり、補償の手続きがスムーズに進みます。

「勤務先にお願いするのは少し気が引ける」という人もいるかもしれませんが、交通事故によるけがはあなたの責任ではありません。必要な補償を受けるための正当な手続きなので、遠慮せず、しっかりと依頼しましょう。

休業損害証明書の記入例

「休業損害証明書」は勤務先が作成しますが、担当者が書き方に慣れていない場合もあります。

勤務先担当者が記入に不慣れな場合、誤りや記載漏れを未然に防ぐためにも、本人が記載内容を事前に把握しておくことは非常に有効です。

ここでは、書類にどんな内容を記載するのか、項目ごとにわかりやすく説明します。

休業損害証明書-書き方の見本

① 勤務先の所定休日や欠勤日、有給休暇を記入

まずは、休業の期間や出勤状況について記入します。事故後にどのくらいの期間、仕事を休んだのかを示すための欄です。

  • 欠勤日数や有給休暇を使った日数
  • 遅刻や早退の回数
  • 所定の休日(もともと休みだった日)

これらをきちんと分けて書く必要があります。とくに、有給と欠勤は意味が違うので別々に記入することが重要です。遅刻・早退があった場合には、その回数・時間も正確に記載します。

② 給与の支給の有無を記入

事故で仕事を休んでいた期間に、給料が支払われたかどうかを記入します。

たとえば、有給休暇を使っていた日には給料が支払われているかもしれません。一方、欠勤扱いの日は給料が支給されていないことが多いです。こうした違いを正しく書きます。
もし一部だけ支払われていた場合は、その金額も記載します。

③ 事故前直近3か月の給与額を記入

事故に遭う前の3か月間に、どれくらいの給与が支給されていたかを記入します。これは「もし事故がなければこれだけ収入があった」という目安になるため、とても大事な項目です。

基本給だけでなく、手当や残業代なども含めて書きます。ただし、ボーナス(賞与)は通常ここには含まれません。

④ 給与締日や所定勤務時間を記入

会社の給与の締日(給料を計算する区切りの日)や、1日あたりの所定労働時間(普段は何時間働くのか)も記載します。

これは休業損害を正しく計算するために必要です。たとえば、「1日8時間勤務で、月末締め」などの情報が該当します。

⑤ 社会保険給付の有無や内容を記入

事故による休業中に、健康保険や労災保険から傷病手当金や休業補償給付を受領しているかどうかを書きます。

すでに別の補償を受け取っている場合は、重複して同じ損害を請求できません。そのため、給付の有無と、その内容・連絡先などをきちんと記載することが必要です。

⑥ 勤務先の記名・捺印

書類の最後には、勤務先の名前や担当者の署名・会社の印鑑を押す欄があります。これがないと、書類の信頼性が下がってしまいます。

たとえば、印鑑が押されていないと、「本人が勝手に書いたのでは?」と保険会社に疑われることがあります。必ず記名・捺印してもらいましょう。

⑦ 事故前年度の源泉徴収票を添付

事故前の給与の裏付けとして、前年の源泉徴収票を提出するよう求められることがあります。

この書類には、その年にどれだけの収入があったかが記載されています。事故前の収入水準を把握するために使われるので、手元にあればコピーを添付しておくとスムーズです。

よくある質問

ここでは、休業損害証明書に関するよくある質問にお答えします。

勤務先が作成してくれない場合、どうすればよいですか?

休業損害証明書を書いてもらえない場合は、書き方の見本を見せて再度お願いし、それでも無理なら他の書類で代用する方法をとります。

勤務先によっては、「書いたことがない」「よくわからない」といった理由で証明書の作成を断られることがあります。そんなときは、保険会社から送られてきた記入例や、インターネット上にあるサンプルを渡して、「この通りに書いてもらえれば大丈夫です」と伝えてみましょう。書き方が明確になれば、対応してもらえる可能性が高まります。

それでも対応してくれない場合は、社内の別の人に相談してみてください。たとえば、直属の上司や人事・総務の別の担当者、社長などにお願いすると話が進むこともあります。

どうしても誰にも書いてもらえない場合は、代わりになる資料を集める方法があります。休んでいた期間を証明するためには、勤怠表、タイムカード、診断書などが使えます。収入を証明するには、給与明細や源泉徴収票、賃金台帳などが有効です。これらを保険会社に提出し、証明書をもらえなかった事情を説明しましょう。

ただし、保険会社によっては、休業損害証明書がないと補償を認めない場合もあります。事前に確認しておくと安心です。

勤務先が作成してくれない場合、自分で書いてもよいですか?

いいえ。自分で書いてはいけません。勤務先に作成してもらう必要があります。

たとえ「担当者が忙しそう」「頼みにくい」と感じても、休業損害証明書を自分で書くことはできません。この書類は、勤務先が「本人は事故の影響で仕事を休みました」と第三者の立場で証明するものだからです。

たとえ正しい内容を書いたとしても、自分で書いたものでは証明として認められません。
保険会社から「本当に休んだのか?」と疑われ、休業損害の補償が受けられなくなるおそれがあります。

事故前年度の源泉徴収票がない場合、どうすればよいですか?

源泉徴収票が手元にない場合は、勤務先に再発行をお願いしましょう。

源泉徴収票は、1年間の収入や税金の情報が書かれた大事な書類です。事故前の収入を証明する資料として、保険会社から提出を求められることがあります。

もし紛失していても、勤務先に頼めば、再発行してもらえることがほとんどです。経理部や総務部などに、「〇年分の源泉徴収票を再発行してほしい」と伝えてみましょう。

どうしても勤務先に頼めない場合や、すでに退職して連絡が取れない場合には、「所得証明書(課税証明書)」を取るという方法もあります。これは、お住まいの市区町村役場で発行してもらえる書類で、前年の収入を証明できます。

源泉徴収票がないままにしておくと、休業損害の金額を正しく算定できず、結果として不利になることもあります。早めに準備しておきましょう。

記載漏れや間違いがあった場合、どうすればよいですか?

間違いや抜けが見つかったときは、すぐに勤務先に訂正してもらいましょう。

休業損害証明書に誤字や記載漏れがあると、保険会社が内容を正しく判断できず、手続きがストップすることがあります。自分では修正せず、最初に書いてもらった勤務先の担当者にもう一度依頼してください。

本給と付加給とは何ですか?

「本給」は基本の給料、「付加給」はそれ以外の手当のことです。

本給とは、働いた時間や日数に対して毎月決まって支払われる基本の給与のことです。

一方、付加給は、残業手当・通勤手当・住宅手当など、本給に上乗せされるさまざまな手当のことをいいます。

休業損害証明書には、事故前にどのくらいの収入があったのかを正しく記載する必要があります。そのため、本給と付加給は分けて書いてもらうことが重要です。

有給休暇を使った分も休業損害を請求できますか?

はい、請求できます。ただし、実際の損害額に注意が必要です。

事故で休んだ日を有給休暇で対応した場合、表面上は給料が減っていないように見えます。
しかし、有給は本来、自分のために自由に使えるはずのもの。事故によって有給を使わざるを得なかった場合、その分を「損害」として考えることができます。

ただし、保険会社の判断や交渉の内容によっては、全額が認められないケースもあります。
詳細は弁護士などの専門家に相談するのがおすすめです。

休業損害証明書はいつ提出すればよいですか?

事故後、休業損害を請求するタイミングで提出します。

書類の提出時期に明確な決まりはありませんが、損害賠償の請求(示談)を始めるときには必ず必要になります。

たとえば、治療がある程度落ち着いた時点や、仕事に復帰したタイミングで請求を進める人が多いです。

保険会社から「書類を提出してください」と言われたときにもすぐ出せるよう、早めに準備しておくと安心です。

なお、休業が長期間にわたる場合は、途中経過でも数か月ごとに提出することもあります。

まとめ:休業損害証明書

交通事故によって仕事を休むことになった場合、収入の減少分を補償してもらうには「休業損害証明書」が必要です。

内容に誤りがあると、正しい金額の補償が受けられなかったり、手続きが進まなかったりすることもあるため、書類の記入内容はとても重要です。勤務先にきちんと書いてもらう必要があります。

もし勤務先が対応してくれない場合でも、記入例を見せたり、他の資料で代用したりといった対処法があります。あきらめずに、できる範囲で準備を進めましょう。

また、有給休暇を使った日でも、休業損害として認められるケースもありますし、社会保険の給付がある場合は、その内容との調整も必要です。これらの判断が難しい場合は、交通事故に詳しい弁護士に相談するのが安心です。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

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