STEP5. 症状固定・後遺障害の等級認定
交通事故の治療終了後も症状が残る場合、後遺障害申請を検討しましょう。
納得できる後遺障害が認定されなかった場合、異議申立を検討しましょう。
後遺障害の認定結果を踏まえて、示談交渉に進みましょう。
症状固定とは
- 治療を継続しても症状の改善が見込めない状態のことです。
- 症状固定は主治医が判断するのが原則です。ただし、争いになった場合、最終的には裁判所が判決で判断します。
- 頚椎捻挫・腰椎捻挫などの場合、6カ月前後で症状固定の事案が多いです。
- 骨折などの場合、6カ月から1年程度で症状固定の事案が多いです。
後遺障害の等級認定とは
- 交通事故による後遺障害等級認定は1級から14級まであります。
- 認定された等級に応じて保険金が支払いされます。
- 心身に残った症状(後遺症)が全て後遺障害として認定されるわけではありません。心身に残った後遺症のうち、一定の基準を満たしたものが後遺障害として認定されます。
- 後遺障害の等級認定は原則書面審査です。
後遺障害の等級認定の流れ
- 後遺障害申請のためには後遺障害診断書が必要です。主治医が作成します。ひな型がない場合、加害者の任意保険会社に問い合わせをすればひな型が送られてきます。
- 後遺障害診断書を主治医が作成したのち、保険会社に後遺障害診断書を送付します。具体的には、加害者の任意保険会社に送付する方法(事前認定)と加害者の自賠責保険会社に送付する方法(被害者請求)があります。ご本人で手続を行う場合、加害者の任意保険会社に書類を送付する方が多いです。
- 後遺障害診断書を保険会社に送付後、後遺障害認定結果が届くまでは2カ月から3カ月程度のことが多いです。
後遺障害の等級認定のポイント
後遺障害診断書に事実と異なる不利な記載がある場合、納得できる後遺障害認定がされにくくなります。例えば次のような場合です。
- 自覚症状欄が「常時痛」となっていない場合、等級認定がされにくいです。「寒いときは痛くなる」、「体を動かすと痛くなる」、「運転しているときに痛くなる」等はマイナス評価の確率が高いです。
- 障害内容の増悪・緩解の見通しが「治る」「治る見込み」等はマイナス評価の確率が高いです。
- 検査で異常があったにもかかわらず検査結果の異常が記載されていない場合、マイナス評価となります。
また、次のような場合も納得できる後遺障害認定がされにくくなります。
- 治療期間が6カ月未満の場合
- 事故後、症状が良くなったり悪化したりと症状に波がある場合
- 病院の通院回数が月1回から2回程度と少ない場合
納得できる後遺障害が認定されなかった場合
- 異議申立が可能です。保険会社に異議申立書などの書類を送付して行います。
- 異議申立をする場合、同じ証拠だと同じ結果となることが多いです。追加の医学的な証拠を提出することがよいでしょう。
- 異議申立によっても納得できる後遺障害が認定されなかった場合、一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構に申立を行う方法があります。
参考:一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構 - 異議申立によっても納得できる後遺障害が認定されなかった場合、民事訴訟を提起して裁判で決着をつける方法もあります。
症状固定・後遺障害の等級認定のまとめ
- 交通事故の治療終了後も症状が残る場合、後遺障害申請を検討しましょう。
- 納得できる後遺障害が認定されなかった場合、異議申立を検討しましょう。
- 後遺障害認定結果を踏まえて示談交渉を進めていきましょう。