打ち切り対抗策
治療費を打ち切られにくいように保険会社に事実を説明しましょう。
また、治療費打ち切りの場合、健康保険への切替など、現実的な対応策を取ることをお勧めします。
治療費に関する原則
- 保険会社が治療費を病院に直接支払う事案が交通事故では多いです。
- ただし、病院に直接治療費を支払うことは保険会社の義務ではありません。
- そのため、保険会社に病院への支払を法律上強制させることはできません。ただし、最終的に裁判所での判決が確定した場合、保険会社は治療費を支払います。
治療費を打ち切られにくい場合
保険会社に支払を強制させることはできません。そのため、治療費の支払は、個別に保険会社と協議をすることとなります。
次のようなことを伝えると治療費が打ち切られにくい傾向があります。
- 主治医の意見が事故による治療がまだ必要という意見であること
- 症状が改善傾向であること
- 検査結果に異常があること
- 「あと〇か月程度で治療終了見込」など終了見込があること
打ち切りをされやすいポイント
次のような場合、治療費の打ち切りをされやすいです。
- 1カ月以上通院していないこと
- 主治医が治療終了相当と考えていること
- 治療をしても症状が変わらないこと
- 症状が悪化していること
- 事故直後にはなかった症状が後日出てきていること
- 症状に比べて通院回数・頻度が極端に多いこと
- 頚椎捻挫・腰椎捻挫・打撲・挫傷などの場合に事故から6カ月程度経過していること
打ち切りの場合の現実的な対抗策
- 健康保険を利用して通院を継続することが可能です。
- 労災保険を利用して通院を継続することが可能な場合があります。
- 人身傷害保険(自分の保険の特約)を利用して通院を継続することが可能な場合があります。
打ち切り対抗策Q&A
Q 明らかに治療費打ち切りが不当です。どうすればよいですか。
一度治療費を立替して支払い、最終的には裁判で決着をつけることとなります。
ただし、明らかに不当な場合、保険会社に対して不当である旨を伝えることにより、保険会社が治療費を支払うこともあります。
Q 事故の場合は健康保険が使えないと病院で言われました。本当ですか。
本当ではありません。
交通事故の場合も健康保険は使えます。
Q 保険会社に対して苦情を言い続ければ問題は解決しますか。
- 保険会社に苦情を言い続けても問題が解決しないことが経験上は多いです。
- むしろ、保険会社が弁護士を立ててきたり、保険会社側から裁判を起こしてきたりすることがあります。問題がより複雑化します。
- 他方、保険会社の対応が明らかにおかしい場合、保険会社に苦情を言うことで問題が解決することもあります。
Q 自賠責保険に治療費等を直接請求できますか。
できます。
ただし、自賠責保険は治療費・休業損害・慰謝料等を合計して上限120万円という制限があります。そのため、自賠責保険の120万円の枠を全て治療費で使ってしまうと、最終的な示談の際にもらえる保険金が減ってしまう可能性があります。
Q 労災保険とは何ですか。
業務中又は通勤中の事故の場合に使える保険です。
治療費などが出ます。
Q 人身傷害保険とは何ですか。
- 人身傷害保険とは自分の保険についていることがある特約です。
- 事故の相手が治療費を支払わないなどの場合、治療費等が出る特約です。
打ち切り対抗策のまとめ
- 保険会社に病院への支払を法律上強制させることはできません。
- 治療費を打ち切られにくいように保険会社に説明しましょう。
- 治療費打ち切りの場合、健康保険への切替など、現実的な対応策を取ることをお勧めします。