交通事故直後にやってはいけない9つの行動

最終更新日:2025年11月18日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
Q被害者が交通事故の直後にやってはいけないことは何ですか?

交通事故に遭った直後にやってはいけないことは、次のとおりです。

  • 現場からすぐに立ち去る
  • けがをしている人を救護しない
  • 危険防止措置をとらない
  • 警察を呼ばない
  • 加害者の名前や連絡先を聞かない
  • 症状があるのに通院をしない
  • 相手や警察に言われるままに事故状況を認めてしまう
  • 事故状況の証拠を確保しない
  • 事故現場で示談してしまう
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現場からすぐに立ち去る

交通事故に遭ったら、現場からすぐ立ち去ってはいけません。

交通事故の当事者となった運転者や乗務員は、直ちに車両の運転を停止する義務があります。これは道路交通法に定められた最も基本的な義務です。

たとえ事故が軽微に思えても、相手方が「大丈夫」と言ったとしても、その場を立ち去ることは許されず、警察への報告を行い、警察官から現場待機などの指示を受けた場合は、その指示に従わなければなりません。

特に人身事故の場合、負傷者の救護や警察への報告といった義務を果たさずに現場を離れる行為は「ひき逃げ」となることがあり、極めて重い刑事罰の対象となります。
運転者自身の判断で「負傷は軽微だから救護の必要はない」と判断して立ち去ることは許されません。

被害者が医師の診療を受けることを明確に拒絶した場合などを除き、運転者には被害者を速やかに医師の診療を受けさせるなどの措置を講じる義務があります。どのような状況であれ、事故を起こした場合はまずその場に留まることが絶対的な原則です。

けがをしている人を救護しない

けがをしている人を救護せず放置することは、絶対にしてはいけません。

負傷者の救護は、運転者に課せられた最も重要な義務の一つです。道路交通法は、事故の運転者に対し、直ちに負傷者を救護し、道路における危険を防止するなどの必要な措置を講じることを義務付けています。

負傷者がいる場合は、ためらわずに119番通報して救急車を呼び、救急車が到着するまでは、オペレーターの指示に従い、止血など自分にできる範囲での応急救護措置を行わなければなりません。その際、負傷者を不必要に動かさないように注意することも重要です。

救護義務は、単に救急車を呼んだだけで果たされるものではなく、負傷者の状態を自ら確認して安全を確保し、救急隊員に状況を引き継ぐか、状況に応じて速やかに医療機関で診療を受けさせるための措置を講じることを意味します。

安易な自己判断や、他者への丸投げでその場を離れることは決して許されません。運転者自身の判断で負傷が軽微であるとみなし、救護の必要はないと判断して立ち去ることは避けるべきです。

危険防止措置をとらない

事故の直後に危険防止措置をとらないことも、絶対に避けるべきです。

事故現場では、後続車による二次被害を防ぐための危険防止措置を講じることも、運転者の重要な義務です。道路交通法は、負傷者の救護と並んで、道路における危険を防止する措置を求めています。

具体的には、事故車両を他の交通の妨げにならないよう、路肩や空き地などの安全な場所へ移動させることが必要です。ただし、車両の移動が困難な場合や、移動させることでかえって危険が生じる場合は、無理に動かす必要はありません。

特に高速道路などでは、後続車への注意喚起が極めて重要になります。事故直後は動揺も大きいと思いますが、冷静に二次被害の発生を防ぐ行動をとらなければなりません。

警察を呼ばない

交通事故が発生した場合、警察を呼ばないで自分たちで解決しようとするのは避けるべきです。

交通事故が発生した場合、負傷者の有無や事故の大小にかかわらず、警察(110番)に報告する義務があります。たとえ相手方が警察を呼ばないでほしいと頼んできても、あるいは自分に過失があると感じていても、届け出なければなりません。

警察への報告事項は次の通りです。

  • 交通事故が発生した日時および場所
  • 交通事故における死傷者の数および負傷者の負傷の程度ならびに損壊した物およびその損壊の程度
  • 交通事故に係る車両等の積載物
  • 交通事故について講じた措置

警察への届け出を怠ると、法的な義務違反となるだけでなく、被害者にとって大きな不利益が生じます。

最も重要なのが「交通事故証明書」です。この証明書は、自動車保険(自賠責保険・任意保険)の保険金を請求する際に必須となる書類ですが、警察への届け出がなければ原則として発行されません。

事故直後に当事者間の話し合い(示談)だけで済ませてしまうと、後から痛みが出てきて治療が必要になったり、車の修理代が高額になったりした場合に、交通事故があったことの証明ができず、保険金を受け取れなくなる可能性があります。

加害者の名前や連絡先を聞かない

加害者の名前や連絡先を聞かないと、その後の手続きに支障が出るため、必ず確認しましょう。

事故後の損害賠償請求を適切に行うためには、加害者の情報を正確に把握しておくことが不可欠です。警察が到着すれば聴取が行われますが、その場ですぐに相手方の情報を確認し、メモしておくことをおすすめします。

確認すべき主な情報は次の通りです。

  • 運転者の情報
    住所、氏名、連絡先(電話番号)
  • 車両の所有者(使用者・運行供用者)の情報
    運転者と所有者が異なる場合(例:社用車)には、所有者である会社等の名称、住所、連絡先も確認します。交通事故の損害賠償責任は、運転者だけでなく、運転者を雇用している会社(使用者)や、車両の所有者(運行供用者)などにも及ぶことがあります。
  • 車両の情報
    登録番号(ナンバープレート)
  • 保険の情報
    加害者が加入している自賠責保険および任意保険の会社名、証明書番号、加入年月日などを、自動車損害賠償責任保険証明書などを見せてもらい控えておきましょう。

これらの情報をその場で確認しなかった場合、後から加害者を特定することが困難になるケースもあります。そのため、事故現場で冷静に相手の情報を確認・記録するようにしてください。

なお、警察を呼んでいる場合、運転手の情報と車両の情報、自賠責保険の情報については、警察も加害者から聴取し交通事故証明書に記載することが通常です。車両の所有者の情報や、任意保険の情報は交通事故証明書に記載されません。

症状があるのに通院をしない

交通事故の直後、その場で安易に「大丈夫です」と言ってしまうのは避けましょう。

交通事故の直後は、興奮状態にあったり、精神的なショックを受けたりしているため、痛みを感じにくいことがあります。そのため、たいしたことはないと自己判断し、加害者や警察に「大丈夫です」「けがはありません」と伝えてしまう被害者は少なくありません。

しかし、このようなことを言ってしまうと、後から症状が出てきて通院が必要になった際に、加害者や保険会社から治療の必要性を否定されることがあります。

たとえ事故直後に明らかな外傷や強い痛みがなくても、体に違和感があれば、その旨を伝え、速やかに医療機関を受診しましょう。事故から数時間後、あるいは数日経ってから、首(頚部)や腰、その他の部位に痛みやしびれといった症状が現れることは少なくありません。

医師の診察を受ける際には、痛みやしびれなどの自覚症状を、部位も含めて正確に、余すところなく伝えましょう。

相手や警察に言われるままに事故状況を認めてしまう

相手や警察に言われるがままに事故状況を認めてしまうことも避けるべきです。

交通事故の被害者の多くは、事故に遭うこと自体が初めての経験であり、事故直後はどう対応すればよいかわからず混乱状態に陥ります。精神的なショックも大きく、事故の状況を正確に記憶したり、整理して説明したりすることが難しい状態になることもあります。

このような混乱した状態で、加害者やその保険会社の担当者、あるいは警察官から事故状況について説明を求められた際に、言われるがままに自分に不利な内容を認めてしまうのは絶対に避けるべきです。

たとえば、「あなたにも脇見運転があったのではないですか」「スピードが出ていたのではありませんか」といった誘導的な質問に対し、よく考えずに同意してしまうと、それが記録に残り、後の過失割合の算定で不利になる可能性があります。

被害者の中には、事故のショックから必要なことを供述できなかったり、逆に自分の過失を隠そうとして事実と異なる供述をしたりする方もいらっしゃるでしょう。しかし、重要なのは、記憶が曖昧な点や不確かな点については、はっきりと「覚えていません」「わかりません」と答えることです。

無理に事実と異なる説明をしたり、相手の言うことを鵜呑みにしたりせず、落ち着いて、自分が確実に記憶している事実だけを話すように心がけてください。

事故状況の証拠を確保しない

その場で何もせず、事故状況の証拠を確保しないと、支障が出ることがあります。

交通事故の損害賠償問題では、当事者双方の「過失割合」が大きな争点となります。被害者側にも一定の過失があったとされると、その割合に応じて受け取れる賠償金が減額されます(過失相殺)。

そのため、事故直後の記憶が新しいうちに、客観的な証拠をできる限り確保しておくことが極めて重要です。

確保すべき証拠や記録には、次のようなものがあります。

  • 事故現場の状況
    スマートフォンのカメラなどで、車両の損傷状況、最終的な停止位置、ブレーキ痕(タイヤ痕)、周辺の道路状況(信号機、標識の有無など)を様々な角度から撮影しておきます。
  • 事故状況のメモ
    事故発生の日時、場所、天候、事故がどのようにして起こったかなど、5W1H(いつ、どこで、誰が、何を、なぜ、どのように)を意識して、記憶が薄れないうちに詳細に記録しておきましょう。
  • 目撃者の確保
    周囲に事故を目撃した人がいれば、協力を依頼し、氏名や連絡先を聞いておきましょう。第三者の証言は、非常に有力な証拠となります。
  • 費用の記録
    事故に関連して支出した費用(タクシー代、レッカー代など)は、必ず領収書を保管しておきましょう。
  • ドライブレコーダー画像
    双方のドライブレコーダーの有無を確認します。ドライブレコーダーがある場合には画像を保存しましょう。

これらの証拠は、時間が経つと収集が困難になります。事故現場の状況は清掃などで変化してしまいますし、記憶も曖昧になっていきます。警察の実況見分も行われますが、自分自身でも証拠を確保しておくことが、後の交渉を有利に進める上で不可欠です。

事故現場で示談してしまう

事故現場で相手方と示談してしまうのは絶対にしてはいけません。

加害者から「警察を呼ばずにここで示談してほしい」「修理代を払うから、これで終わりにしてほしい」などと持ちかけられても、事故現場で示談に応じることは絶対にしてはいけません。

現場での示談には、次のような大きなリスクがあります。

  • 損害額が不明確
    事故直後の段階では、けがの程度や治療期間、後遺障害の有無、車の修理費用など、損害の全体像は全く確定していません。後から重い後遺障害が判明したり、修理費用が予想以上に高額になったりしても、一度示談が成立してしまうと、追加の請求はできなくなる可能性があります。
  • 不当に低い金額での合意
    加害者は、刑事処分を軽くしたい、保険を使いたくないといった理由から、示談を急ぐことがあります。しかし、その場で提示される金額は、本来受け取れるはずの正当な賠償額よりもはるかに低いことがほとんどです。
  • 交通事故証明書が発行されない
    警察に届け出ずに示談すると、交通事故証明書が発行されず、保険金請求が極めて困難になる、あるいはできなくなる可能性があります。

そのため、どのような事情があっても、事故現場で示談に応じることは避け、警察への通報と保険会社への連絡を行いましょう。交通事故は、当初は軽い接触事故のように見えても、数日後にむち打ちなどの症状が出るケースが珍しくありません。また、損害額の算定には専門的な知識が必要であり、一般の方がその場で正確に判断することは極めて困難です。

どうしても相手の意向に流されそうなときは、いったんその場で示談をせず、「まず警察を呼んで正式に手続きを行う」「保険会社を通じて後日対応する」と冷静に伝えるのが重要です。

まとめ:悩んだらまずは弁護士に相談

交通事故に遭った直後は、けがや精神的なショックに加え、慣れない手続きや相手方との対応に追われ、大きな不安や負担を感じる方が少なくありません。初めてのことで、何をどうすればよいのかわからず、加害者側の保険会社の説明に戸惑ってしまうことも多いでしょう。

そのようなときは、ひとりで抱え込まず、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。交通事故に詳しい弁護士であれば、今後の流れや必要な対応について丁寧に説明し、被害者の不安を和らげることができます。また、保険会社とのやり取りや損害賠償の交渉も任せられるため、被害者は治療や日常生活に専念しやすくなります。

事故直後の判断や対応が、その後の賠償内容や生活に大きく影響を与えることもあります。少しでも不安を感じた場合には、早めに法律の専門家へ相談し、正しい対応を進めていくことが大切です。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

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