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後遺障害等級

後遺障害等級について

解説者の弁護士大澤一郎

交通事故の被害にあって残念ながら障害が残ってしまった場合、後遺障害の等級認定を受けることになります。

具体的には医師に後遺障害診断書を作成してもらい、その診断書を元にして後遺障害の等級認定を受けます。

この後遺障害の等級認定というのが、交通事故において適正な補償を受けるために一番重要です。
後遺障害が認定された場合、後遺障害が認定されたことに対する慰謝料と後遺障害が認定されたことによる将来の減収(逸失利益)が補償されることになります。
後遺障害の慰謝料は裁判所の基準ですと110万円前後が最低額の基準です。後遺障害逸失利益は年収や後遺障害の部位にもよりますが、数100万円単位から1,000万円以上となることも多いです。特に、脊髄損傷、高次脳機能障害などで一生働けなくなってしまったような場合には、多額の後遺障害逸失利益が認められます。

このように皆様の補償にとってとても重要なものが「後遺障害認定」なのです。
なお、後遺障害診断書の作成及びその後の後遺障害の認定については、傷病名にもよりますが、通常は事故後6ヶ月経過時及びそれ以降に行うこととなります。

どのような後遺障害を負った場合にどのような等級が認定されるのかについて解説します。

後遺障害等級一覧

後遺障害1級

Q後遺障害1級(別表第2)とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。 
A後遺障害1級(別表第2)とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 両目が失明したもの
  2. 咀嚼及び言語の機能を廃したもの
  3. 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
  4. 両上肢の用を全廃したもの
  5. 両下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両下肢の用を全廃したもの

後遺障害1級の慰謝料について

後遺障害1級の場合、裁判での標準の慰謝料は2,800万円です。

赤い本(令和2年)によると、一番高い事案で4,400万円という事案があります。これは、後遺障害1級であることに加えて、加害者に複数の重大な過失があったこと、被害者が症状固定時に8歳という若年であったこと等を考慮し、両親分の慰謝料各400万円を認めたものです。

後遺障害1級の事案では、裁判例の標準にとらわれることなく、後遺障害の実態や家族の苦労、加害者の悪質性等を主張することによって、後遺障害1級分の慰謝料が増額される可能性があります。

後遺障害等級1級の慰謝料の傾向(赤い本(令和2年)参照)

  • 裁判での標準額 2,800万円
  • 赤い本での最高額(家族の慰謝料との合算) 4,400万円
  • 赤い本での最高額(被害者ご本人のみ) 3,600万円

後遺障害等級1級の場合の注意すべき損害項目

  • 将来介護費用
  • 自宅改造費
  • 近親者の慰謝料
  • 付添看護費(入院付添費・通院付添費)
  • 遅延損害金(後遺障害等級1級の場合には、判決で法定利率(年5%または3%)の遅延損害金が加算されるので高額となります。)
  • 定期金賠償と一時金賠償

など

後遺障害2級

Q後遺障害2級(別表第2)とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。 
A後遺障害2級(別表第2)とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 両眼の視力が0.02以下になったもの
  3. 両上肢を手関節以上で失ったもの
  4. 両下肢を足関節以上で失ったもの

後遺障害2級の慰謝料について

後遺障害2級の場合、裁判での標準の慰謝料は2,370万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で3,450万円という事案があります。これは、後遺障害2級であることに加えて15歳と若年であること、両親・妹が同居で著しい苦労をしていることが理由と思われます。

後遺障害が重い事案の場合(本件のような2級等)には、一般的な相場にとらわれることなく、このような後遺障害慰謝料の増額事由があるのだということを積極的に裁判所等で主張することが大切です。

裁判所は、私たちが主張しない事実をとりあげてくれることはありませんし、保険会社も同じです。繰り返しになりますが、後遺障害が重い事案の場合には、被害者側での証拠集め、主張等の努力が必要なのです。

後遺障害2級の慰謝料の金額等(赤い本(平成30年)参照)

  • 裁判での標準額 2,370万円
  • 赤い本の最高額(家族含む) 3,450万円
  • 赤い本での最高額(ご本人のみ) 3,100万円

後遺障害2級で漏らしやすい損害項目

  • 近親者の慰謝料
  • 自宅の改造費用(介護用)
  • 将来の介護費
  • 入院の付添費、通院の付添費

など

後遺障害3級

Q後遺障害3級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。 
A後遺障害3級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能を廃したもの
  3. 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  4. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
  5. 両手の手指の全部を失ったもの

後遺障害3級の慰謝料について

後遺障害3級の場合、裁判での標準の慰謝料は1,990万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で2,200万円という事案があります。
これは、後遺障害併合3級の事案で、7つの後遺障害が認定された事案です。後遺障害の個数は私たちの経験でも慰謝料額に反映されてきます。

後遺障害の繰り上げについては、ルールが決まっていますので、多数の後遺障害があったとしても、全てが繰り上げの対象となるものではありません。
しかし、後遺障害が複数あるという事実は事実ですので、裁判所もある程度後遺障害の数を考慮した判断をします。(なお、非該当の後遺障害であったとしても、慰謝料増額事由を主張することにより、慰謝料が増額となることがありますので、後遺障害等級非該当であったとしても、あきらめずに主張することが大切です。

後遺障害等級3級の慰謝料の金額について(赤い本(平成30年)参照)

  • 裁判での標準額 1,990万円
  • 赤い本での最高額 2,200万円

後遺障害等級3級の損害額算定で注意をする点

  • 自宅改造費…後遺障害等級3級だと、自宅改造の必要性の有無が争われることが多くなります。
  • 将来介護費…後遺障害等級3級だと、将来介護費が発生するか等について争われることが多くなります。

後遺障害4級

Q後遺障害4級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。 
A後遺障害4級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 咀嚼及び言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力を全く失ったもの
  4. 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
  5. 1下肢をひざ関節以上で失ったもの
  6. 両手の手指の全部の用を廃したもの
  7. 両足をリスフラン関節以上で失ったもの

後遺障害4級の慰謝料について

後遺障害4級の場合、裁判での標準の慰謝料は1,670万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で2,000万円という事案があります。
これは、併合4級の事案で長期入院と数次の手術が行われたこと、長期間休学をしなければならなかったこと、加害者の不誠実な態度等を考慮しています。後遺障害慰謝料の判定にあたっては、一般には、赤い本の金額を標準として判断がなされます。(保険会社は赤い本よりも低い金額の後遺障害慰謝料を提示してくることが多いです。)

しかしながら、同じ後遺障害等級であったとしても、被害の程度は異なるのですから、自らの被害の程度を裁判では、陳述書等の書類できちんと明らかにすることが必要です。後遺障害4級は重い障害ですので、自らの被害を正しく正確に裁判所に伝えることができるかどうかがポイントとなります。

後遺障害等級4級の慰謝料の具体的な基準について(赤い本(平成30年)参照)

  • 裁判での標準額 1,670万円
  • 赤い本での最高額 2,000万円

自宅改造費について

後遺障害4級以下の場合には、2級以上の事案とは異なり、自宅改造費が認められる確率は少ないです。実際に改造をして、その必要性を主張した時に初めて自宅改造費が損害として認められる確率が高いです。

将来介護費について

後遺障害1級、2級と異なり、4級の場合には将来介護費が認められる確率は一般には低いです。

後遺障害5級

Q後遺障害5級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。 
A後遺障害5級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 神経系統の機能または精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  3. 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  4. 1上肢を手関節以上で失ったもの
  5. 1下肢を足関節以上で失ったもの
  6. 1上肢の用を全廃したもの
  7. 1下肢の用を全廃したもの
  8. 両足の足指の全部を失ったもの

後遺障害5級の慰謝料について

後遺障害5級の場合、裁判での標準の慰謝料は1,400万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で1,750万円という事案があります。
これは、後遺障害5級であることに加えて、中学生の被害者が小学校3・4年程度への知能低下が認められたことも考慮した事案です。

1級から5級等の後遺障害等級が高い事案に一般的に言えることですが、慰謝料の要素として、若年であることを後遺障害慰謝料を増額する事由として考慮している印象があります。
もちろん、年齢のみが全てではありませんが、後何年後遺障害で苦しむのかということを後遺障害慰謝料算定の歳に考慮しているのではないかと思います。

後遺障害等級5級の具体的な慰謝料の基準について

  • 裁判での標準額 1,470万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 1,750万円

後遺障害5級と将来介護費について

通常、後遺障害5級の場合には将来介護費は認められません。
しかし、高次脳機能障害の場合には、将来介護費が認められる場合があります。赤い本平成30年版によると、将来介護費の額は後遺障害5級を前提とした事案の場合、日額2,000円~日額3,000円位が多いようです。

後遺障害6級

Q後遺障害6級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。 
A後遺障害6級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 両眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 咀嚼又は言語の機能に著しい障害を残すもの
  3. 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  4. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  5. 脊柱に著しい変形又は運動障害を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
  8. 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指を失ったもの

後遺障害6級の慰謝料について

後遺障害6級の場合、裁判での標準の慰謝料は1,180万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で1,400万円という事案があります。
これは、後遺障害6級であることに加えて、併合6級で他にも障害があること、妻分の慰謝料100万円を認めたこと等が考慮されています。
近親者の慰謝料は重度の後遺障害の場合には認められるというのが一般的な考え方ですが、後遺障害等級6級で家族の慰謝料が認められるケースというのは比較的珍しいのではないかと思います。

ただし、慰謝料については、裁判所に対して主張しなければ絶対に認められることはありませんので、積極的に主張をして、積極的に証拠を集めるということが重要です。

後遺障害等級6級の具体的な慰謝料の金額について

  • 裁判での標準額 1,180万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 1,400万円

後遺障害6級の障害の特徴について

後遺障害等級6級の場合、認定基準が抽象的なので、実際に該当するのかどうかが分からないという障害が多数あります。
また、医師に適切に後遺障害診断書や検査を依頼しないといけないものもあります。

「せき柱の著しい変形又は運動障害」「上肢の関節の用廃」「下肢の関節の用廃」等は基準が極めて複雑ですので、専門家への相談が不可欠です。

後遺障害7級

Q後遺障害7級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。 
A後遺障害7級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 両耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  3. 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  4. 神経系統の機能または精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  5. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
  6. 1手のおや指を含み3の手指を失ったもの又はおや指以外の4の手指を失ったもの
  7. 1手の5の手指又はおや指を含み4の手指の用を廃したもの
  8. 1足をリスフラン関節以上で失ったもの
  9. 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  10. 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
  11. 両足の足指の全部の用を廃したもの
  12. 外貌に著しい醜状を残すもの
  13. 両側の睾丸を失ったもの

後遺障害7級の慰謝料について

後遺障害7級の場合、裁判での標準の慰謝料は1,000万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で1,250万円という事案があります。
また、赤い本(平成30年)には、今後の治療の必要性も加味して、1,200万円の後遺障害慰謝料を認めた事案もあります。症状固定後の将来治療費については、原則として否定されますが、将来も治療が必要という事実を後遺障害慰謝料の増額事由として主張することが認められることがあります。

慰謝料については、一般に裁判官の裁量が大きいので、将来の治療の必要性という事実があれば、医師の診断書・意見書等を証拠で提出して、何の治療がどのくらい必要なのかという事実をしっかりと明らかにすべきです。
昔から「論より証拠」と言います。裁判では証拠が一番重要ですので、医師の診断書は極めて重要です。

後遺障害等級7級の慰謝料の具体的基準

  • 裁判での標準額 1,000万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 1,250万円

後遺障害7級認定のために注意すべき点

後遺障害等級7級にもいくつか抽象的な基準がありますので具体的な基準を理解するなど注意が必要です。
また、偽関節の定義は医師が使用する定義と自賠責の後遺障害認定では異なります。
さらに、「外貌に著しい醜状を残すもの」は医師の判断次第ですが、事故後6ヶ月で症状固定として後遺障害申請をした方がよい場合もあります。

後遺障害8級

Q後遺障害8級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。
A後遺障害8級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼が失明し、又は1眼の視力が0.02以下になったもの
  2. 脊柱に運動障害を残すもの
  3. 1手のおや指を含み2の手指を失ったもの又はおや指以外の3の手指を失ったもの
  4. 1手のおや指を含み3の手指の用を廃したもの又はおや指以外の4の手指の用を廃したもの
  5. 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
  8. 1上肢に偽関節を残すもの
  9. 1下肢に偽関節を残すもの
  10. 1足の足指の全部を失ったもの

後遺障害8級の慰謝料について

後遺障害8級の場合、裁判での標準の慰謝料は830万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で1,200万円という事案があります。
これは、後遺障害8級であることに加えて19歳・女性で人工肛門が必要であること、通常分娩が困難であること、腹部に複数の醜状痕があること等の女性としての特徴を加味した内容となっています。
一般に、男性よりも、女性の方が、醜状痕等については後遺障害として重いものとして評価される傾向にあります。

女性の醜状痕がある場合には、後遺障害等級非該当の醜状痕であったとしても、写真を証拠で提出する等して、慰謝料の増額事由を主張すべきです。

後遺障害等級8級の具体的な慰謝料について

  • 裁判での標準額 830万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 1,200万円

後遺障害8級において注意すべき点

下肢短縮は忘れやすい後遺障害です。医師も検査を見落としがちなのできちんと検査をして、後遺障害診断書に記載してもらいましょう。
また、せき柱の運動障害は、せき柱の変形障害と比べると、裁判で逸失利益等が争われにくくなります。変形障害のみでの後遺障害等級を目指さずに、運動障害があるのであれば運動障害での後遺障害認定を目指した方がよいでしょう。

さらに、偽関節、関節用廃等基準が抽象的な記載にとどまっているものも多くありますので、これらの後遺障害の場合には専門家への相談をした方がよいでしょう。

後遺障害9級

Q後遺障害9級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。
A後遺障害9級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 両眼の視力が0.06以下になったもの
  2. 1眼の視力が0.06以下になったもの
  3. 両目に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  5. 鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
  6. 咀嚼及び言語の機能に障害を残すもの
  7. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
  8. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  9. 1耳の聴力を全く失ったもの
  10. 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
  12. 1手のおや指又はおや指以外の2の手指を失ったもの
  13. 1手のおや指を含み2の手指の用を廃したもの又はおや指以外の3の手指の用を廃したもの
  14. 1足の第1の足指を含み2以上の足指を失ったもの
  15. 1足の足指の全部の用を廃したもの
  16. 外貌に相当程度の醜状を残すもの
  17. 生殖器に著しい障害を残すもの

後遺障害9級の慰謝料について

後遺障害9級の場合、裁判での標準の慰謝料は690万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で830万円という事案があります。これは四肢を含む9箇所の後遺障害が認定されているにもかかわらず、併合処理の関係で、右下肢のみで9級相当と評価される場合と同じ評価になり相当ではないという判断で、後遺症慰謝料が増額された事案です。

後遺障害9級は、実際には相当重い障害ですので、きちんとした証拠を準備して、保険会社ともしっかり戦える体制を準備しておきたいものです。

後遺障害等級9級の具体的な慰謝料の額について

  • 裁判での標準額 690万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 830万円

後遺障害9級の後遺障害の注意点

神経系統の障害(主として高次脳機能障害)は、1級、2級、3級、5級、7級、9級、12級、(14級)という認定基準があります。7級、9級、12級は判断が微妙ですが、何千万円単位で損害額が変わってくることもありますので専門家への事故当初からの相談が不可欠な傷病です。

また、外貌醜状については、医師の判断が最優先ですが、事故後6ヶ月経過時点で後遺障害申請をすることが一番よい結果になることもあります。

後遺障害10級

Q後遺障害10級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。
A後遺障害10級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼の視力が0.1以下になったもの
  2. 正面を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 咀嚼又は言語の機能に障害を残すもの
  4. 14歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
  6. 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
  7. 1手のおや指又はおや指以外の2の手指の用を廃したもの
  8. 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの
  9. 1足の第1の足指又は他の4の足指を失ったもの
  10. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
  11. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの

後遺障害10級の慰謝料について

後遺障害10級の場合、裁判での標準の慰謝料は550万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で800万円という事案があります。
これは、後遺障害10級であることに加えて看護師という職業で両目の麻痺という障害が出ていることを考慮しています。

手・足・目・耳等は、片方のみの後遺障害である場合と、両方の障害である場合で、日常生活や仕事に与える影響が著しく異なることもありますので、いかに双方が障害を受けることにより不利益を受けているかを証拠を付けて主張することが重要です。

後遺障害等級10級の慰謝料の具体的基準について

  • 裁判での標準額 550万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 800万円

後遺障害10級で注意すべき点

後遺障害10級で一番多いのが、上肢、下肢の関節の機能に著しい障害を残す後遺障害です。
これは、計測の数値が基準を満たしていることに加えて、可動域制限の原因がきちんと証明できていることが必要です。

傷病によっては、なかなか画像所見が出なかったり、事故当初には不明であったもの等もありますので、事故当初からの相談により、確実に証明をしていくことが必要です。

後遺障害11級

Q後遺障害11級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。
A後遺障害11級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 両眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 両眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 1眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
  4. 10歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  5. 両耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  6. 1耳の聴力が40センチメートル以上の距離では普通の話声を解することが」できない程度になったもの
  7. 脊柱に変形を残すもの
  8. 1手のひとさし指、なか指又はくすり指を失ったもの
  9. 1足の第1の足指を含み2以上の足指の用を廃したもの
  10. 胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの

後遺障害11級の慰謝料について

後遺障害11級の場合、裁判での標準の慰謝料は420万円です。

赤い本(平成30年)によると、590万円という事案があります。
これは、後遺障害11級(併合)であることに加えて、他にも後遺障害があること、女優兼ホステスの醜状障害があること、加害者側の対応が不誠実であること等を考慮した金額です。

慰謝料を増額させる加害者側の事情としては、飲酒運転、極端なスピード違反、ひき逃げ、不合理な弁解や不合理な主張等の事情が考慮されることがあります。
必ず加害者側の態度が考慮されるわけではありませんが、できるかぎり加害者側の事情も丁寧に証拠を付けて主張することで、慰謝料増額事由が認められることがあります。

後遺障害等級11級の慰謝料の具体的基準について

  • 裁判での標準額 420万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 600万円

後遺障害11級で注意すべきポイント

後遺障害11級で比較的多い障害はせき柱の変形障害です。
変形障害については、レントゲン等の画像を自賠責調査事務所が見て判断します。変形障害がある旨の記載が後遺障害診断書になかったり、レントゲンが撮られていないと、変形障害について判断すらされないこともありますので注意が必要です。
(なお、後遺障害逸失利益等にもかかわってきますので、運動障害がある場合には後遺障害等級の基準を満たさない場合でもきちんと後遺障害診断書に記載してもらうようにしましょう。)

後遺障害12級

Q後遺障害12級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。
A後遺障害12級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼の眼球に著しい調節機能障害又は運動障害を残すもの
  2. 1眼のまぶたに著しい運動障害を残すもの
  3. 7歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  4. 1耳の耳殻の大部分を欠損したもの
  5. 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの
  6. 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  7. 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
  8. 長管骨に変形を残すもの
  9. 1手のこ指を失ったもの
  10. 1手のひとさし指、なか指又はくすり指の用を廃したもの
  11. 1足の第2の足指を失ったもの、第2の足指を含み2の足指を失ったもの又は第3の足指以下の3の足指を失ったもの
  12. 1足の第1の足指又は他の4の足指の用を廃したもの
  13. 局部に頑固な神経症状を残すもの
  14. 外貌に醜状を残すもの

後遺障害12級の慰謝料について

後遺障害12級の場合、裁判での標準の慰謝料は290万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で550万円という事案があります。
これは、右股関節機能障害、右股関節痛(12級)の女性について、後遺障害の程度が10級に近いものであること、将来人工骨頭置換術を余儀なくされる可能性を考慮された事案です。

後遺障害の等級認定に対しては、異議申立の手続きを行うことができます。
異議申立の結果、結果が変わることも有りますので、訴訟提起の前に後遺障害の等級認定結果に納得がいかない場合には、異議申立を検討するのがよいでしょう。

後遺障害等級12級の具体的な慰謝料額について

  • 裁判での標準額 290万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 550万円

後遺障害12級認定の注意点について

関節の機能障害(可動域制限)と、局部の頑固な神経症状が比較的多い症状です。
また、鎖骨・胸骨・肋骨・肩甲骨又は骨盤骨に著しい変形を残すものも比較的多い症状です。

変形障害は後遺障害診断書への記載とレントゲンフィルム等の提出をしないとそもそも後遺障害の審査自体がされないことがありますので注意が必要です。

後遺障害13級

Q後遺障害13級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。
A後遺障害13級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼の視力が0.6以下になったもの
  2. 正面以外を見た場合に複視の症状を残すもの
  3. 1眼に半盲症、視野狭窄又は視野変状を残すもの
  4. 両眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  5. 5歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  6. 1手のこ指の用を廃したもの
  7. 1手のおや指の指骨の一部を失ったもの
  8. 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの
  9. 1足の第3の足指以下の1又は2の足指を失ったもの
  10. 1足の第2の足指の用を廃したもの、第2の足指を服に2の足指の用を廃したもの又は第3の足指以下の3の足指の用を廃したもの
  11. 胸腹部臓器の機能に障害を残すもの

後遺障害13級の慰謝料について

後遺障害13級の場合、裁判での標準の慰謝料は180万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で300万円という事案があります。
これは、労働能力に影響がない障害ですが、30年続けていた能の舞台で演奏する横笛の演奏ができなくなったこと、小鼓が長時間続けられなくなったことを考慮したものです。13級の後遺障害の場合、実際の労働能力があまり喪失していないという事案もあります。

しかし、このように、労働能力の喪失に関係のない後遺障害であったとしても、皆様の被害の状況に応じて、どのような損害が発生したのかをきちんと証明していくことによって、高額の慰謝料が認められる可能性があります

後遺障害等級13級の具体的な慰謝料額について

  • 裁判での標準額 180万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 300万円

後遺障害13級で注意すべきポイント

13級の後遺障害でよくある後遺障害の1つが歯の後遺障害です。歯の後遺障害については、歯科用の後遺障害診断書がありますので、歯科医に記載をしてもらいます。

事故前からあった病状なのか、事故によって発生した病状なのか等をきちんと記載してもらう必要があります。
なお、歯の後遺障害は後遺障害逸失利益等が争われやすいので、13級の労働能力喪失率である9%を維持できるよう主張・立証を積み重ねていく必要があります。

後遺障害14級

Q後遺障害14級とはどのような後遺障害が残った場合でしょうか。
A後遺障害14級とは以下のような後遺障害の1つが残った場合となります。
  1. 1眼のまぶたの一部に欠損を残し又はまつげはげを残すもの
  2. 3歯以上に対し歯科補綴を加えたもの
  3. 1耳の聴力が1メートル以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
  4. 上肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  5. 下肢の露出面にてのひらの大きさの醜いあとを残すもの
  6. 1手のおや指以外の手指の指骨の一部を失ったもの
  7. 1手のおや指以外の手指の遠位指節間関節を屈伸することができなくなったもの
  8. 1足の第3の足指以下の1または2の足指の用を廃したもの
  9. 局部に神経症状を残すもの

後遺障害14級の慰謝料について

後遺障害14級の場合、裁判での標準の慰謝料は110万円です。

赤い本(平成30年)によると、一番高い事案で300万円という事案があります。これは、後遺障害14級の後遺障害認定が3つあるケースです。14級の後遺障害等級がいくつあったとしても、併合等級は14級のままです。
(12級以上の後遺障害が2つ以上あると、併合等級で等級が繰り上げになります。)

後遺障害等級が14級のままであったとしても、認定箇所が1つの場合と2つ以上の場合では、症状の程度は異なります。2つ以上の14級の後遺障害を負った方も最後まであきらめず、後遺障害慰謝料の増額を獲得しましょう。

後遺障害等級14級の慰謝料の具体的な額について

  • 裁判での標準額 110万円
  • 赤い本での最高額(平成30年版) 300万円

後遺障害14級で注意すべきポイント

一番多い後遺障害が14級です。外貌醜状や局部の神経症状は一番よくある症状です。

局部の神経症状(むちうち等)の14級は具体的な細かい認定のための要素がありますので、検査結果をきちんと後遺障害診断書に記載してもらう必要があります。

外貌醜状については、医師の判断によりますが、事故後6ヶ月経過時点で症状固定とした方がよいことが多いです。