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もらい事故の慰謝料の金額

最終更新日:2023年3月13日

監修者:よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博

Qもらい事故の慰謝料はいくらもらえますか?
Aもらい事故(被害者に一切過失がない事故)の場合、過失相殺なしで100%の慰謝料がもらえます。そして、慰謝料の基準には①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準(弁護士基準)があり、③裁判基準(弁護士基準)が一番慰謝料が高額となる確率が高いです。

具体的には、頚椎捻挫で6カ月間通院した場合、③裁判基準(弁護士基準)の通院慰謝料は89万円となります。
また、例えば、頚椎捻挫で「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)が認定された場合、③裁判基準(弁護士基準)の後遺障害慰謝料は110万円となります。

もらい事故の慰謝料

もらい事故とは

もらい事故とは、一般に被害者側に一切の過失がない事故をいいます。

では、被害者側に一切過失のない「もらい事故」の場合、慰謝料はいくら払われるのでしょうか?

過失割合の検討

一見もらい事故に見える事故態様でも、被害者側に全く過失がないと判断されるかという点には注意が必要です。過失の判断基準や程度については、裁判所が基準を公表しています。そのため、これらの基準に照らして本当にもらい事故といえるのか、一切の過失がないのかという点は改めて事故状況を検討しなければなりません。

ちなみに、裁判所の基準上、被害者に一切の過失がないとされているものとして代表的なものは次のようなものです。
①後ろから追突された場合
②加害者の赤信号無視により衝突された場合(被害者の対面信号は青)
③歩行者が横断歩道を横断中に車に轢かれてしまった場合

もらい事故に当たる場合

もらい事故に当たる場合、すなわち被害者に一切の過失がない場合は、慰謝料を始め被害者に生じた損害の全額(100%)を加害者側に請求することができます。

例えば、頚椎捻挫で6カ月間通院した場合、裁判基準の慰謝料は89万円となります。また、弁護士が代理して交渉した場合には、89万円または89万円より若干少ない金額となることが多いです。

また、例えば、頚椎捻挫で「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)が認定された場合、裁判基準の慰謝料は110万円となります。また、弁護士が代理して交渉した場合には、110万円または110万円より若干少ない金額となることが多いです。

もらい事故に当たらない場合

もらい事故にあたらない場合、すなわち被害者に一部過失がある場合は、慰謝料のほか治療費や休業損害などを含めて全ての損害から被害者の過失分の金額は減額されます。

ですので、慰謝料の金額を検討する前提として、もらい事故(被害者の過失のない事故)にあたるのかどうかの検討はとても重要です。

もらい事故と慰謝料の注意点

皆様に一番気をつけていただきたいことは、「もらい事故」だからといって、保険会社が適切な慰謝料を自ら支払うわけではないということです。

もらい事故の場合、加害者側には保険会社の担当者が付きます。
一方、被害者はご自身でプロの保険会社担当者とやり取りをしなければなりません。

この時、加害者の保険会社担当者が提示する慰謝料は、裁判基準と比較して低額であることが多いので要注意です。

どういうことでしょうか?

交通事故の損害賠償には、①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準(弁護士基準)という3つの基準があります。
①自賠責基準が一番低く、③裁判基準(弁護士基準)が一番高いことが多いです。

もらい事故で一定期間通院する場合、裁判基準による慰謝料が最も高額になることがほとんどです。

しかしながら、保険会社は、低い任意保険基準等での慰謝料を提示し、裁判基準による慰謝料を提示することは少ないです。ですので、弁護士に相談しないで任意保険基準での慰謝料で示談をした場合、低い基準の慰謝料しか支払われません。

もらい事故で慰謝料の交渉をする場合、①どのような基準により慰謝料が算出されているか、②裁判基準で請求することにより増額する可能性はないかという点を確認しましょう。

重症の場合やより悪質な事故の場合の慰謝料増額

「もらい事故だから慰謝料が増額されるべき」、「もらい事故だから高額の慰謝料が支払われるべき」とお考えの方もいらっしゃいますが正確ではありません。
もらい事故の場合、【基準により算出された慰謝料全額(100%)】を受け取ることができます。ただし、【基準により算出された慰謝料全額(100%)】を超えて支払される訳ではありません。

ただし、もらい事故でなく被害者に過失がある事故の場合、慰謝料を過失分減額されてしまいます。そのため、もらい事故は高額の慰謝料が支払われる傾向にはあります。

では、【基準により算出された慰謝料全額(100%)】を超えて慰謝料が支払されるのはどのようなケースでしょうか?

例えば、①生死が危ぶまれる状態を継続したとき、②麻酔なしで手術等極度の苦痛を被ったとき、③手術を繰り返したとき。④その他傷害の部位・程度が重く重症と認められるとき等は、慰謝料が増額される可能性があります。

また、加害者の運転態様が悪質である場合、例えば、①飲酒・酒気帯び運転、②ひき逃げ等は、慰謝料が増額される可能性があります。

まとめ

  • もらい事故(被害者に一切過失がない事故)の場合、過失相殺なしで100%の慰謝料がもらえます。
  • 慰謝料の基準には①自賠責基準、②任意保険基準、③裁判基準(弁護士基準)があります。
  • ③裁判基準(弁護士基準)が一番慰謝料が高額となる確率が高いです。

(監修者 弁護士 粟津 正博

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