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交通事故知識ガイド上肢及び手指

上肢その11~12 橈骨茎状突起、尺骨茎状突起骨折

上肢その11 ショーファー骨折(橈骨茎状突起骨折)

赤○が橈骨茎状突起、青○は尺骨茎状突起

ショーファー骨折(橈骨茎状突起骨折)

ショーファー骨折(橈骨茎状突起骨折)とは、左のイラストの赤で囲った部分を骨折したものをいいます。
ショーファーとは自動車運転手のことでして、昔、セルモーターがなかった時代にエンジンのスターティングハンドルの逆回転が原因で橈骨背側を強打して発生したためにこの名称があります。
手を伸ばした状態で転倒したときなどに起こります。受傷機転は、手関節の背屈・橈屈強制で起こり、茎状突起が舟状骨と衝突します。
したがいまして、舟状骨骨折合併の可能性があります。

手関節内の粉砕骨折

徒手整復に引き続いてギプス固定を行いますが、固定中に再転位が生じたときは、手術が行われます。
交通事故でショーファー骨折が生じるようなときは、手関節内に粉砕骨折が起きていることが多く、このような場合は手術を行っても傷病部位が安定せず、予後はよくありません。変形性手関節症に発展することも予想されます。

ショーファー骨折における後遺障害のキモ?

1)骨折後の骨癒合が得られていても、手関節としてきちんと整合性が保たれているかが問題です。
骨折部の骨癒合状況は3DCTで検討し、また手関節の骨のアラインメント(配列)は、左右の手関節の背側・掌側のXP写真を比較しつつ検討します。

変形性手関節症は、受傷後の二次的障害です。
症状固定時には問題になっていないときも、時間の経過で発展することが予想されます。
示談書には、将来新たな後遺障害が発生したときに備えた条項を記載しておくことが必要でしょう。

2)当面の後遺障害の対象は、手関節の機能障害でを理由とする12級6号が考えられます。

上肢その12 尺骨茎状突起骨折

赤○が橈骨茎状突起、青○が尺骨茎状突起

尺骨茎状突起骨折

尺骨の尖端(遠位)にある突起の骨折です。通常は、橈骨遠位端骨折に合併して起こります。
初診時は、見落とされることもしばしばですが、癒合しなくても、痛みが残らないことも多いです。症状が残る場合は、手首を回すと痛みが出ます。橈骨遠位端骨折よりも骨癒合はしにくく、ギプス固定期間を長くする必要があります。

尺骨
尺骨は、前腕の小指側にある長管骨です。
尺骨は、橈骨とは逆に上端部が大きく下端部が細くなっており、上端の滑車切痕で上腕骨滑車と肘関節を形成しています。
手関節の小指側で、少し飛び出た部分が尺骨茎状突起です。

尺骨茎状突起骨折が発生したとき、茎状突起の上部にあるTFCC損傷を合併することが多く、その場合は、遠位橈尺関節に不安定性を生じ、手関節に可動域制限と疼痛が発生します。

尺骨茎状突起が骨折し、偽関節化しています。

尺骨茎状突起骨折やその偽関節化を確認することはXPでできますが、TFCC損傷の有無は、MRI撮影または関節造影検査でないと確認できません。

治療は、遠位橈尺関節に不安定性が認められるときは、尺骨茎状突起骨片を接合して関節をギプス固定します。さらにTFCC損傷を合併しているときは、関節鏡により縫合が行われています。
骨折・偽関節で痛みが激しいときは、骨片の摘出術が実施されます。

尺骨茎状突起骨折における後遺障害のポイント

手関節の可動域制限が残ったとき、尺骨茎状突起やTFCCの器質的損傷をMRIなどで立証すれば、その可動域制限は後遺傷害として認められます。
手関節の可動域制限が後遺障害として認定されたとき、そこに痛みが残っていたとしても、可動域制限に含まれて評価されます。痛みが可動域制限とは別に独立して後遺障害として評価されることはありません。