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交通事故知識ガイド高次脳機能障害

高次脳機能障害のよくある質問

高次脳機能障害Q&A

高次脳機能障害の症状についてのご質問

高次脳機能障害の症状にはどのような症状がありますか?

A 記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等があります。

記憶障害とは何ですか?

A 次のような症状です。

  • 物の置き場所を忘れる。
  • 新しい出来事を覚えていられない。
  • 何度も同じことを繰り返し質問する。
注意障害とは何ですか?

A 次のような症状です。

  • ぼんやりしていて何かをするとミスばかりする。
  • 2つのことを同時にしようとすると混乱する。
遂行機能障害とは何ですか?

A 次のような症状です。

  • 自分で計画を立ててものごとを実行することができない。
  • 人に指示してもらわないと何もできない。
  • いきあたりばったりの行動をする。
社会的行動障害とは何ですか?

A 次のような症状です。

  • すぐ他人を頼る。
  • 子供っぽくなる。
  • 無制限に食べたり、お金を使ったりする。
  • すぐ怒ったり笑ったりする。
  • 感情を爆発させる。
  • 相手の立場や気持ちを思いやることができず、よい人間関係が作れない。
  • 1つのことにこだわって他のことができない。
  • 意欲の低下
  • 抑うつ

交通事故の各段階に応じたご質問

事故直後にやっておいた方がよいことはありますか?

A ①専門の脳外科・脳神経外科の受診、②MRI画像検査・CT検査をやっておいた方がよいでしょう。

【解説】

治療中にやっておいた方がよいことはありますか?

A 定期的に脳外科・脳神経外科等を受診して、経過を相談しましょう。

【解説】

  • 定期的に専門の脳外科脳神経外科を受診して、病状の進行がないか、ご本人やご家族から見て気になる症状等について相談してください。退院後であっても事故後からの経過を捕捉するためにも定期的に通院することをお勧めします。
  • 症状に応じて、必要な検査を行いましょう。例えば認知機能に関する検査として、ミニメンタルステート検査(MMSE)、長谷川式簡易知能評価(HDS-R)、ウェクスラー成人知能検査(WAIS-R)などがあります。
  • 可能であれば、早期に医師に事故直後の意識障害の程度について明らかにする用紙を作成してもらうと良いでしょう。後遺障害申請をする場合に、資料として提出することができます。
後遺障害申請前にやっておいた方がよいことはありますか?

A 後遺障害診断書の他に後遺障害を裏付ける資料を準備しましょう。

【解説】
後遺障害申請のためには後遺障害診断書を作成して提出することが通常ですが、高次脳機能障害の場合、障害の程度を立証するために以下を追加して準備することが考えられます。

  • 必要に応じて、MRI画像検査CT検査、神経心理学的検査を行い、主治医に医学的に認められる神経系統の障害について用紙(神経系統の障害に関する医学的意見)を作成してもらう。
  • 同居のご家族から見て、気になる症状や事故前と比較して明らかに変わってしまった点について具体的なエピソードをふまえて用紙(日常生活状況報告書)を作成する。
  • 事故直後の意識障害の程度について明らかにする用紙(頭部外傷後の意識障害についての所見)を医師に作成してもらう。
後遺障害認定結果が出た後にやっておいた方がよいことはありますか?

A 認定結果に対しては再度の申請(異議申立)をすることも可能です。被害者ご本人の状態に照らして、結果の妥当であるかを慎重に検討しましょう。

【解説】

  • 高次脳機能障害の等級は、1級から9級まであり、①画像所見(脳の器質的病変を裏付ける所見)、②事故直後の意識障害の程度や、③神経心理学的検査結果、④現在の病状(症状が日常生活や労務にどの程度影響を与えているか)等の諸要素を総合的に勘案して決定されています。
  • 認定された結果(等級)は、その後の損害賠償の内容にも大きな影響を与えることになりますので、被害者ご本人の状態に照らして、結果の妥当であるかを慎重に検討すべきですし、高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談することが望ましいと考えます。
示談前にやっておいた方がよいことはありますか?

A 後遺障害等級の妥当性、賠償金の相当性について慎重に検討しましょう。

【解説】

  • 示談をして示談金を受け取った場合、原則としてそれ以降の損害賠償の請求は認められないことになります。
  • 現在の被害者ご本人の状態に照らして、後遺障害等級が妥当であるか、賠償金の相当であるかを今一度慎重にご検討下さい。
  • 一般的には、保険会社が提示する金額は、裁判所の基準に照らして低額である場合がほとんどです。弁護士に依頼をして、裁判所の基準に引き直して請求をすることで、増額をすることがほとんどです。もし弁護士を依頼せずに示談を検討されている場合は、まずは弁護士に相談することを強くお勧めします。

後遺障害認定についてのご質問

高次脳機能障害として認定される条件は何ですか?

A 現在高次脳機能障害による症状が残存していることのほかに、画像上の脳の器質的病変等高次脳機能障害の原因となりうる所見が必要です。

【解説】
高次脳機能障害の後遺障害の認定については、国土交通省、厚生労働省より慎重かつ適切に審査を行うよう要請がされており、専門医を中心とする自賠責保険(共済)審査会高次脳機能障害専門部会が後遺障害等級を認定される仕組みとなっています。この認定にあたっては、以下の条件を総合的に勘案して審査されています。このうち最も重要なのは画像所見です。

  • 画像所見(脳の器質的病変を裏付ける所見)
  • 事故直後の意識障害の程度
  • 神経心理学的検査結果
  • 現在の病状(症状が日常生活や労務にどの程度影響を与えているか)
画像所見はどのような所見が必要ですか?

A 脳の器質的病変を示す所見が必要です。

【解説】
高次脳機能障害が認定されるためには、脳(脳実質)そのものがダメージを受けことがわかる所見が必要です。例えば脳そのものが損傷したことを示す所見として、脳挫傷、脳損傷、脳幹損傷などがあります。また、脳そのものを損傷していなくとも、脳周辺の器質的病変(硬膜下血腫、くも膜下血種等)があり、脳室拡大・脳委縮等の要因により脳に影響を与えたと認められる場合には後遺障害が認定されることがあります。

意識障害はどのような所見が必要ですか

A 意識障害があることを示す所見が必要です。意識障害の程度が重いほど、重篤な後遺障害が認定されやすいとされています。

【解説】

  • 画像所見に加えて頭部外傷後の意識障害の有無程度持続期間を総合的に勘案して判断がなされます。例えば意識障害が一定時間以上続いていること、又は健忘症軽度意識障害が少なくとも一定期間以上続いていると高次脳機能障害として認定される可能性があります。意識障害の程度が重いほど、重度の高次脳機能障害が残りやすいとされています。
  • 意識障害の程度の測定方法は2つあります。①ジャバンコーマスケール(JCS)は、覚醒の程度によって分類したもので、数値が大きくなるほど意識障害が重いことを示します。1桁で軽症、2桁で中程度、3桁で重症と評価されます。②グラスゴーコーマスケール(GCS)は開眼(E)、言語反応(V)、運動反応(M)の三つについて、点数化をして表したもので、点数が低いものほど、意識障害が重いことを示します。3~15点の間で評価し、13点以上で軽症、9~12点で中程度、3~8点を重症とされます。
  • 意識障害の程度が軽い場合や無いと評価される場合であっても、脳の器質的病変の程度によっては、高次脳機能障害として後遺障害が認定される場合もありますので、もし不明な点がある場合は高次脳機能障害に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。
高次脳機能障害となる可能性がある病名にはどのような病名がありますか?

A 次のような病名です。但し、全ての病名を網羅したものではございませんし、以下の診断名があるからといって必ずしも後遺障害が認定されるわけではありません。

  • 脳挫傷
  • 脳損傷
  • 脳幹損傷
  • 脳内血種
  • 低酸素脳症
  • びまん性脳損傷
  • 外傷性クモ膜下出血
  • 慢性硬膜下血腫(但し予後は良好で後遺障害が残らないことが多いとされます。)
後遺障害等級は何級になりますか?

A 神経系統の障害として1~9級までの後遺障害があります。

【解説】

  • 高次脳機能障害の等級は、労災の基準に準拠して1級から9級まであり、画像所見(脳の器質的病変を裏付ける所見)、事故直後の意識障害の程度や、神経心理学的検査結果、現在の病状(症状が日常生活や労務にどの程度影響を与えているか)等の諸要素を総合的に勘案して決定されています。
  • 上記の要素の中で最も重要なのは、画像上脳の器質的病変が認められるかという点です。これが認められる場合であれば、被害者ご本人があまり症状を自覚しない場合であっても、12級という等級が認定されることがあります。
  • また、被害者ご本人がごくわずかに症状を自覚するのみである場合には14級という後遺障害が認定されることがあります。また、脳の器質的病変が明らかでないにも拘わらず、被害者ご本人が神経系統の症状を自覚している場合に局部の神経症状を捉まえて14級という等級が認定されることがあります。
後遺障害1級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です。

  • 労災認定基準
    高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
    ア 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
    イ 高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するも  の
  • 自賠責高次脳機能認定システムにおける補足的考え方
    身体機能は残存しているが高度の痴呆があるために、 生活維持に必要な身の回り動作に全面的介助を要するもの
後遺障害2級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です

  • 労災認定基準
    高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、随時介護を要するもの
    ア 重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に随時介護を要するもの
    イ 高次脳機能障害による認知症、情意の障害、幻覚、妄想、頻回の発作性意識障害等のため随時他人による監視を必要とするもの
    ウ 重篤な高次脳機能障害のため、自宅内の日常生活動作は一応できるが、1人で外出することなどが困難であり、外出の際には他人の介護を必要とするため、随時他人の介護を必要とするもの
  • 自賠責高次脳機能認定システムにおける補足的考え方
    著しい判断力の低下や情動の不安定などがあって1人で外出することができず、日常の生活範囲な自宅内に限定されている。身体動作的には排泄、食事などの活動を行うことができても、生命維持に必要な身辺動作に、家族からの声掛けや看視を欠かすことができないもの
後遺障害3級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です。

  • 労災認定基準
    生命維持に必要な身のまわりの処理の動作は可能であるが、高次脳機能障害のため、労務に服することができないもの
    ア 4能力のいずれか1つ以上の能力が失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
       ⇀職場で他人と意思疎通を図ることができない
      問題解決能力
       ⇀課題を与えられてもできない
      作業負荷に対する持続力・持久力
       ⇀持続力に欠け働くことができない
      社会行動能力(協調性等)
       ⇀社会性に欠け働くことができない
    イ 4能力のいずれか2つ以上の能力の大部分が失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
        ①実物を見せる、やってみせる、ジェスチャーで示すなどの、いろいろな手段と共に話しかければ、短い文や単語くらいは理解できる
        ②ごく限られた単語を使ったり、誤りの多い話し方をしながらも、なんとか自分の欲求や望みだけは伝えられるが、聞き手が繰り返して尋ねたり、いろいろと推測する必要がある。
      問題解決能力
        ①手順を理解することは著しく困難であり、頻繁な助言がなければ対処できない
        ②1人で判断することは著しく困難であり、頻繁な指示がなければ対処できない
      作業負荷に対する持続力・持久力
        ⇀障害により予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督を頻繁に行っても半日程度しか働けない。
      社会行動能力(協調性等)
        ⇀障害に起因する非常に不適切な行動が頻繁に認められる。
  • 自賠責高次脳機能認定システムにおける補足的考え方
    自宅周辺を1人で外出できるなど、日常の生活範囲は自宅に限定されていない。また声掛けや、介助なしでも日常の動作を行える。しかし記憶や注意力、新しいことを学習する能力、障害の自己認識、 円滑な対人関係維能力などに著しい障害があって、一般就労が全くできないか、困難なもの
後遺障害5級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です。

  • 労災認定基準
    高次脳機能障害のため、きわめて軽易な労務のほか服することができないもの
    ア 4能力のいずれか1つ以上の能力の大部分が失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
         ①実物を見せる、やってみせる、ジェスチャーで示すなどの、いろいろな手段と共に話しかければ、短い文や単語くらいは理解できる
         ②ごく限られた単語を使ったり、誤りの多い話し方をしながらも、なんとか自分の欲求や望みだけは伝えられるが、聞き手が繰り返して尋ねたり、いろいろと推測する必要がある。
      問題解決能力
         ①手順を理解することは著しく困難であり、頻繁な助言がなければ対処できな  い
         ②1人で判断することは著しく困難であり、頻繁な指示がなければ対処できない
      作業負荷に対する持続力・持久力
         ⇀障害により予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督を頻繁に行っても半日程度しか働けない。
      社会行動能力(協調性等)
         ⇀障害に起因する非常に不適切な行動が頻繁に認められる。
    イ 4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
         ①職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためには時々繰り返してもらう必要がある。
    ②かかってきた電話の内容を伝えることに困難を生じることが多い。
    ③単語を羅列することによって、自分の考え方を伝えることができる。
      問題解決能力
        大部分喪失と相当程度喪失の中間
      作業負荷に対する持続力・持久力
        大部分喪失と相当程度喪失の中間
      社会行動能力(協調性等)
        大部分喪失と相当程度喪失の中間
  • 自賠責高次脳機能認定システムにおける補足的考え方
    単純くり返し作業などに限定すれば、一般就労も可能。ただし新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの問題がある。このため一般人に比較して作業能力が著しく制限されており、就労の維持には、職場の理解と援助を欠かすことができないもの
後遺障害7級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です。

  • 労災認定基準
    高次脳機能障害のため、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
    ア 4能力のいずれか2つ以上の能力の半分程度が失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
        ①職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためには時々繰り返してもらう必要がある。
    ②かかってきた電話の内容を伝えることに困難を生じることが多い。
    ③単語を羅列することによって、自分の考え方を伝えることができる。
      問題解決能力
       ⇀大部分喪失と相当程度喪失の中間
      作業負荷に対する持続力・持久力
       ⇀大部分喪失と相当程度喪失の中間
      社会行動能力(協調性等)
       ⇀大部分喪失と相当程度喪失の中間
    イ 4能力のいずれか2つ以上の能力の相当程度が失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
    ①職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためには、たまには繰り返してもらう必要がある。
    ②かかってきた電話の内容を伝えることはできるが、時々困難を生じる。 
      問題解決能力
        ①手順を理解することに困難を生じることがあり、たまには助言を要する。
    ②1人で判断することに困難を生じることがあり、たまには助言を必要とする。
      作業負荷に対する持続力・持久力
        ⇀障害のために予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督がたまには必要であり、それなしには概ね8時間働けない。
      社会行動能力(協調性等)
    ⇀障害に起因する不適切な行動がたまには認められる。一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
  • 自賠責高次脳機能認定システムにおける補足的考え方
    一般就労を維持できるが、作業の手順が悪い、約束を忘れる、ミスが多いなどのことから一般人と同等の作業を行うことができないもの
後遺障害9級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です。

  • 労災認定基準
    通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、社会通念上、その就労可能な職務の範囲が相当な程度に制限されるもの
    ア 4能力のいずれか1つ以上の能力が相当程度失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
    ①職場で他の人と意思疎通を図ることに困難を生じることがあり、意味を理解するためには、たまには繰り返してもらう必要がある。
    ②かかってきた電話の内容を伝えることはできるが、時々困難を生じる。 
      問題解決能力
       ①手順を理解することに困難を生じることがあり、たまには助言を要する。
    ②1人で判断することに困難を生じることがあり、たまには助言を必要とする。
      作業負荷に対する持続力・持久力
        ⇀障害のために予定外の休憩あるいは注意を喚起するための監督がたまには必要であり、それなしには概ね8時間働けない。
      社会行動能力(協調性等)
        ⇀障害に起因する不適切な行動がたまには認められる。
  • 自賠責高次脳機能認定システムにおける補足的考え方
    一般就労を維持できるが、問題解決能力などに障害が残り、作業効率や作業持続力などに問題があるもの
後遺障害12級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です(労災保険の基準が準用されます。)。

  • 労災認定基準
    通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のため、多少の障害を残すもの。
    ア 4能力のいずれか1つ以上の能力が多少失われているもの
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
    ①特に配慮してもらわなくても職場で他の人と意思疎通をほぼできる。
    ②必要に応じ、こちらから電話をかけることができ、かかってきた電話の内容をほぼ正確に伝えることができる。
      問題解決能力
      ⇀多少喪失とわずかに喪失の中間
      作業負荷に対する持続力・持久力
       ⇀多少喪失とわずかに喪失の中間
      社会行動能力(協調性等)
      ⇀多少喪失とわずかに喪失の中間
後遺障害14級になるのはどのような場合ですか?

A 以下の程度を示すものと認められる場合です(労災保険の基準が準用されます。)。

  • 通常の労務に服することはできるが、高次脳機能障害のために軽微な障害を残すもの
    ア MRI、CT等による他覚的所見が認められないものの、脳損傷があることが医学的に見て合理的に推測でき、高次脳機能障害のためわずかに能力喪失が認められるもの。
      意思疎通能力(記銘・記憶力、認知力、言語力等)
    ①特に配慮してもらわなくても職場で他の人と意思疎通をほぼできる。
    ②必要に応じ、こちらから電話をかけることができ、かかってきた電話の内容をほぼ正確に伝えることができる。
      問題解決能力
        ①複雑でない手順であれば、理解して実行できる。
    ②抽象的でない作業であれば、1人で判断することができ,実行できる。
      作業負荷に対する持続力・持久力
       ⇀概ね8時間支障なく働ける。
      社会行動能力(協調性等)
    ⇀障害に起因する不適切な行動はほとんど認められない。
後遺障害非該当になるのはどのような場合ですか?

以下のような場合です。

  • 症状を裏付ける医学的な所見、特に高次脳機能障害に関しては、画像上における脳の器質的病変が認められない。
  • 初診時や救急搬送時の意識障害が認められない。
  • なお、高次脳機能障害としての後遺障害が認められるか否かは、上記事情に加え、被害者ご本人の自覚している症状を総合的に考慮して決せられます。例えば、脳の器質的病変を裏付ける画像上の病変がないにもかかわらず、高次脳機能障害を窺わせる症状がある場合、神経心理学的検査において異常が窺われる場合に「MTBI」「軽度外傷性脳損傷」との診断名がつくことがあります。このような場合であっても、高次脳機能障害を残す可能性について慎重に考慮する必要があるとされています。
  • また、高次脳機能障害と認定できない場合であっても、自賠責保険の趣旨である交通事故被害者保護の観点から、頭痛、失調めまい平衡機能障害、受傷部位の疼痛疼痛以外の感覚障害等、労災保険の認定基準に所定の他の後遺障害として等級認定が可能か否かを適正に検討し、同認定基準に準拠して等級評価を行う取り扱いが妥当であるとされていますので、高次脳機能障害と認定されない場合であっても、神経系統の後遺障害が認定される余地があります。

損害賠償についてのご質問

将来の治療費は認められますか?

A 原則として認められませんが、その支出の必要性・相当性が、医学的に裏付けられる場合は認められます。

【解説】

  • 症状固定状態とは、治療しても症状が改善しない状態を意味するため、症状固定後の治療費については加害者に負担させることはできないということが原則です。もっとも、その支出の必要性相当性が、医学的に裏付けられる場合は認められることがあります。
  • 高次脳機能障害により、重症等級が認定されている場合、その状態に鑑み、将来の治療費が認められるケースが一定数あります。
  • 例えば、遷延性意識障害等の事情により、症状固定後も医療施設による入院が必要な場合、当該治療費が認められることは多いでしょう。事例として、四肢麻痺、意識障害(1級1号)の54歳女性につき、意思疎通が困難で、日常生活には全介助を要すること、拘縮を防ぐためにリハビリテーションを欠かせず、在宅介護への意向のため、自宅改修、導尿や経管栄養の技術を家族が習得する必要があったこと等から症状固定後も、症状悪化を防ぎ、在宅介護への移行準備として入院治療が必要だったとして、症状固定後の治療費468万円余が認められた裁判例(さいたま地判平成21年2月25日判決)等があります。
  • 入院をしていない場合であっても、てんかん等の症状を抱えている場合には、引き続き通院投薬を継続する必要がある場合があります。事例として、高次脳機能障害(5級)の32歳男性につき、症状固定後も、てんかん指導、血液化学検査、精神分析医療法などの治療を受ける必要があり、平均余命46年間分の治療費を認めた裁判例(京都地判平成27年5月18日判決)等があります。
  • 将来の治療費については症状固定後の治療費の解説もご参照下さい。
将来の介護費は認められますか?

A 医師の指示または症状の程度により必要があれば被害者本人の損害として認められます。

【解説】

  • 介護費が認められるか否かの検討に当たっては、自賠責の後遺障害等級が参考になります。すなわち、自賠責で介護が必要とされる等級は1級と2級ですので、これらの後遺障害が認定されている場合には、将来の介護費が認められることが多いでしょう。
  • もっとも実際の裁判例では、3級の事案であっても将来の介護費が肯定されているものがほとんどです、5級事案は肯定例も否定例も混在し、7級以下になってくると認定例が少なくなってくる影響にあるようです。
  • 介護費の認定が問題になる3級以下の高次脳機能障害に関しては、ある程度被害者ご本人が一定程度自立して生活することが可能となるため声掛け看視が介護の中心となります。考慮する要素としては、日常生活の基本動作が一人でどのくらいできるのか、危険の防止(他者加害、火気の取扱等)を図る必要があるか、金銭管理ができるか、通勤通学が一人でできるかといった事情を考慮して決せられています。(令和2年赤い本下巻鈴木秀雄裁判官後遺障害等級3級以下の場合の将来介護費)
  • 将来介護費をめぐっては、その金額について争いになることも多いです。将来介護費の解説もご参照下さい。
家屋改造費は認められますか?

A 被害者ご本人の受傷の内容、後遺障害の程度・内容を具体的に検討し、必要が認められれば相当額が認められることがあります。浴室・便所・出入口の改造費などが認められた例があります。

【解説】

  • 高次脳機能障害により、重症等級が認定され、日常生活動作が制限されている場合、その状態に鑑み、自宅家屋の改造費が認められるケースが一定数あります。
  • 改造方法は浴室便所出入口スロープ開設などバリアフリー化に関するものが多いですが、エレベーターや天井走行リフトなど大規模な改造費用が請求されることもあります。
  • 家屋改造費は金額が高額になることも多く、その必要性について争点になることも多いです。改造の際には、医師や事業者とその必要性についてよく打ち合わせをし、裏付ける資料を残しておくことが望ましいと考えます。
  • 家屋改造費については家屋改造費の解説もご参照下さい。
自動車改造費は認められますか?

A 被害者ご本人の後遺障害の程度に応じて、その必要性・相当性が裏付けられる場合は認められます。介護用自動車の購入費として請求される場合もあります。

【解説】

  • 高次脳機能障害により、重症等級が認定され、車両への乗降車が制限される場合で、通院や通所に自動車が必要な場合にはその状態に鑑み、自動車の改造費が認められるケースが一定数あります。
  • 自動車改造費については自動車改造費の解説もご参照下さい。
休業損害は認められますか?

A 高次脳機能障害の場合認められることが多いでしょう。

【解説】

  • 高次脳機能障害は、特に事故直後は脳の器質的病変・意識障害等を伴い、入院等により経過を慎重に観察する必要性がありますので、学生・無職等の場合を除けば休業損害が認められることが多いでしょう。また、事故から一定期間経過後も、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等の障害を残す場合には、通常の労務に服することが困難なことが容易に想定され休業損害が認められることが多いでしょう。
  • なお、重症の場合や、休職期間が長期にわたる場合、勤務先から一定時期に退職を求められる場合があります。退職する場合、保険会社に提出する休業損害証明書の作成が困難になりますので、退職以降の休業損害の請求方法について予め検討しておくことが望ましいです。
  • 休業損害については次の解説もご参照下さい。
    給与所得者の休業損害の解説
    事業所得者の休業損害の解説
    会社役員の休業損害の解説
    主婦の休業損害の解説
逸失利益は認められますか?

A 高次脳機能障害として後遺障害が認定されている場合、認められることが多いでしょう。

【解説】

  • 高次脳機能障害は、記憶障害、注意障害、遂行機能障害、社会的行動障害等通常労務に必要な能力に影響を与えるものですので、高次脳機能障害として後遺障害が認定されている場合であれば、逸失利益は認められることが多いと考えます。
  • 逸失利益の算出方法については逸失利益の基礎収入の解説をご参照下さい。
入通院分の慰謝料はいくらになりますか?

A 入通院の期間を参照して決定されます。

【解説】

  • 入通院慰謝料は、入院と通院の日数期間によって算定されます。入院及び通院の期間が長期にわたるほど、算定される金額は高額になる傾向があります。受傷直後に脳の損傷出血等が認められる場合、入院を伴うことが通常ですので、入通院慰謝料は少なくない金額になることが多いです。
  • 裁判所は、入通院慰謝料について入院及び通院の期間を参照して定額化して算出することが原則ですが、個別の事情を加味して決定することもあります。例えば裁判所の基準を示した赤い本には「傷害の部位、程度によっては、別表Ⅰの金額を20~30%程度増額する。」「生死が危ぶまれる状態が継続したときなどは、入通院期間の長短にかかわらず別途増額を考慮する」との記載があります。
  • 実際の裁判例を参照しても、傷害の部位程度による増額が考慮されている例として高次脳機能障害を残しているものが散見されます。また、受傷直後にICUにいる期間が長い、意識が1か月以上戻らない期間等の事情により生死が危ぶまれる状態が継続したものとして慰謝料が増額される可能性もあるでしょう。
  • 上記は、裁判所の基準について解説しました。入通院分の慰謝料はこのほかに自賠責基準、任意保険基準があります。入通院慰謝料の解説、3つの基準の違い、具体的な計算方法についてはこちらの解説も参考になさって下さい。
    交通事故と慰謝料の解説
後遺障害分の慰謝料はいくらになりますか?

A 後遺傷害分の慰謝料は、後遺障害の等級に応じて算定されることが一般的です。等級が重くなればその分金額も増額します。

【解説】

  • 高次脳機能障害において後遺障害等級が何級に認定されるか否かによって、慰謝料は変わってきます。以下は裁判基準での標準的な慰謝料額です。

    別表第一第1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの 慰謝料2,800万円
    別表第一第2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの 慰謝料2,370万円
    別表第二第3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの 慰謝料1,990万円
    別表第二第5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に経緯な労務以外の労務に服することができないもの 慰謝料1,400万円
    別表第二第7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの 慰謝料1,000万円
    別表第二第9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの 慰謝料690万円
    赤い本には明示されていませんが、後遺障害の状態・程度によって後遺障害慰謝料が基準額より多くなる例もあります。高次脳機能障害により、重度の等級が認定されている場合、具体的な生活状況を主張立証することで、基準額以上の慰謝料が認定されている裁判例が散見されます。

  • 後遺障害慰謝料の詳細は後遺障害慰謝料の解説もご参照下さい。

高次脳機能障害のその他のご質問

成年後見申立が必要ですか?

A 認知機能の障害の程度によって、成年後見申立が必要な場合があります。

【解説】

  • 高次脳機能障害の場合、事案によっては被害者ご本人の判断能力が欠けているということで成年後見申立が必要となる事案があります。保険会社に保険金請求をする場合や介護施設との契約、自宅改造等の契約にあたっても、判断能力がないと請求等ができませんので、そのような場合にも裁判所への成年後見申立を検討します。
  • なお、成年後見人にはご家族がなる場合や、弁護士等の専門家がなる場合があります。ご家族専門家のどちらがなるかについては全国の裁判所によって運用が若干異なっています。
  • 高次脳機能障害と成年後見申立の詳細は、Q高次脳機能障害の場合成年後見申立が必要ですか?もご参照下さい。
成年後見申立の費用は請求できますか?

A 成年後見申立の費用を請求できる場合があります。

【解説】

  • 成年後見開始の審判手続費用など、成年後見申立にかかった費用について、必要かつ相当な範囲内で請求が認められることがあります。
    事例として、高次脳機能障害(2級)の68歳男性につき、成年後見申立手数料(印紙代)800円の他、郵券3160円、鑑定費用5万円、登記印紙代4000円、診断書作成料4470円を認めた裁判例(水戸地下妻支部判平成21年12月17日判決)があります。
  • 成年後見人が就任した場合、成年後見人の業務の対価として裁判所により一定の報酬が決定されます。同報酬についても損害と認められることがあります。
    参考:成年後見人に関してかかった費用は損害として認められますか?
交通事故と労災で等級が違った場合どうすればよいですか?

A 交通事故の等級の方が軽い場合は異議申し立てを検討しましょう。

【解説】

  • 交通事故の後遺障害等級は、労災基準に準拠して決定されることになっています。したがって、後遺障害の認定基準は交通事故と労災で原則として同じ(但し、交通事故独自の等級も一部あります。)ですが、その場合であっても制度趣旨や認定主体が異なるため、等級が異なる場合が一定数あります。
  • 交通事故の後遺障害等級は原則として書面審査である一方、労災は面接調査を含むため、認定手続きにも一定の違いがあります。事案によりますが、交通事故よりも労災の方が重い等級を認定する傾向があるようです。
  • もっとも、既に述べた通り、準拠する基準は同じはずですから、被害者としては交通事故の等級の方が軽い場合は異議申し立てを検討しましょう。その場合認定理由に照らして、目標とする等級の基準を充足するために必要な資料を検討しましょう。
  • 特に高次脳機能障害については、①症状を裏付ける医証(特に脳の器質的病変を示す画像所見)の問題なのか、②現在の症状の程度の問題なのかを見極めることが必要です。前者の場合は主治医等専門医に照会をすることになります。後者の場合は、ご家族や職場の方等の目から見て問題となる行動等を具体的なエピソードを踏まえてきちんと調査機関に伝えられているか、写真や動画等の追加資料の必要性を含めて検討することになります。
    参考:高次脳機能障害で労災と自賠責で後遺障害等級が異なることはありますか?
加害者の態度に納得できません。どうすればよいですか?

A 必要に応じて、警察・検察官に加害者が無反省であることを訴えたり、慰謝料の増額要素として主張する方法もあります。

【解説】

  • 加害者が、自己の刑責を否定したり、明らかに異なる事実を主張して被害者の過失が大きいことを訴えた場合、被害者としては到底受け入れ難いものです。そのような場合は、加害者の言い分を警察・検察官に伝え、必要な捜査をしてもらう、加害者の過失を確認してもらうという方法があります。加害者の刑事処分を決定するにあたって、被害者の処罰感情、加害者が反省をしているのか、再犯防止に努めているのかという点も考慮されますので、事情を適切に警察・検察官に相談することが大事です。
  • また、加害者が明らかに不自然な弁解を行い、自己の刑責を否定する場合、慰謝料が増額された例もあります。
    参考:Q 高次脳機能障害の被害にあいました。加害者の態度に納得できないのですがどうすればよいですか?
過失割合に納得できません。どうすればよいですか?

A 裁判所の基準に照らして妥当なものか慎重に検討しましょう。

【解説】

  • 現在主張されている、過失割合の根拠を慎重に検討しましょう。特に過失割合については、過去の裁判例を分析して事故類型ごとにまとめた別冊判例タイムズ38「民事交通事故訴訟における過失相殺率の認定基準」(「緑の本」と言ったりすることもあります)を基に判断されることが多いです。同内容に照らして妥当な内容なのか、反論し得る事情はないかを慎重に検討しなければいけません。
  • 過失割合を決めるにあたって事実関係に争いがある場合には、証拠が重要です。ドライブレコーダー等の動画資料や刑事記録を入手して慎重に検討しましょう。
  • なお、過失割合を決める方法についてよくご質問をいただきます。過失割合を決める方法は、①当事者間の合意によって決める、話し合いがまとまらなければ②裁判所等の第三者に決めてもらうということになります。
  • 過失割合については交通事故と過失割合の解説もご参照下さい。
高次脳機能障害の就労支援機関にはどのようなものがありますか?

A ハローワーク、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構、障がい者雇用支援センター、障害者就業・生活支援センター、障害者職業能力開発校などがあります。

【解説】

高次脳機能障害の家族を支援する制度にはどのようなものがありますか?

A ①医療・リハビリは病院、②賠償交渉は弁護士など個別に相談をしながら進めていきましょう。

【解説】

上記Q&Aはわかりやすさを重視した回答となっています。
個別の事情により例外となる場合もあります。
詳細は弁護士までご相談下さい。

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