交通事故の被害者家族の慰謝料
最終更新日:2026年03月24日

- 監修者
- よつば総合法律事務所
弁護士 粟津 正博
- Q交通事故の被害者の家族も慰謝料を請求できますか?
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被害者が死亡した場合や重篤な後遺障害を負った場合には、家族も固有の慰謝料を加害者側に請求できる可能性があります。
ただし、すべてのケースで認められるわけではなく、被害の程度や家族が受けた精神的苦痛の大きさなど、一定の条件を満たす必要があります。
この記事では、どのような場合に家族が慰謝料を請求できるのか、その範囲や相場などについて詳しく解説します。

目次

交通事故の慰謝料
交通事故の慰謝料には、大きく分けて「入通院慰謝料(傷害慰謝料)」「後遺障害慰謝料」「死亡慰謝料」の3つの種類があります。
これらは、被害者本人が受けた精神的苦痛に対して支払われるものです。
家族が慰謝料を請求できるケース
被害者本人に支払われる慰謝料とは別に、家族が「固有の慰謝料」を請求できるのは、主に被害者が「死亡」した場合、または「重篤な後遺障害」を負った場合に限られます。
これは、被害者を失ったり、重い障害を負って生活が一変したりすることで、家族も本人と同じくらい、あるいはそれに近い大きな精神的苦痛を受けると考えられるためです。
後遺障害
被害者が亡くならなかった場合でも、家族が慰謝料を請求できるケースがあります。
裁判例では、被害者に残った後遺障害が非常に重く、家族が受けた精神的苦痛が「被害者が死亡した場合に匹敵するほど」と評価されるような場合に、家族固有の慰謝料請求権を認めています。
- 被害者に重度の後遺障害が残り、近親者による常時の介護が必要になった場合
- 交通事故により、被害者が一生回復の見込みがない重い後遺症を負った場合
具体的には、次のようなケースが考えられるでしょう。
このようなケースでは、民法709条、710条に基づき、家族に慰謝料が認められる可能性があります。
死亡
交通事故によって被害者が亡くなられた場合、そのご遺族は加害者に対して慰謝料を請求できます。これは、民法711条に定められた権利です。
最愛の家族を突然失ったご遺族の精神的苦痛は計り知れないものであり、その苦痛を少しでも和らげるために、慰謝料の請求が認められています。
請求できる家族の範囲
慰謝料を請求できる家族(近親者)の範囲は、民法711条で定められています。基本的には次の方々が対象となります。
- 被害者の父母(養父母を含む)
- 被害者の配偶者
- 被害者の子(養子、認知した子、胎児を含む)
さらに、上記の範囲に含まれない方でも、慰謝料請求が認められるケースがあります。
たとえば、婚姻届は出していないものの事実上夫婦として生活していた内縁の配偶者や、被害者と非常に密接な関係にあり、被害者の死亡によって甚大な精神的苦痛を受けたと認められる方(兄弟姉妹や祖父母など)にも、慰謝料請求が認められることがあります。
家族が請求できる慰謝料の相場
家族が請求できる慰謝料の相場は、「自賠責保険」「任意保険」「裁判所」のどの基準を用いるかによって大きく変わります。それぞれの基準について詳しく見ていきましょう。
自賠責保険の基準
自賠責保険は、車を運転するすべての人が加入を義務付けられている強制保険です。被害者救済を第一の目的としており、最低限の補償を確保するための制度といえます。
被害者が死亡した場合
自賠責保険では、亡くなった被害者本人に対する慰謝料とは別に、遺族(近親者)にも慰謝料が支払われます。
遺族に対する慰謝料額は請求する遺族の人数によって次のように定められています。
- 1人の場合:550万円
- 2人の場合:650万円
- 3人以上の場合:750万円
さらに、亡くなった被害者に扶養されていた家族がいた場合は、上記の金額に200万円が加算されます。
被害者に後遺障害が残った場合
自賠責保険の基準では、被害者に後遺障害が残った場合に、近親者に別途慰謝料が支払われることはありません。
しかし、被害者本人の後遺障害慰謝料が、後遺障害の等級に応じて定められており、特に重い等級(第1級~第3級)で被害者に被扶養者がいる場合には、慰謝料が増額される規定があります。
任意保険の基準
任意保険は、自賠責保険だけではカバーしきれない損害を補うために、ドライバーが任意で加入する保険です。任意保険の慰謝料算定基準は、各保険会社が独自に定めており、一般には公開されていません。
金額の傾向としては、自賠責保険の基準よりは高いものの、後述する裁判所の基準よりは低い金額になることがほとんどです。
裁判所の基準
裁判所の基準(弁護士基準とも呼ばれます)は、過去の交通事故裁判の判例を基に作られた基準で、弁護士が示談交渉や裁判を行う際に用います。3つの基準の中では、最も高額になる傾向があります。
被害者が死亡した場合
裁判所の基準では、被害者本人と遺族の慰謝料の総額として、次のような目安が示されています。
- 一家の支柱:2800万円
- 母親・配偶者:2500万円
- その他(独身の男女、子ども、高齢者など):2000万円~2500万円
これらの金額はあくまで目安であり、事故の悪質性(飲酒運転、ひき逃げなど)や、その他の個別具体的な事情によって増減されることがあります。
被害者に後遺障害が残った場合
裁判所の基準では、被害者本人の後遺障害等級に応じた慰謝料とは別に、近親者固有の慰謝料が認められることがあります。
特に、被害者に重度の後遺障害が残り、家族が介護を余儀なくされるなど、精神的苦痛が甚大であると判断された場合に、100万円~300万円程度の近親者慰謝料が認められるケースが多くあります。
ただし、その金額は介護の負担の程度など、個別の事情によって大きく変動します。
よくあるご質問
ここでは、家族の慰謝料に関してよく寄せられるご質問にお答えします。
家族の慰謝料を請求する際に伝えるべきポイントは?
家族固有の慰謝料を請求する際は、家族が被害者の死亡や後遺障害によって「いかに甚大な精神的苦痛を受けたか」を具体的に主張することが重要です。
慰謝料の金額は、様々な事情を総合的に考慮して判断されます。
考慮される事情の例は次のとおりです。
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被害者側の事情
被害の程度、被害者の年齢、職業、家庭内での立場、扶養家族の有無など
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加害者側の事情
加害行為の悪質性(飲酒運転、無免許運転など)、事故後の謝罪や見舞いの有無、示談交渉への態度など
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近親者固有の事情
重い後遺障害を負った被害者の介護を、家族がどれだけ負担しているかなど
これらの事情を具体的に伝えることで、家族の精神的苦痛の大きさを客観的に示し、適切な慰謝料の獲得につなげることができます。
被害者との関係によって金額は変わりますか?
被害者との関係によって、慰謝料の金額が変わる場合があります。
たとえば、死亡事案では、お一人あたり100~300万円程度が家族(近親者)の慰謝料として認められることが多いです。そして、被害者との関係が近いほど、慰謝料額が高額となる傾向にあります。
家族が入院や通院に付き添ったら慰謝料を請求できますか?
単に入院や通院に付き添ったというだけでは、家族固有の慰謝料請求が認められるのは難しいでしょう。入院や通院に付き添った場合には、入院付添費や通院付添費で請求することが多いです。
ただし、付き添いが単なる身の回りの手伝いにとどまらず、被害者に重度の後遺障害が残り、家族が「介護をしなければならない」というレベルの甚大な負担を強いられている場合には、その精神的苦痛に対して近親者の慰謝料が認められる可能性があります。
まとめ:悩んだらまずは弁護士に相談
交通事故で家族が被害に遭われた場合、その精神的なショックや生活の変化は計り知れないでしょう。これまで見てきたように、被害者ご本人だけでなく、家族も慰謝料を請求できる可能性があります。
しかし、慰謝料の算定には複数の基準があり、特に家族固有の慰謝料を請求する場合は、その精神的苦痛の大きさを具体的に立証することが必要です。
保険会社から提示される金額は、必ずしも裁判所の基準に沿った適切な額であるとは限りません。適正な慰謝料を受け取るためには、交通事故に詳しい弁護士に相談することが非常に重要です。
弁護士に依頼すれば、裁判所の基準を前提として保険会社と交渉を進めることができ、最終的に受け取れる金額が増える可能性が高まります。
家族だけで悩まず、まずは一度、交通事故に詳しい弁護士にご相談ください。

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弁護士 粟津 正博













