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交通事故知識ガイド下肢及び足指

股関節の仕組み

股関節の仕組み

股関節-正面

股関節

股関節は、人間が、直立二足歩行する上で、全体重を支えるという重要な役目を担っています。
股関節は、鼠径部(大腿部の付け根)の奥に位置していることから、膝関節や足関節などと異なり、外側から経皮的に触れることができません。

股関節は、骨盤の左右にある、胴体と両足をつなぐ大きな関節です。
大腿骨の先端部分を大腿骨頭と呼びますが、ボールのような丸い形をしています。一方、骨盤側には、これを包み込んで収納するお椀状の受け皿があります。寛骨臼蓋(かんこつきゅうがい)といいます。
股関節の最大の特徴は、「球関節」とも呼ばれていることからも示されるとおりでして、寛骨臼蓋と大腿骨頭の接合部が球状に接合しているということです。このことにより、関節可動域が大きく広がり、多様な動きができるようになっています。

そして、軟骨や関節包が大腿骨頭を取り囲み、さらに靱帯や筋肉が包み込み、そして股関節につながる大小さまざまの筋肉が複雑に連携しながら、股関節を自由に動かし、やはり多様な動きを可能にしています。

股関節の動きと角度(参考可動域)は、次のとおりです。
伸展15度 屈曲125度

内転20度 外転45度

内旋及び外旋45度
膝を曲げての内旋及び外旋45度

股関節が球関節であることが、その複雑な動きを可能にしています。 普段の生活では、無意識的に、上記の基本運動が同時に行われ、複雑で立体的な動作をしています。

股関節の後遺障害認定のポイント

1 脱臼、骨折、軟骨損傷を原因とする股関節の機能障害と痛みの症状が後遺障害の対象です。 骨折後の骨癒合の具合は3DCT画像により、軟骨・関節唇や筋・腱の損傷は、MRIで行います。

2 股関節の主要運動は、屈曲・伸展、外転・内転の2つですが、参考運動である外旋・内旋にも注意を向ける必要があります。

3 ①股関節の可動域制限の機能障害、②股関節に人工骨頭置換術や人工関節置換術をすることによる機能障害、③股関節の痛みの後遺障害が対象となります。

4 股関節の可動域制限の機能障害

8級7号、10級11号、12級7号の可能性があります。

機能障害
8級7号 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級11号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級7号 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの
股関節 主要運動 参考運動
  屈曲 伸展 合計 外転 内転 合計 外旋 内旋 合計
参考可動域(正常値) 125 15 140 45 20 65 45 45 90
8級7号 15 10
10級11号 70 30 45
12級7号 105 45 65

(実際には参考可動域と比較するのではなく、健側の可動域角度と比較します。)

屈曲と伸展
内転と外転

外旋と内旋

股関節の主要運動は、①屈曲と伸展②外転と内転の2種類です。

  • 8級7号が認定されるためには、2つの主要運動の双方で、強直もしくはそれに近い状態(他動では動くが、自動では健側の可動域の10パーセント程度以下)である必要があります。
  • 10級11号が認定されるためには、屈曲・伸展または外転・内転のいずれか一方の主要運動が、健側の2分の1以下に制限されていれば足ります。
  • 12級7号が認定されるためには、やはり屈曲・伸展または外転・内転のいずれか一方の主要運動が、健側の4分の3以下に制限されていれば足ります。
  • 10級と12級においては、8級と異なり、屈曲・伸展または外転・内転のいずれかの可動域制限があれば足りることには、注意が必要です。

主要運動の合計の角度が、健側の2分の1または4分の3をわずかに超えているときは、参考運動が考慮されます。

  • 屈曲・伸展の合計角度が健側の2分の1+10度または4分の3+10度のときは、参考運動の外旋・内旋の合計角度が健側の2分の1または4分の3以下に制限されている場合は、10級11号または12級7号に当たります。
  • 一方、外転・内転の合計角度については、健側の2分の1+5度または4分の3+5度のときは、参考運動を考慮します。

5 股関節に人工骨頭置換術や人工関節置換術をすることによる機能障害

10級11号に認定されることが多いです。ただし、人工骨頭または人工関節を挿入置換し、かつ主要運動のいずれか一方の可動域角度が健側の2分の1以下に制限されたときは、8級7号になることがあります。

6 股関節の痛みの後遺障害

「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)、「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)となる可能性があります。

参考リンク