脛骨顆間隆起骨折

最終更新日:2026年09月09日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

脛骨顆間隆起骨折(けいこつかかんりゅうきこっせつ)とは、すねにあたる脛骨の上端部の骨折で、膝の部分の怪我です。

この記事では、脛骨顆間隆起骨折について、原因や治療法、後遺障害の認定基準などを交通事故に詳しい弁護士がわかりやすく解説します。

脛骨顆間隆起骨折は専門的な判断が必要です。気になることやお悩みがある場合は、まずはよつば総合法律事務所へお問い合わせください。

交通事故でお困りの方へ
弁護士による無料相談受付中です。
タップして電話をかける
0120-916-746受付時間:平日・土日祝日 / 6:00~22:00
※本予約ダイヤルでの電話相談は行っておりません。

脛骨顆間隆起骨折

脛骨顆間隆起(けいこつかかんりゅうき)とは、すねの骨(脛骨)の一番上の中央にある、小さな二股の隆起部分のことです。

小さな突起ですが、膝関節の安定性を保つためにとても重要な機能を担っています。

大腿骨と脛骨はいくつもの靭帯によって連結されています。

それらの靭帯のうち、前十字靭帯が脛骨顆間隆起に付着しています。しかし、事故の衝撃で前十字靭帯に引っ張られ、脛骨顆間隆起がはがれてしまうのが脛骨顆間隆起骨折です。

つまり、脛骨顆間隆起骨折は、前十字靭帯に付着した部分の剥離、裂離骨折です。

脛骨顆間隆起骨折の原因と症状

交通事故では、自転車やオートバイでの転倒事故や、転落事故で多く発生します。多くの場合、前十字靱帯も伸びたり断裂したりして損傷します。

脛骨顆間隆起骨折は、脛骨上端部の骨端形成が不完全な8~12歳の小学生のころに多く発生する傾向があります。

成人の場合は、前十字靭帯損傷のみ生じるケースが多いですが、一緒に脛骨顆間隆起が剥がれて、脛骨顆間隆起骨折になることもあります。

脛骨顆間隆起骨折の診断

診断では、XP(レントゲン)が用いられます。

もっとも、転位(骨のずれ)がなかったり、転位があっても軽微だったりすると、レントゲンでは判断できないことがあります。

この場合でも、膝関節内で骨折や靱帯損傷があるときは、吸引した関節液に血液が混入するため、関節液の吸引によって靭帯損傷や骨折が判明することがあります。骨折の詳細な評価には、CT、MRIが有用です。

脛骨顆間隆起骨折の種類

脛骨顆間隆起骨折は脛骨の前十字靱帯付着部の裂離骨折(れつりこっせつ:靭帯などに引っ張られて骨が剥がれる骨折)であり、骨折は前十字靱帯の牽引力によって生じるものです。

損傷レベルの判断においては、以下のマイヤーズ&マキーパーの分類が広く用いられており、骨片の転位の程度により4タイプに分類され、治療法選択の指標とされています。

1型 骨片が母床(ぼしょう:元の骨の位置)からほとんど離れていないもの(転位はわずか)
2型 骨片の前方がかなり浮き上がっているが、後方では母床との連続性が保たれているもの(ヒンジ状)
3A型 骨片全体が母床から完全に離解しているもの
3B型 骨片が母床から離れて回転しているもの

一般に、1型、2型に対しては保存療法(手術をせずにギプスなどで固定する治療法)の適応となっています。

2型であっても骨片の存在により膝を完全に伸ばすことができない場合や、前方動揺性(前方にグラグラと不安定になること)が強い場合は手術の適応となります。3型についても、手術の適応となります。

脛骨顆間隆起骨折の治療

治療は、整形外科にて整復と固定が行われます。

顆間隆起が完全に剥離して、骨片の固定が不可能なときは、手術による整復固定(ズレた骨を元の位置に戻して固定すること)が行われますが、そうでないときは、手術をせずに手で骨を元の位置に戻した後、膝関節を軽度屈曲位(軽く膝を曲げた状態)に固定します。その角度は20度程度であることが多いようです。

保存的療法では、固定期間が4週間から5週間程度であることが一般的です。

転位が少ない場合、予後は良好で、後遺障害を残すことはほとんどありません。しかし、転位が大きい場合や発見が遅れたもの、放置されて陳旧化(ちんきゅうか:受傷から時間が経過して古い状態になること)したものは、膝の可動域制限の後遺障害や痛みの後遺障害が残ります。

脛骨顆間隆起骨折の後遺障害

脛骨顆間隆起骨折で認定されうる主な後遺障害は、機能障害(下肢)、変形障害、短縮障害、神経障害の4種類です。

関節の機能障害
8級7号 1下肢の三大関節中の1関節の用を廃したもの
10級11号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
変形障害
12級8号 長管骨に変形を残すもの
神経障害
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

機能障害(関節の動く範囲の制限)

機能障害は、関節が動く角度を測定し、異常があるときの後遺障害です。動かない程度が大きいほど上位の等級になります。

脛骨顆間隆起骨折の場合、膝関節の機能障害が考えられます。

8級7号 1下肢の三大関節中の1関節の用を廃したもの
10級11号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号 1下肢の三大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

膝関節の可動域制限の場合、原則として屈曲と伸展による運動を参照します。

可動域の測定にはルールがあります。詳細は関節可動域表示並びに測定法(日本リハビリテーション医学会)をご確認下さい。

認定のためには、単に数値上の基準を満たすだけではなく、そのような可動域の制限が生じることについて医学的な説明ができることが必要です。

「用を廃したもの」(8級)

「用を廃したもの」(8級)とは次のいずれかの場合です。

  1. 関節が全く動かない場合
  2. 関節の可動域が、負傷していない側の1/10以下に制限されている場合

著しい機能障害(10級)

「関節の機能に著しい障害を残すもの」(10級)とは、関節の可動域が負傷していない側の1/2以下に制限されている場合です。

機能障害(12級)

「関節の機能に障害を残すもの」(12級)とは関節の可動域が、負傷していない側の3/4以下に制限されている場合です。

動揺関節(8級・10級・12級)

上記は関節の動く範囲が制限されている場合の等級ですが、靭帯の損傷により膝が通常の範囲を超えて動いてしまったり(異常可動性)、グラグラして支えが弱くなり不安定になることがあります。これを動揺関節といいます。

動揺関節の場合も、機能障害の等級に準じて以下のとおり後遺障害等級を定めることとされています。

8級相当 常に硬性補装具を必要とするもの(1下肢の三大関節中の1関節の用を廃したもの)
10級相当 時々硬性補装具を必要とするもの(1下肢の三大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの)
12級相当 重激な労働等の際以外には硬性補装具を必要としないもの(1下肢の三大関節中の1関節の機能に障害を残すもの)

動揺関節の認定については、以下の方法により動揺性を証明しなければなりません。

① Lachmanテスト

Lachman(ラックマン)テストとは、膝の前十字靭帯(ACL)が断裂・損傷していないかを確認するための徒手検査法(手で触って確かめる手法)です。

Lachmanテスト

患者は仰向け(背臥位)になります。検査者は膝を15~30度屈曲させ、前方に引き出します。

正常な膝の場合、途中で硬く止まる感覚があります。これは、前十字靭帯が突っ張って骨のズレを防いでいるためです。

前十字靭帯に損傷があると、脛骨が前方に過度に引き出されます。脛骨顆間隆起骨折の場合も、関節に動揺が生じたときは同様です。

② ストレスXP

ストレスXP(ストレスレントゲン撮影)とは、関節にあえて一定の力(ストレス)をかけながらレントゲン写真を撮る検査方法です。

通常のレントゲンでは捉えきれない「関節のゆるみ(不安定性・動揺性)」を画像として目に見える形にするために行われます。靭帯はレントゲン画像には直接映りません。

しかし、ストレスをかけた状態で骨と骨の間隔が不自然に開いたり、すねの骨が前後に大きくズレたりすれば、靭帯に異常があることが間接的に判明します。

ストレスXPの撮影は、次のようなテロスSEという専用機器を使うのが望ましいです。

テロスSE

この機械を使って、左右両方の関節の動揺性を計測し、ミリ単位で数値を診断書に記載してもらう必要があります。

変形障害

変形障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

12級8号 長管骨に変形を残すもの

長管骨に変形を残すもの(12級8号)

長管骨とは長く伸びた管状の骨のことです。脛骨もこれに該当します。

長管骨に変形を残すもの(12級)とは、脛骨顆間隆起骨折の場合、「脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの」という等級に該当する可能性があります。ただし、脛骨顆間隆起骨折単独でこのような大きな変形が認定されるケースは少ないです。

短縮障害

短縮障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

8級5号 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
10級8号 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
13級8号 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの

脛骨顆間隆起自体は、数ミリから1センチ以下の小さな突起なので、この部分を骨折しても後遺障害が認定されるほどの下肢短縮が生じることはありません。

ただし、脛骨顆間隆起のすぐ下には、骨が伸びるための成長線(骨幹端)が存在します。骨折のダメージがこの成長線にまで及び、骨の成長が途中で止まってしまった場合(成長障害)、成長とともに健康な側の足だけが伸び、最終的に1cm〜数cmの左右差となって現れることがあります。

神経障害

神経障害の後遺障害認定基準は次のとおりです。

12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

12級は、画像や検査結果から客観的に異常が分かり、痛みが残ることが医学的に証明できる場合です。

たとえば、次のような場合は12級になることがあります。

  1. 骨が変形してあるいは不正に癒合して、これが原因で痛みが生じる場合
  2. 関節面に不正を残して骨癒合して、これが原因で痛みが生じる場合

14級は、痛みが残ることが医学的に証明されているとまではいえないが、医学的に説明可能な場合です。

つまり、客観的な所見から痛みが生じる原因が明らかとはいえないものの、受傷態様や治療内容、症状の一貫性などから、将来にわたり痛みが残ることが医学的に説明できる場合です。

まとめ:脛骨顆間隆起骨折の後遺障害

脛骨顆間隆起骨折とは、前十字靭帯に引っ張られて、脛骨の上端にある突起部分が剥がれてしまう骨折です。転位が少ないものは保存的に治癒することが多いですが、骨片が脛骨から分離してしまう場合は、手術が選択されることもあります。

認定され得る後遺障害は、機能障害(下肢)・変形障害・短縮障害・神経障害で8級から14級まで等級があります。

脛骨顆間隆起骨折の後遺障害は専門的な判断が必要です。お困りの際は、まずは交通事故に詳しい弁護士への相談をおすすめします。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

関連情報