追突事故の過失割合はどう決まる?基本パターンと修正要素を解説

最終更新日:2026年01月15日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
Q追突事故の過失割合はどのように決まりますか?

追突事故の過失割合は、原則として追突した後続車が100%、追突された先行車が0%(10:0)とされています。

しかし、事故の状況によっては、この原則が当てはまらず、追突された側にも過失が認められることがあります。たとえば、先行車が理由もなく急ブレーキをかけた場合や、駐停車禁止場所に停車していた場合などです。

この記事では、追突事故の基本的な過失割合と、それが修正される具体的なケース、過失割合の交渉で知っておくべきポイントについて解説します。

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追突事故の過失割合は10:0が原則

追突事故の過失割合は、基本的に追突された先行車が0%、追突した後続車が100%です。

これは、追突された車両は、逐一後方を確認したり、後ろから車が突っ込んでくることを予測しながら運転することは不可能であるため、落ち度がないと考えられている一方、後続車には「前方の車が急停止しても追突を避けられる距離を保つ義務」(道路交通法26条)や「前方を注視する義務」(道路交通法70条)が課せられているためです。

実際、多くの追突事故は、後続車の運転者が前方不注意であったり、十分な車間距離を保っていなかったりといった、一方的な過失が認定され、10:0で処理されるケースがほとんどです。

過失割合が10:0となる典型的なケースは次のとおりです。

  1. 赤信号や一時停止の規制に従って停止している車への追突
    信号待ちで停車中に後ろから追突された場合、停車していた車には何の落ち度もありません。後続車が信号や前方車両に十分注意していれば防げた事故であるため、過失割合は10:0です。
  2. 渋滞で停止している車への追突
    高速道路や一般道で渋滞により停止または低速走行していた車に追突した場合も、原則として10:0です。渋滞は運転中に十分予測できる事態であり、後続車には渋滞に対応して安全に停止できる車間距離を保つ義務があります。
  3. 道路の左側端に沿って適切な方法で駐停車している車への追突
    道路交通法に従い、道路の左端に寄せて適切に駐停車している車への追突も、後続車の前方不注視が原因であるため、過失割合は10:0です。

追突事故の過失割合が10:0にならないケース

原則は10:0ですが、追突された側(先行車)の運転に何らかの問題があった場合には、先行車にも過失割合が認められることがあります。

ここでは、その代表的なケースを解説します。

不要な急ブレーキによる追突事故

道路交通法24条では、「危険を防止するためやむを得ない場合を除き、その車両等を急に停止させ、又はその速度を急激に減ずることとなるような急ブレーキをかけてはならない」と定められています。

この規定に違反し、先行車が理由もなく急ブレーキをかけたことが原因で追突事故が発生した場合、先行車にも過失が認められる可能性があります。

基本的な過失割合

この場合の基本的な過失割合は、先行車30%:後続車70%が一般的です。

ただし、次のような場合の急ブレーキは「危険を防止するためやむを得ない」と判断され、先行車に過失は認められません。

  1. 目の前に急に飛び出してきた歩行者や自転車を避けるための急ブレーキ
  2. 道路の損傷や道路上の障害物(落下物など)を避けるための急ブレーキ
  3. 前方車両の急停止に対応するための急ブレーキ

一方、次のような急ブレーキは「不要な急ブレーキ」と判断され、先行車にも過失が認められる可能性があります。

  1. 信号の見間違いによる急ブレーキ
  2. アクセルとブレーキの踏み間違いなど不確実な運転操作による急ブレーキ
  3. 後続車への嫌がらせ目的の急ブレーキ
  4. 猫や鳥などの小動物の飛び出しによる急ブレーキ

なお、イノシシや鹿のような大型動物が飛び出してきた場合は、急ブレーキをかけて衝突を避けなければ大きな被害が生じるおそれがあるため、先行車に過失は認められにくいでしょう。

高速道路での事故

高速道路では、高速での走行が許容され、最低速度を維持する義務があり(道路交通法75条の4)、一般道以上に車の流れに従った円滑な走行が強く期待されています。

高速道路上で、先行車が正当な理由なく急ブレーキをかけた場合、その危険性の高さから先行車の過失が重く設定されています。基本割合は先行車50%:後続車50%です。

なお、通常の追突であれば高速道路でも10:0が原則です。たとえば、先行車が急ブレーキ等の事情なく追突された場合、渋滞で低速走行中に追突された場合などのケースでは、先行車に過失はありません。

追い越し妨害による追突事故

追い越しが行われる際に、追い越す側の車両が、追い越される側の車両に追突されたような事故では、追い越す側の車両に大きな過失が認められるのが一般的です。

これは、追い越し側の車両には、できる限り安全な速度と方法とで進行しなければならない義務があるからです(道路交通法28条)。

もっとも、追い越される側の車両が妨害行為を行った場合、その過失割合が加算修正されることがあります。

道路交通法27条では、追い越されようとする車両には次の義務が課せられています。

  • 追い越しが終わるまで速度を上げてはならない(同条1項)
  • 道路の中央との間に追越車両が通行するのに十分な余地がない場合、できる限り道路の左側端に寄って進路を譲らなければならない(同条2項)

これらの義務に違反すると、追い越し妨害と判断されます。

具体的な過失割合は、車両の種類や道路状況によって異なります。

一般的な追い越し事故の過失割合

  1. 追越禁止でない道路の事故

    基本的な過失割合は追越車80%:被追越車20%です。

    しかし、被追越車が加速して追い越しを妨害した場合は、被追越車の過失が20%程度増加することがあります。

  2. 追越禁止の道路での事故

    追越側の責任はより重くなり、基本過失割合は追越車90%:被追越車10%です。

    この場合も、先行車が加速による妨害を行った場合は、その過失が20%程度増加することがあります。

あおり運転など悪質な妨害行為があった場合

先行車による蛇行運転、幅寄せ、直前への強引な割り込みとその直後の急減速といった、一連の常軌を逸した「あおり運転」の過程で追突事故が起きた場合、事故は先行車の危険な運転行為が主たる原因とされることがあります。

このような場合、追突した後続車の過失は0%、あおり運転を行った先行車の過失が100%となることがあります。

駐停車禁止場所や誤った駐停車方法で駐停車中の追突事故

道路の左端に適切に駐停車している車に追突した場合は、追突した側に100%の過失があります。しかし、駐停車の方法に問題があった場合は、追突された側にも過失が認められることがあります。

一般道でのケース

一般道では、駐車禁止場所での駐停車、不適切な方法での駐停車の場合、追突された側に過失が認められます。

  1. 駐停車禁止場所での駐停車

    駐停車が禁止されている場所に車を停めていた場合、それ自体が交通の危険を生じさせる行為とみなされ、10%程度の過失が認められることがあります。

    駐停車禁止場所には、次のような場所が含まれます(道路交通法44条45条)。

    • 交差点、横断歩道、踏切
    • 坂の頂上付近、勾配の急な坂
    • トンネル内
    • 道路の曲がり角
    • 交差点の側端・横断歩道の前後の側端から5メートル以内の部分
    • 道路工事区域の側端から5メートル以内の部分
  2. 不適切な駐停車方法

    道路の左端に十分に寄せていなかったり、斜めに停めていたりするなど、駐停車の方法が不適切だった場合、後続車の通行を妨げる要因となるため、駐停車した車両に10%~20%程度の過失が認められることがあります。

高速道路でのケース

高速道路上は、故障などのやむを得ない場合を除き、原則として駐停車が禁止されています(道路交通法)。携帯電話の使用など、緊急性のない理由での駐停車は法律違反となり、事故が起きた際には大きな過失として評価されます。

  1. 過失による本線車道での駐停車

    ガソリン切れや整備不良など、運転者の過失によって本線車道に駐停車せざるを得なくなった場合、後続車に追突されると、駐停車した車両に40%の過失が認められるのが基本です。

  2. 路肩停車時のはみ出し

    たとえ路肩に停車していても、車体の一部が走行車線にはみ出していた場合、駐停車車両に20%の過失が認められることがあります。

  3. 安全措置の不履行

    故障などでやむを得ず停車する場合でも、ハザードランプの点灯や停止表示器材(三角表示板)の設置といった後続車への注意喚起を怠ると、過失が加算される可能性があります。

灯火義務を怠った駐停車中の追突事故

夜間やトンネル内、悪天候時など視界が悪い状況では、車の存在を他の運転者に知らせるために、テールランプや車幅灯などを点灯させる「灯火義務」があります。

この義務を怠って駐停車していたために後続車が発見できずに追突した場合、駐停車していた側に10%~20%の過失割合が認められる可能性があります。

特に、降雨や濃霧などで視界が著しく悪い状況では、駐停車車両の過失がより重く評価されるおそれがあります。

また、高速道路上でやむを得ず駐停車する際に、法律で義務付けられている停止表示器材の設置を怠った場合も、安全配慮を欠いたとして過失割合が加算される要因となります。

過失割合の修正要素

これまで説明してきた過失割合は「基本過失割合」と個別の事故状況に応じた「修正要素」となります。

これら以外にも「著しい過失」「重過失」が認められると、過失割合が加算されることになります。

著しい過失

「著しい過失」とは、通常想定される不注意のレベルを大きく超えるような過失を指します。

具体的には、次のような行為が該当し、過失割合が5%~20%程度加算される可能性があります。

  1. 脇見運転など著しい前方不注意
  2. 時速15km以上30km未満の速度違反
  3. 酒気帯び運転(呼気中のアルコール濃度が基準値以上だが、正常な運転ができない「酒酔い」には至らない状態)
  4. 携帯電話を操作しながらの運転
  5. 著しいハンドル・ブレーキの操作ミス

重過失

「重過失」は、「著しい過失」よりもさらに悪質で、故意に近いと評価されるような重大な過失です。

これが認められると、過失割合が10%~20%程度加算されることがあります。具体的には、次のような行為が該当します。

  1. 無免許運転
  2. 居眠り運転
  3. 酒酔い運転(アルコールの影響で正常な運転ができない状態)
  4. 時速30km以上の速度違反
  5. 薬物の影響などで正常な運転ができないおそれがある状態での運転

よくあるご質問

ここでは、追突事故の過失割合についてよくいただくご質問にお答えします。

前の車が走行中でも追突事故の過失割合は10:0ですか?

前の車が走行中であっても、原則として追突した後続車の過失が100%です。

「動いている車同士の事故に10:0はあり得ない」と言われることがありますが、これは誤解です。後続車には、前方の車の動きをよく見て、安全な車間距離を保つ義務があるためです。

ただし、前の車が理由なく急ブレーキをかけた場合など、追突された側にも原因がある場合は、そちらにも過失が認められます。

渋滞中でも追突事故の過失割合は10:0ですか?

渋滞で停止している車に追突した場合でも、原則として追突した後続車の過失が100%です。

渋滞による停止は、運転中に十分予測できる事態です。後続車には、渋滞であっても前方車両の動きを常に注視し、いかなる状況でも安全に停止できるだけの車間距離を保つ義務があります(道路交通法26条)。

そのため、前方の車が渋滞で停止したことに対応できず追突してしまった場合、後続車の前方不注意や車間距離の不保持が事故の唯一の原因とみなされるのが一般的です。

高速道路での追突事故の過失割合はどうなりますか?

高速道路は、一般道よりも高速での走行が許容されているため、事故が重大な結果につながりやすい場所です。そのため、運転者にはより高度な注意義務が課せられ、違反した場合の過失は一般道よりも重く評価される傾向にあります。

たとえば、理由のない急ブレーキをかけた場合の過失割合は、一般道では「先行車30%:後続車70%」が基本です。もっとも、高速道路では先行車の危険性がより大きいとされ、過失割合が「先行車50%:後続車50%」程度まで重くなることがあります。

また、高速道路では、原則として駐停車が禁止されているため、やむを得ない理由なく駐停車していたり、故障などで停止した際に停止表示器材の設置を怠ったりした場合は、追突された側の過失が大きく問われることになります。

3台の玉突き事故の過失割合はどうなりますか?

玉突き事故の場合、一番後ろの車両の過失が100%となることが多いです。

ただし、次のような場合は一番後ろ以外の車両にも過失が認められることがあります。

  1. 前の車が急ブレーキを踏んだとき
  2. 真ん中の車が車間距離を十分にとっていなかったとき

なお、真ん中の車が先に前の車に追突していた場合などは、真ん中の車にも過失が生じます。

過失割合に納得できません。どうすればよいですか?

相手方の保険会社が提示する過失割合は、あくまで保険会社の見解であり、最終的な決定ではありません。提示された割合に納得できない場合は、安易に同意してはいけません。

過失割合を変えるためには、「相手方にどのような過失があったのか」を客観的な証拠に基づいて具体的に主張する必要があります。たとえば、ドライブレコーダー実況見分調書防犯カメラ画像などが有効な証拠となり得ます。

これらの証拠を基に、相手方保険会社と交渉することになりますが、交渉がまとまらない場合は、裁判などの法的手続きで最終的な判断を仰ぐことになります。

10:0主張のため自分の保険会社が関与しません。どうすればよいですか?

10:0の事故の場合、ご自身の保険会社は相手方への賠償義務がありません。そのため、ルール上ご自身の保険会社は示談交渉に関与しません。

ご自身で相手方の保険会社担当者と直接交渉することも可能ですが、相手方は専門知識を持ち自社の利益を考えて交渉するため、被害者が納得のいく交渉を進めるのは難しいのが現実です。

最も有効な手段は、弁護士に交渉を依頼することです。

その際、ご自身が加入している自動車保険に「弁護士費用特約」が付帯していないか確認してみてください。

この特約を利用すれば、一般的に300万円まで(法律相談は10万円まで)の費用を保険会社が負担するため、経済的負担なく専門家のサポートを受けられます。

まとめ:悩んだらまずは弁護士に相談

追突事故の過失割合は、原則10:0とされながらも、実際には先行車の「理由なき急ブレーキ」や不適切な「駐停車」など、様々な状況によって修正されることがあります。

また、「著しい過失」や「重過失」といった修正要素も考慮されるため、個別の事案に応じた専門的な判断が不可欠です。

相手方の保険会社が提示する過失割合が、必ずしも正しいとは限りません。提示された過失割合に少しでも疑問を感じたら、交通事故に詳しい弁護士に相談することをおすすめします。

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

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