交通事故による怪我の治療は、病院と整骨院のどちらに行けばよいですか。
- Q2:交通事故による怪我の治療は、病院と整骨院のどちらに行けばよいですか。
- A原則として病院がよいでしょう。整骨院に通院する場合には医師の指示・同意をもらっておきましょう。
(文責:弁護士 大澤 一郎)
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病院と整骨院の違い
- 医師による診療が受けられるのが「病院」です。
- 「整骨院」「接骨院」などの名前で柔道整復師が施術を行うのが「整骨院」です。
- 病院、整骨院のいずれでも交通事故の治療は可能です。
整骨院通院を開始する場合の注意点
- 医師の同意をもらっておきましょう。医師の同意がない場合、保険会社が整骨院の費用を支払わないことがあります。積極的な指示まであれば理想ですが、少なくとも整骨院に通院することを説明して消極的な同意まではもらいましょう。
- 医師の診断書をもらっておきましょう。整骨院で施術をする部位と医師が診断書で記載している部位が異なる場合、整骨院の費用が支払われないことがあります。
- 整骨院の先生に相談をすると、提携している医師を紹介してくれることもあります。
- 整骨院に通院する場合でも、最低でも月に1回前後は医師の診察を並行して受けましょう。
整骨院の施術費の裁判のルール
施術費が認められるには次の5点が必要です。
交渉段階で認められていても裁判段階で否定されることもありますので要注意です。
①施術の必要性
施術を行うことが必要な身体状態にあったことです。
②施術の有効性
施術を行った結果として具体的な症状の緩和がみられることです。
③施術内容の合意性
施術が受傷内容と症状に照らし、過剰・濃厚に行われておらず、症状と一致した部位につき、適正な内容として行われていることです。
④施術期間の相当性
受傷の内容、治療経過、疼痛の内容、施術の内容及びその効果の程度等から施術を継続する期間が相当であることです。
⑤施術費の相当性
報酬金額が社会一般の水準と比較して妥当なことです。
整骨院への通院の注意点
- 実際に整骨院に通院していないのに通院をしたことにするのは詐欺です。刑事事件になったり、多額の損害賠償を請求されたりしますので厳禁です。
- 整骨院だけ通院して病院に通院しないというのは厳禁です。後日、整骨院の費用が全て否定される可能性があります。
- 「必ず事故から6カ月は整骨院で治療ができる」という考えは間違っています。あくまで個別の被害者の負傷状況や治療状況によって期間は決まります。だらだら整骨院での施術を続けると、最終的にもらえる保険金の額が減ってしまう可能性もあります。
- 「加害者任意保険会社が整骨院費用を支払わなければ直接自賠責保険に請求すればよい」という考えもあまりよくありません。自賠責保険の傷害分の上限は120万円です。整骨院の費用が高額になりすぎてしまうと休業損害や慰謝料など他の損害賠償の項目の支払がされにくくなることがあります。
- 整骨院の費用は、交渉の場合には争われなくても、裁判になると争われることが多いです。裁判提起の有無は慎重に検討しましょう。
- 裁判になる確率があるような場合、整骨院への通院はあまり推奨できません。交渉段階では保険会社が整骨院の施術費を認めていても、後日裁判になると保険会社が施術費の返還などを求めてくることもあります。
まとめ
- 病院と整骨院を選択する場合、原則として病院がよいでしょう。特に、地元の医院・クリニックでのリハビリがよいでしょう。
- 整骨院に通院する場合、医師の指示・同意をもらっておきましょう。
- 整骨院に通院する場合、並行して医師の診察も受けましょう。
(文責:弁護士 大澤 一郎)