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交通事故知識ガイド上肢及び手指

上肢その15 肩甲骨骨折

上肢その15 肩甲骨骨折(けんこうこつこっせつ)

肩甲骨全体図
肩甲骨は、背中側の肩の部分に位置している、比較的薄い、板状の骨です。
他の骨と関節を形成しておらず、他のどの骨よりも自由に動くことができる骨です。
外力に弱い構造ですが、多くの筋肉群に囲まれて補強されています。
肩甲骨周りの筋肉群
肩甲骨骨折は全骨折の1%を占めるとされ、原因の多くは直達外力によります。

肩甲骨骨折のレントゲン1
肩甲骨骨折のレントゲン2

肩甲骨骨折CT画像
交通事故では、地面に肩から叩きつけられるなどの衝撃により、肩甲骨に直接的な打撃を受けることで肩甲骨骨折が発生することが多いです。
肩甲骨の体部の横骨折や縦骨折にとどまることが多いですが、直接強い打撃を受けたときは、鎖骨骨折、肋骨骨折、肩鎖関節等の脱臼骨折を合併することもあります。

肩甲骨は周辺が豊富な筋肉で覆われていることもあり、予後は良好です。手術をすることは少なく、三角巾、ストッキネット、装具等で3週間から6週間程度肩を固定するという保存的治療が施されることが多いです。
その後は、振り子運動などの軽いリハビリ、温熱療法(ホットパック)等の理学療法が実施され、肩甲骨単独の骨折であれば、後遺障害を残すこともなく、3か月程度の治療期間で終了することが多いです。

肩甲骨の関節窩骨折
関節窩(の辺り)が骨折するのは、肩外側からの外力等により割れるという機序で発生します。肩関節脱臼を合併することが多いです。
関節窩骨折で骨片が大きいときは、反復性脱臼を予防するために、観血的に骨片を整復して固定します。烏口突起骨折で転位が大きいときも手術的骨接合術を行うことがあります。肩峰骨折で肩峰が下方に転位したときは、肩峰下インピンジメントや三角巾の機能不全を防止するために手術を行います。肩峰棘骨折が発生し、転位が大きいものは、偽関節になることを防止するために、手術的骨接合術を行います。

肩甲骨骨折における後遺障害のポイント

1)肩甲骨の体部単独骨折にとどまったときは、関節外骨折であることもあり、保存的治療が行われ、長くても3か月程度の治療で、後遺障害を残すことなく、改善が得られています。
ただし、過剰に仮骨が形成され、その結果、肩甲轢音や疼痛を残すこともあります。そうしたときは、12級や14級の後遺障害が考えられます。骨折部の3DCT撮影を行う必要があります。

2)肩甲骨骨折は、鎖骨の遠位端骨折、肩鎖靱帯の脱臼骨折、肋骨骨折に合併して起きることが多いです。肩甲骨骨折に拘ることなく、肩関節全体に視野を広げて、機能障害や変形障害等の検討を行う必要があります。