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自賠責保険認定の最新の統計結果が公表されました

2020年06月05日

先月5月15日に、「2019年度版自動車保険の概況」が、損害保険料率算出機構より発表されました。





統計資料は損害保険料率算出機構HPよりダウンロードできます。





損害保険料率算出機構とは、業務の一つとして、交通事故における自賠責保険の損害調査を行う機関です。例えば、自賠責保険に請求があった治療費や後遺障害の内容について、必要な調査・認定を行っており、重要な役割を担っています。他にも保険の参考純率及び基準料率の算出などを行っています。


実際に、自賠責保険の損害調査を行うのは、各地区の自賠責調査事務所ですので、こちらの名前の方が馴染みがあるかもしれません。なお、千葉県在住の被害者の方の案件を所管する、千葉自賠責調査事務所は、当事務所千葉事務所から歩いて10分程度のところにあります。



この損害保険料率算出機構は、自賠責保険への請求があった場合のデータを収集し、毎年統計を発表しています。交通事故の近況を知るうえで非常に参考になりますので、今回発表があった「2019年度自動車保険の概況」より、私が特に注目した統計結果をご紹介させていただきます。なお、今回公表されたデータは2018年度の実績を集計した結果になります。



1、保険金支払額が減少


自動運転の普及、厳罰化等により、交通事故件数が減少していることはよく知られているところですが、 自賠責保険からの支払保険金も、死亡、後遺障害、傷害いずれの項目でも前年に引き続き減少しているようです。3つの項目の2018年度支払保険金合計額は7643億円でしたが、これは前年度の7960億円から約4%減少しています。


一方で、2018年度に自賠責損害調査事務所で保険金請求を受け付けた件数は1,297,842件でしたが、こちらは前年度と比較して約1.1%の減少となっているようです。


単純比較は出来ませんが、調査事務所への請求件数以上に、支払保険金が減少していることを考えると、調査事務所による認定が厳しくなっている印象を受けます。



2、後遺障害の認定件数が減少


2018年度の後遺障害の認定件数は、53,409件でした。これは、2017年度の55,229件と比較して大きく減少しています(約4.3%減少)。なお、2016年度は59,642件、2015年度は62,009件でしたので、ここ数年で大幅に減少していることが分かります。


後遺障害の認定は、原則として書面審査になりますので、どうしても後遺障害診断書をはじめとする医証の記載の濃淡や有無によって認定に差が出てきてしまうことがあります。後遺障害の申請に際しては適切に医証を揃え、慎重に後遺障害申請を行う必要があると考えます。



3、施術期間および施術日数の平均は引き続き減少


2019年度の整骨院、接骨院等に通院する際の、被害者一人あたりの平均施術期間は103.6日、施術実日数は47.7日でした。


2014年度以降整骨院、接骨院に通院する際の平均施術期間、施術実日数は減少傾向にありますが、昨今の状況に鑑みると今後もこの傾向は続くかもしれません。



以上、今回発表があった「2019年度版自動車保険の概況の内容」について統計結果を一部ご紹介させていただきました。交通事故の実務において自賠責調査事務所の認定は非常に重要ですので、今後も動向に注視していきたいと思います。



(文責:弁護士 粟津 正博

改正民法が交通事故実務に与える影響等について所内勉強会を実施しました

2020年05月27日
令和2年5月19日に、交通事故に関する所内勉強会を実施しました。
当事務所では、交通事故チームのメンバーが中心となって、定期的に交通事故に関する制度の検討会や、取り扱い事例に関する発表を行い、交通事故に関する研鑽に努めております。
今回は、コロナウイルス感染防止のため、チャットワークライブというサービスを使ってweb会議の方法により、以下の内容について、検討・発表を行いました。

民法改正の検討


令和2年4月1日から、改正された民法が施行され、交通事故分野でも大きな影響を受けることになります。

実務上の大きなポイントは、法定利率の修正に伴う損害賠償の計算方法の変更、消滅時効制度の変更ですが、今後具体的な対応方法を弁護士間で検討し、共有しました。

特に消滅時効制度は、損害賠償権が消滅させてしまうという多大な効力があります。今回民法にとどまらず、自動車損害賠償保障法、保険法などを横断的に検討して、時効管理の方法について実践的な議論をしました。

なお、民法改正の詳細につきましては以下の交通事故ブログ記事で先日ご紹介をさせていただきあましたので、併せてご参照ください。



自営業者の逸失利益の検討


自営業者の逸失利益については、確定申告をもとに算定されることが通常です。

この時の計算方法として、減価償却費、損害保険料、地代家賃等の固定経費を割り戻せる(所得金額に加算して計算する)ことができるのかという点が実務上しばしば問題になります。

この点について、減価償却費については割り戻すことを認めた裁判例(他の項目は否定)を紹介し、再度自営業者の逸失利益の計算方法について、逸失利益という損害項目の趣旨から遡って検討しました。

自賠法16条の5に基づく質問


自賠責保険に後遺障害の申請をした場合、自賠責保険から後遺障害の認定票と共に、別紙という紙に認定の理由が記載されて送られてきます。その別紙は通常1枚程度、多くても2∼3枚で、簡素な記載にとどまっていることが多いです。被害者として、どうして当該認定の理由に至ったのか、この点はどのように判断されたのかを知りたい場合には、自賠責保険に質問をし、書面で回答を求めることができます。これは自動車損害賠償法16条の5に根拠が定められています。

今回、同質問を活用した事例(あるいはうまくいかなかった事例)について弁護士間で共有しました。例えば任意保険会社に自賠責保険の認定を争われた場合に、その裏付け資料として質問を行う方法などを検討しました。

(文責:弁護士 粟津 正博

【平成30年度版】千葉県の交通事故多発交差点

2020年05月20日

交通事故が多いと言われて久しい千葉県ですが、令和元年(平成31年)には、交通事故死亡者数があの愛知県を抜き、トップ(最多死亡者数)になってしまったという悲しい現状が発表されました。
この記事では、千葉県の交通事故の最新の状況と、どの交差点での事故が多いかという情報をお届けしたいと思います。



千葉県の交通事故の現状−交差点に注意!


見出しでも述べたとおり、令和元年、千葉県は交通事故死亡者数全国トップになってしまいました。



千葉県は他の都道府県に比べて、「人対車両」の死傷事故率、死亡事故率が多い傾向にあります。



人対車両の死傷事故率が高いということは、人と車が頻繁に行きかう場所=交差点での事故が多いと言えます。実際のデータを見ても、死亡事故の56.8%が交差点で発生しているとされています。





千葉県の市町村別交通事故発生状況−郊外で多し!


千葉県の市町村別での交通事故の発生状況を見ると、千葉市(死亡者数14人、以下市町村名後のカッコ内数字は死亡者数を表す)や船橋市(11人)は人口も多いため死亡交通事故が多いというのは何となくわかりますが、浦安市(3人)、柏市(6人)、市川市(5人)など人口が多いにも関わらず、死亡事故の発生は比較的少ないと言えます。


他方、旭市(6人)、香取市(4人)、八街市(5人)、四街道市(5人)、鴨川市(4人)など、人口がそれほど多くないにもかかわらず、それぞれ4〜6名の死亡者数になっており、こういった郊外での死亡事故発生件数の多さが千葉県の死亡事故件数の多さにつながっていることがわかります。



千葉の令和元年中市町村別交通事故発生状況
(※千葉県警ホームページ「令和元年(平成31年)中の交通事故発生状況」から引用)


千葉県の交通事故多発交差


千葉県においては交差点の事故が多いというのを先ほど紹介しました。では実際にどの交差点での事故が多いのか見てみましょう。日本損害保険協会から平成30年の交通事故多発交差点が発表されているので、日本損害保険協会ホームページの情報をもとにお届けします。令和元年のものは発表され次第、記事の内容をアップデートします(忘れていなければ…)。


※交差点の写真はいずれもgooglemapストリートビューのものを引用しています。


◆ワースト1


千葉西警察署入口交差点
千葉市美浜区真砂2丁目1番1号


ここは交通事故多発交差点ランキング常連でして、平成25年、平成26年、平成28年、平成29年とランキングに入っています。もうそろそろ殿堂入りをしてもおかしくないレベルです。



交差点の様子を見てみると、


千葉西警察署入口交差点


この交差点、どの方面から来ても片道3車線あり、交通量がかなり多いことがわかります。また千葉から東京方面に抜ける主要道路であるため渋滞も日常茶飯事です。加えて、



稲毛(宮野木,園生など)方面から千葉西警察署入口交差点に出る場合の様子


稲毛(宮野木、園生など)方面からこの交差点に出る場合、交差点付近に差し掛かるといきなり右左折直進の規制が登場し、これも事故が多い要因の一つと言えそうです。
「いきなり右折専用って言われても〜!」ってなります。交通量が多いのでここ右折専用だ!と気づいた時に車線変更するのが結構難しいんですよね。





◆ワースト1


千鳥町交差点
市川市千鳥町12番地


平成30年は千鳥町交差点が千葉西警察署入口交差点と並んで1位になりました。



千鳥町交差点は平成29年に続いてランクインしましたが、平成28年までは多発交差点にランクインしていなかったため、近年急に事故が増えだした交差点と言えます。



千鳥町交差点


千鳥町交差点は高速道路の高架下にあり、暗く見通しも良くないです。
また、千葉方面から東京方面に抜ける主要道路であるため、物流関係の車両がかなり多いです。そういった事情もあって、ワースト1位になっていると思われます。



千鳥町交差点を東京湾方面から行徳方面に抜けるor行徳方面から東京湾方面に抜ける場合右折信号がない様子


また、千鳥町交差点を、東京湾方面から行徳方面に抜けるor行徳方面から東京湾方面に抜ける場合、交通量が多いにもかかわらず右折信号がないため、これも事故の要因なのではと勝手に思いました。



◆ワースト3


三角町交差点
千葉市花見川区三角町35番地


三角町交差点は初のランクインです。
大きい交差点ではないものの、変形七差路交差点というわけのわからない状況になっています。その上写真を見てわかるとおり、交差点の見通しが悪いため事故が多いと思われ、この交差点で発生した事故のほとんどが出合い頭衝突となっています。



三角町交差点変形七差路交差点01


三角町交差点変形七差路交差点02


三角町交差点変形七差路交差点03


三角町交差点変形七差路交差点04


まとめ


規模の大小にかかわらず、交差点には常に危険が潜んでいます。
決して慌てることなく心にゆとりをもって運転に臨みたいものです。

(文責:弁護士 前原 彩



交通事故に遭いました。弁護士は事故の様子を撮影していたと思われる防犯カメラの映像を取得する方法はあるのでしょうか?

2020年05月18日

交通事故に遭いました。弁護士は事故の様子を撮影していたと思われる防犯カメラの映像を取得する方法はあるのでしょうか?


「弁護士会照会」という方法で映像を確保する方法や、削除されそうな場合には削除を禁止する仮処分や証拠保全を申請する方法も考えられます。


交通事故 : 弁護士会照会


◆放っておくと消去される可能性がある


近年では道路上やコンビニ、駐車場などのさまざまな場所に防犯カメラが設置されているため、交通事故の状況がこうしたカメラによって撮影されている可能性も高くなっています。


ただ、交通事故の当事者が直接お店などに防犯カメラの開示を求めても、応じてくれない例が多数です。たいてい「警察などの捜査機関か裁判所からの開示命令がないと、開示できません」などと言われます。


しかも防犯カメラの映像は古いものから自動的に消去されるケースも多く、放っておくと重要な交通事故の証拠が消されてしまう危険性が高まります。




◆弁護士会照会について


では防犯カメラの映像が消去されないためにはどのように対処したら良いのでしょうか?


まず考えられるのが、弁護士に依頼して「弁護士会照会」を利用する方法です。弁護士会照会とは、弁護士が「弁護士法23条」という法律にもとづいてさまざまな事項について調査を行う手続きです。弁護士が事件の解決のために弁護士会照会を行った場合、開示請求を受けた人には原則として開示の義務が課されます。


防犯カメラの映像は交通事故の事件処理に必要ですから、弁護士会照会の対象になりえます


照会を受けたカメラの所有者や管理権者は原則として開示に応じないといけないので、防犯カメラの映像の開示を受けられる可能性があります。記録が消去される前に弁護士会照会をすれば、証拠を保全できる可能性があります。




◆仮処分について


カメラの所有者が映像の開示に応じない場合には、カメラの映像消去を禁止する仮処分を申請する方法も考えられます。仮処分とは、権利を保護するために必要な場合において、相手に一定の行為を求めたり禁止したりできる手続きです。


カメラの映像を消去されると依頼者の損害賠償請求権が侵害されるおそれがあるので、その保全のために映像の消去を禁止する仮処分の申請が認められる可能性があります。




◆証拠保全について


裁判所に「証拠保全」を申し立てることにより、直接カメラの映像を保全する手続きも利用できます。


証拠保全を利用すると、裁判官や職員が現地に行って直接カメラの映像を確認し証拠化するのでその後に消去されても失われる心配はなくなります。




交通事故でお困りのことがある場合は、お早めに弁護士までご相談下さい。


(文責:弁護士 辻 悠祐


交通事故が原因で破産しました。賠償金はもらえなくなるのでしょうか?

2020年05月01日

交通事故が原因で破産しました。賠償金はもらえなくなるのでしょうか?


賠償金をまったくもらえなくなるわけではありません。自賠責の保険金や慰謝料、治療費などの損害賠償金については受け取れる可能性が高いです。


交通事故 : 破産


◆損害賠償請求権も破産によって受け取れなくなる


自己破産すると、破産者の財産のうち生活に必要な最低限を超える部分は破産管財人の手に委ねられ、換価されて債権者に配当されます。結果として破産者が持つ多くの財産は失われます。


原則としては「損害賠償請求権」も破産管財人の管理処分下におかれるので、被害者自身が請求することはできなくなりますし、損害賠償金を受け取れなくなります。
このことからすると、交通事故の賠償金も受け取れないことになりそうです。




◆自賠責の保険金は受け取れる


しかし交通事故被害者が破産した場合、すべての賠償金を受け取れなくなるわけではありません。


まず「自賠責保険」への請求権は自己破産によっても失われません。自賠責保険の請求権は「差押え禁止財産」だからです。破産法では、差押えが禁止されている財産や権利は破産財団に組み込まないことにされているので、破産しても破産管財人のもとに管理処分権が移りません。


交通事故後に破産しても、自賠責に保険金を請求して受け取れます。




◆慰謝料の請求権について


人身事故の場合、相手に慰謝料請求できます。慰謝料を請求するかどうかは本人の自由であり、こうした性質の権利を「一身専属権」と言います。


一身専属的な権利は他者に移転しないので、慰謝料についても破産管財人の管理処分下に移らず本人が請求可能です。


ただし本人が受け取れるのは「まだ慰謝料を請求していない場合」に限られます。


破産手続き開始決定前に示談が成立して慰謝料が確定していた場合には、慰謝料も破産管財人に渡さねばなりません。




◆治療費も請求できる


交通事故後、病院に払う治療費は破産者の再起に不可欠なものとして、破産者の受け取りの対象となると考えるのが一般的です。入院雑費についても受け取りが認められると考えるのが一般的です。




◆休業損害や逸失利益について


一方、休業損害や後遺障害が残った場合の遺失利益は、破産財団に組み込まれて債権者への配当に回される可能性が高くなります。


ただし破産者の再生に不可欠な事情を証明できた場合には「自由財産」(財産の換価処分の対象外)として一部の取得を認められる可能性もあります。




◆物損の請求権について


物損の請求権については基本的に自由財産の拡張が認められないので、破産によって没収されることになるでしょう。




交通事故後に破産するときには、どこまで自由財産として認めてもらえるかが非常に重要です。なるべく有利に手続きを進めるため、交通事故に詳しい弁護士までご相談下さい。


(文責:弁護士 辻 悠祐


交通事故の相手方が大型バスでした。車両の大きさによって過失割合は変わるのでしょうか?

2020年04月27日

交通事故の相手方が大型バスでした。車両の大きさによって過失割合は変わるのでしょうか?


相手の車両の大きさや事故状況によっては過失割合が変わる可能性があります。


交通事故 : 過失割合


◆基本の過失割合と修正要素


交通事故が生じたときには「過失割合」が重要です。過失割合が高くなると、過失割合に応じて相手に請求できる賠償金が減額されてしまうからです。


交通事故の過失割合について、別冊判例タイムズ38号では、「四輪車同士の事故」、「四輪車とバイクの事故」などの事故の当事者ごとに「信号機のある交差点での事故」「信号機の色」「信号機のない交差点での事故」「追い越しの際の事故」などの事故の状況に対応する「基本の過失割合」が決められています。
これは、よくある事故類型について、過去の裁判例や判例を参考に過失割合の原則を定めたものになります。もっとも、個別事情によって過失割合は変化しうるため、別冊判例タイムズ38号では、基本の過失割合を修正する要素も定められています。




◆大型車の場合


大型車の事故の場合、大型車であることが事故発生の危険性を高くしたと考えられる態様の事故においては、5%程度過失割合が加算されることがあります。たとえば、交差点に直進進入した車両が交差道路から直進進入した大型車の側面後方に衝突したような事故などです。


大型車であることから一律に過失割合が加算されるわけではない点にご注意ください。




◆その他の過失割合修正要素について


一方当事者が大型車であること以外にも、過失割合の修正要素は多数あります。たとえば以下のようなものが典型例です。



徐行なし
交差点に徐行なしで進入していった場合、過失割合が加算されます。

幹線道路
幹線道路を走っている車の過失割合は減算されます。

一時停止違反
一方に一時停止義務がある場合、一時停止しないで進入した側の過失割合が上がります。

明らかな先入
どちらかが明らかに先に入っている場合、後から入った車の過失割合が上がります。

早回り右折
きちんと交差点の中心を回らず早回りで右折すると危険なので、過失割合が上がります。

大回り右折
交差点で大回りをして右折する行為も危険なので、過失割合が加算されます。




交通事故では過失割合について当事者の意見が合わずもめてしまうケースが非常に多くなっています。納得できない場合には弁護士が適正な過失割合を判定いたしますので、お気軽にご相談下さい。


(文責:弁護士 辻 悠祐


自賠責保険の支払基準が変わります

2020年04月22日

交通事故で損害額を計算する際の基準はいくつかありますが、その中で自賠責保険の支払基準額が令和2年4月1日より改定されました。
改定の経緯としては、令和2年4月1日より民法の一部が改正されて、現行の法定利率年5パーセントから年3パーセントの変動制となることから、それに合わせてライプニッツ係数と呼ばれる係数を変更したり、平均余命年数、物価水準及び賃金水準の変動や近年の保険金等の支払の実態を支払基準に反映させる必要があることから改定されました。
参考にいくつか改定されたものを比較してみます。


項目改正前改正後
入院中の看護料1日につき4100円1日につき4200
自宅看護料・通院看護料1日につき2050円1日につき2100円
休業損害1日につき原則5700円1日につき原則6100円
慰謝料1日につき4200円1日につき4300円


上記のように、微増ですが、被害者に有利な内容に改定されています。
上記以外にも、後遺障害慰謝料や死亡慰謝料、ライプニッツ係数についても被害者に有利な内容で改定されています。
詳細については、下記参考サイトをご覧いただければと思います。




自賠責保険の支払基準が被害者に有利な内容に改定されても、一般的には、裁判(赤本)の基準で計算した方が慰謝料等は高い金額になることが多いです。
たとえば、後遺障害慰謝料で比較すると、後遺障害の等級が第14級の場合、自賠責の支払基準では32万円ですが、裁判(赤本)の基準では110万円です。


人身事故に遭われて今後の対応にお悩みの方や保険会社からの示談金額が適正なのかお悩みの方はぜひ一度ご相談いただければと思います。今後の対応のアドバイスや適正な損害額を計算させていただきます。


(文責:弁護士 辻 悠祐



追突事故に遭い、頸椎捻挫で通院中にまた追突されて首の症状が悪化しました。この場合、自賠責保険を2つ使えると聞いたのですが本当ですか?

2020年04月16日

追突事故に遭い、頸椎捻挫で通院中にまた追突されて首の症状が悪化しました。この場合、自賠責保険を2つ使えると聞いたのですが本当ですか?


本当です。このように、別々の機会に複数の交通事故に遭った場合、自賠責保険は交通事故の数だけ適用されます。このことにより、自賠責保険の限度額が2倍になります。ただし受け取る保険金が2倍になるわけではありません。


交通事故 : 自賠責保険


◆異時共同不法行為とは


本件では、いったん追突事故に遭った被害者が頸椎捻挫(むちうち)になり、再度追突事故に遭って症状が悪化しています。


このように、2つの異なるタイミング(異時)における交通事故(不法行為)によって1つの損害が発生する(共同)ケースを、法律上は「異時共同不法行為」と言います。




◆自賠責保険の限度額と賠償内容について


今回のように、異なる2つの交通事故によって被害者がケガをした場合、自賠責保険上、どのように取り扱われるのでしょうか?(任意保険については後述します)


この場合、第1事故の加害者の自賠責保険と、第2事故の加害者の自賠責保険の両方が適用されることとなるため、自賠責保険の「限度額」が2倍になります。


被害者がケガをしたときに自賠責保険から支払われる治療費・休業損害・慰謝料等の保険金の限度額は、基本的には、総額120万円です。他方、本件のように、複数の事故が絡み、異時共同不法行為となる場合には、この限度額が240万円(120万円×2)となります。


例えば、事故に遭い、治療費として150万円がかかったとします。
この場合、単純な一つの事故だとすると、自賠責保険からは120万円までしか補償されません。他方、異時共同不法行為の場合には、150万円の治療費全額が補償される上、残りの90万円が、休業損害・慰謝料等の枠として残ることとなります。


ただしこれは、「限度額」が2倍になるだけであって、受け取ることができる保険金自身が2倍になるわけではありません。休業損害、慰謝料などの計算方法は変わらず、二重で補償を受け取ることはできません。


なお、仮に後遺障害が認定された場合、後遺障害部分の支払金額も同様に限度額が2倍になります。
後遺障害部分の限度額は、計算方法に比して低く抑えられていることが多く、多くの方の場合「二重受け取り」に近い状況となることが多いです。例えば、通常のサラリーマンの方が頸椎捻挫等で後遺障害が残ってしまい、自賠責保険で14級の後遺障害が認定された場合、後遺障害に関する支払金額(限度額)は75万円ですが、異時共同不法行為の場合には、ほとんどの場合2倍の150万円を受け取ることが可能となるでしょう。(個々のケースによっては、傷害部分と同様に受け取ることができる保険金2倍にならないこともございます。)




◆任意保険の取扱い


上記はあくまでも自賠責保険のお話ですが、加害者が任意保険にも加入している場合には、任意保険会社が対応するのが通常です。
では、2つの交通事故が異時共同不法行為となったとき、任意保険ではどういった取扱いになるのでしょうか?


この場合、2回目の交通事故が起こった時点で、第1事故の任意保険会社が賠償金の支払(治療費・休業補償の支払い等)を中断し、その後は第2事故の任意保険会社が賠償金の支払を引き継ぐといった対応となるのが通常です。


最終的には、治療が終了となり、損害額が確定した段階で、第1事故・第2事故の保険会社間で補償の範囲・寄与度(責任の割合的なものです)を協議し、賠償金が支払われることとなります。




交通事故に遭って誰にどのような請求ができるかわからない場合、お気軽に弁護士までご相談下さい。


(文責:弁護士 村岡 つばさ


人身事故扱いになっている場合と物損事故扱いになっている場合で、後遺障害の認定上、認定がでやすいなどの違いはあるのでしょうか?

2020年04月10日

人身事故扱いになっている場合と物損事故扱いになっている場合で、後遺障害の認定上、認定がでやすいなどの違いはあるのでしょうか?


物件事故扱いのままでも、後遺障害の認定結果には大きな影響は出ないと思われます。
ただし、事故の状況(衝撃の大きさ・車の損傷の度合い等)をしっかりと伝える必要がございます。


交通事故 : 後遺障害


◆物件事故として処理されていても、後遺障害は認定され得る


本当はむち打ち等の怪我をしていても、事故当時には痛みなどを感じなかった、処理の仕方が分からなかった、加害者から「物損扱いにしてほしい」と懇願された、といった理由で、物件事故のまま処理されているケースは多くあります。



このように「本当は人身事故なのに物損事故として処理されている場合」でも、後遺障害の認定はされるのでしょうか?



後遺障害は、事故により怪我を負い、治療をしたにも関わらず、症状が残存してしまった後の話であり、その症状が自賠責保険の定める「後遺障害等級」に該当する場合に認定されるものです。
ここでは、「残存している症状がどの程度か」「症状を裏付ける所見(検査画像等)はあるか」といった点が最も重要になりますので、物件事故のまま処理されているという一事をもって、認定がされないということはありません。
現に、当事務所においても、物件事故として処理がなされたままで、後遺障害の認定がなされたケースは、いくつもございます。




◆物件事故のままでは「軽微な事故」と扱われる?


ネットの記事等には、「物件事故のままだと、後遺障害の認定が厳しい」「絶対に人身事故に切り替えるべき」といった記載がよく見受けられます。



これは、物件事故として処理をされている=「軽微な事故」と扱われ得ることが理由と考えます。本来は、怪我をした→病院で治療を受け診断書を作成してもらう→警察に診断書を届け出る(人身事故として扱ってもらう)という流れを踏むはずなのに、これをしていないのは、「その程度の軽微な事故であった」と扱われるのでは、という問題意識です。



ですが、これは事実ではないと考えます(私見)。



確かに、後遺障害の認定に当たり、どの程度の事故の大きさであったのか(=本人の受けた衝撃がどれくらいであったか)という点は重要な要素です。
しかし、人身事故−物件事故の処理は、あくまでも警察署・刑事手続内の区分にすぎません(物件事故の場合には加害者は刑事罰を受けることがありませんが、人身事故の場合には、刑事罰を受ける可能性があります)。



ここで重要なのは、判断機関に「どの程度の事故であったのか」ということを正確に伝えるという点です。
事故の大きさを客観的に表す資料としては、@ドライブレコーダー、A車の損傷状況の写真、B修理見積書といったものになります。そこで、こういった資料を申請時に提出することにより、事故の程度を正確に伝えることが可能となり、「物件事故のままではあるが、決して軽微な事故ではなかった」ということを伝えることができます。



なお、物件事故のまま後遺障害の申請を行う場合には、判断機関に対し、「人身事故証明書入手不能理由書」というものを提出する必要があり、この書類に「物件事故として処理されている理由」を記載することとなります。




◆人身事故へ切り替える方法


ただ、物件事故−人身事故という処理も、「判断の一要素になり得る」という限りでは否定できませんし、本来、怪我をしているのであれば、人身事故として処理すべきであることは間違いありません。



物件事故から人身事故に切り替えることも可能ですので、心配であれば、人身事故に切り替えることをお勧めします。
ただし、事故から長期間経過していると、警察の方で切替を拒まれる可能性もございますので、もし切替を考えている場合には、お早目に切替をすることをお勧めします。



(よつば総合法律事務所 弁護士 村岡つばさ)


甲、乙、丙の3車両が絡む交通事故があり、過失割合は8対2対0でした。私(丙)は、損害賠償を誰に請求できるのでしょうか?

2020年04月08日

甲、乙、丙の3車両が絡む交通事故があり、過失割合は8対2対0でした。私(丙)は、損害賠償を誰に請求できるのでしょうか?


この場合、甲や乙の保険会社(保険に入っていない場合には甲乙本人)に賠償金を請求できます。甲乙の過失割合には関係なく、どちらにも全額請求することが可能です。


交通事故における共同不法行為


◆3者が関係する交通事故で損害賠償請求できる相手


本件のように3者が関係する交通事故では、誰が事故で発生した賠償金の支払義務を負うのでしょうか?


甲乙両名が連帯して責任を負う

本件では、甲の過失割合が8、乙の過失割合が2、丙の過失割合が0です。


そこで本件の交通事故は「甲と乙が共同して引き起こした」と言え、丙から見ると、甲と乙が「加害者」です。


このように、複数の人によって1つの不法行為が行われた場合を「共同不法行為」と言います。共同不法行為が行われた場合、共同不法行為者は発生した損害全体について「連帯責任」を負います。そこで甲も乙も丙に対して全額の賠償金を払わねばなりません。


甲と乙の過失割合は甲乙間では影響しますが、過失割合が認められない丙との関係では影響しません。


以上より、丙は甲と乙の両名に全額の賠償請求ができます。


甲乙の任意保険会社の責任

甲と乙の両名が連帯責任を負うとしても、具体的に「誰が賠償金を支払うか」は甲や乙の保険加入状況によって異なってきます。


甲や乙が任意保険に加入している場合、丙はそれぞれの任意保険会社に賠償金を請求できます。甲も乙もどちらも保険に加入しているなら、どちらかの保険会社に請求します。どちらかしか入っていなければ加入者の任意保険に請求しましょう。


甲乙本人の責任

甲も乙も任意保険に入っていない場合には、基本的に甲乙本人に賠償金を請求するしかありません。本人らに資力がない場合や本人らが誠実に対応しない場合には、賠償金を払ってもらえないリスクが発生します。


甲乙の自賠責保険

甲や乙が自賠責保険に加入している場合、自賠責保険に対して保険金を請求できます。


一般的な交通事故で後遺障害が残らなかった場合、治療費や休業損害、慰謝料などを「120万円まで」請求できます。今回のように甲と乙の2名が加害者となるケースでは、120万円×2=240万円までの保険金を払ってもらうことが可能です。


一方、自賠責保険の限度を超える損害や、自動車の修理費用等の「物損」については、甲乙本人に請求する必要があります。自賠責保険では物損についての補償が行われません。




玉突き事故などで3者間の交通事故が発生したら、被害者がどう対応して良いかわからず困ってしまう例もあります。迷われたら弁護士までご相談下さい。


(よつば総合法律事務所 弁護士 松本達也)


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千葉県最大級の法律事務所。弁護士15名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
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