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交通事故知識ガイド交通事故問題解決の流れ

解決までの流れステップ4

治療費打ち切り(※保険会社から治療費の打ち切りを告げられた場合のステップ)

解説者の弁護士大澤一郎
事故後治療を受けていると、いずれかの段階で相手方保険会社から治療費打切りの打診や通告が来ることがあります。

ここでは、治療費打切りについてお書きします。

治療期間に関する法律のルール

事故による治療費が賠償の対象となるのは、完治または症状固定までに行われた治療に要する費用です。
完治というのは、けがの後、体が事故前の状態に完全に回復した状態を指します。
症状固定とはどういうことでしょうか。

症状固定とは

医学上一般に認められた医療を行っても、その医療効果が期待できない状態を指します。
これ以上治療行為を施しても良くはならないし悪くもならない状態とか、一進一退を繰り返す状態などと言い換えられることもあります。
痛みがあるとか感覚がないなどといった感覚に関する症状は、本来は被害者本人でなければわからないものです。ですが、被害者本人がまだ痛みの症状等を訴えていたとしても、これ以上医療による効果が見込まれないと判断されたときは症状固定と判断されます。

なぜ打切りの話をしてきたか

相手方保険会社として、「完治」または「症状固定」に至ったと判断したことによります。
その判断が本当に正しいのかどうかはその時点では不確定です。
したがいまして、相手方保険会社による打切りの話が妥当かどうかも、ケースバイケースです。

主治医の先生の見解も「症状固定」または「完治」であるとき

このときは、症状固定を受け入れ、治療終了とするほかないことが多いです。

その時点で本当に症状固定に至っていたかについては、相手方との間で折り合うことがなければ最終的には裁判所が判断することになります。裁判所は主治医の作成した書類、車両の損害状況等の証拠や他の事例等も考慮して事後的に決めることになりますが、主治医が症状固定に至ったという意見であるのにそれより後の時点が症状固定であると裁判所が判断する可能性は少ないです。

主治医の先生の見解が「まだ医療による効果があることが見込まれる。」のとき

被害者本人には、次の2つの選択肢があります。

1 治療中止

主治医の先生との協議のうえ症状固定にしてもらいます。残存症状があればそれについて後遺障害の手続に移ることが考えられます。

2 治療継続

主治医の先生が症状固定または完治に至ったと診断するまで治療を継続することが考えられます。それまでの治療費をどのように確保するかが問題です。

① 相手方保険会社との交渉

主治医の見解を伝え、治療費の支払の継続を求めます。いつまで回復が見込まれる状態が継続するのか分からないということですと相手方保険会社が交渉しにくいことも考えられます。そうしたときに備え、主治医の見解を尋ねる際に、症状固定時期の見込みについても確認しておくとよいことがあります。主治医が見込む症状固定時期までの治療費支払を検討してほしいと、時期を区切って交渉を行うと奏功することもあります。

もちろん、主治医の見解を伝えて交渉を行えば相手方保険会社が治療費の支払の継続に常に応じるというわけではありません。

② 人身傷害保険の利用

被害者側加入の自動車保険に人身傷害保険がついており、それが使えることが前提になります。相手方保険会社による治療費の支払の継続が見込めないときには、被害者側ご加入の人身傷害保険に、相手方保険会社による治療費打切り後の治療費の支払をさせることが考えられます。

人身傷害保険会社としても独自に症状固定に至っていないかどうか審査・判断することになりますが、相手方保険会社が打切りを行った後だからといって人身傷害も治療費の支払について常に対応しないというわけではないです。

③ 社会保険制度の利用

第三者行為による傷病届を提出して、健康保険等または労災保険を利用して、相手方保険会社による治療費打切り後の治療に要する費用の支払を行うことが考えられます。

健康保険等を使用するときは、原則として窓口での治療費の支払が必要になります。

労災保険が利用できるかどうかは、症状固定時期についての労働基準監督署による判断に左右されます。

治療継続を選んだとき

①相手方保険会社による治療費支払の継続②人身傷害保険の利用③健康保険または労済保険の利用により症状固定まで治療費を確保したとき、それでも症状が残った場合は、後遺障害認定の手続に委ねます。

後遺障害の有無及びその程度が確定すれば、相手方保険会社との間で最終的な賠償に関する交渉を行うことになります。その際、治療期間が争われることがありえます。つまり、症状固定時期はいつだったのかに関する見解の相違です。

この争いが生じたときに備え、主治医の先生が症状固定だと判定するまでの治療状況がきちんと記録されていることが求められます。

【動画で見る交通事故】治療費の打ち切りについて

(解説 : 弁護士 大澤 一郎)