脳挫傷や外傷性くも膜下出血、左鎖骨遠位端骨折、骨盤骨折(併合6級)の40代の男性会社員が、裁判にて5296万円を獲得した事例

最終更新日:2023年04月21日

監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
大澤 一郎
当初の提示額なし
最終獲得金額
5296万円
5296万円 増額
千葉県鎌ケ谷市・40代・男性・会社員
病名・被害
脳挫傷・外傷性くも膜下出血・鎖骨遠位端骨折・骨盤骨折
けがの場所
頭部鎖骨・肩甲骨・肋骨・胸骨骨盤骨手・肩・肘足・股・膝
最終獲得金額
5296万円
後遺障害等級
6~8級12級
事例の特徴
高次脳機能障害

事故の状況

事故現場は信号のない十字路交差点です。佐々木さん(仮名)はバイクでまっすぐ進んでいました。すると、右から車が飛び出してきます。

佐々木さんのバイクと加害者の車はぶつかりました。

ご相談内容

佐々木さんは、脳挫傷や外傷性くも膜下出血、左鎖骨遠位端骨折、骨盤骨折などのけがをしました。重傷です。

5か月ほど入院したあとに、1年6か月ほどの通院を継続しました。しかし、症状は完治せずに症状固定となります。

後遺障害の申請前に弁護士に依頼

佐々木さんは、後遺障害の申請前に弁護士に相談します。今後の後遺障害の申請で適正な等級にして欲しかったからです。

弁護士のアドバイスも聞いたうえで、佐々木さんは弁護士に頼むことにしました。

脳挫傷

弁護士の対応と結果

後遺障害は6級

弁護士は後遺障害の申請をしたところ、次のとおり6級となりました。

  1. 高次脳機能障害について「神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの」(7級4号)
  2. 肩関節の動く範囲の制限について「一上肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」(12級6号)
  3. 股関節の動く範囲の制限について「一下肢の三大関節中の一関節の機能に障害を残すもの」(12級7号
  4. あわせて併合6級

保険会社との交渉は不成立

弁護士は保険会社との交渉をスタートします。

しかし、佐々木さんのけがの重さに比べて、保険会社が提示する金額はあまりに少ないものでした。保険会社との交渉は成立しませんでした。

裁判を起こして5296万円を獲得

弁護士は佐々木さんと相談のうえ、裁判を起こします。

そして、地方裁判所の判決ではおおむね佐々木さんの主張を認める判決となりました。しかし、納得できない部分もあったため、高等裁判所への不服申し立てをします。

最終的には、高等裁判所にて5296万円を受け取る合意が成立しました。

解決のポイント

1. 減収が少なかったものの67%の労働能力喪失率を獲得

佐々木さんの後遺障害は、業務に大きな支障を与えていました。しかし、佐々木さんが努力したことや勤務先の配慮もあり、減収はそれほど多くはありませんでした。

そのため、保険会社は逸失利益について低い金額を主張します。具体的には、将来の収入減の見込みを50%と主張します。

しかし、6級の標準的な収入減の見込みは67%です。そこで、弁護士は次のような事情を主張します。

  1. 佐々木さんの業務には現実的な支障が出ていること
  2. 本人の努力で減収になりにくいようカバーできているに過ぎないこと
  3. 職場の配慮で減収になりにくいようカバーできているに過ぎないこと

最終的には、6級の標準的な収入減の見込みである67%で合意することができました。逸失利益の金額も大幅に増えました。

2. 将来の治療費の獲得

佐々木さんは股関節に障害を負いました。約20年後に人工関節置換術の手術をする必要があります。

そのため、診断書などで手術の必要性を立証したうえで、費用を保険会社に裁判にて請求しました。

その結果、将来の手術費約100万円を裁判所は認めました。

3. 後遺障害慰謝料の増額

6級の標準的な後遺障害慰謝料は1180万円です。

しかし、加害者は無免許運転でした。しかも、事故後に佐々木さんを救護せずに逃走しています。

そのため、加害者の供述調書を含めた刑事記録を証拠として提出し、後遺障害慰謝料の増額を弁護士は主張します。

最終的には、100万円増額して後遺障害慰謝料は1280万円となりました。

ご依頼者様の感想

裁判で私が主張したい事、気持ちを熱心に聴き取り、汲み取っていただきました。最初に伺ってから4年近い年月が経ちましたが、最後まで変わらない姿勢で寄り添っていただき、本当にありがとうございました。

(千葉県鎌ケ谷市・40代・男性・会社員)

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本事例へのよくある質問

Q脳挫傷や外傷性クモ膜下出血はどのような後遺障害になりますか?

症状の程度などに応じて1級から14級となります。

等級 認定基準
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの
Q骨盤骨折はどのような後遺障害になりますか?

骨盤骨折は次のような後遺障害になります。

  1. 可動域制限の機能障害
    • 1下肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの(8級7号)
    • 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(10級11号)
    • 1下肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの(12級7号)
  2. 痛み
    • 局部に頑固な神経症状を残すもの(12級13号)
    • 局部に神経症状を残すもの(14級9号)
  3. 人工骨頭置換術又は人工関節置換術を行った場合
    • 1下肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの(10級11号)
  4. 変形障害
    • 1下肢を5センチメートル以上短縮したもの(8級5号)
    • 1下肢を3センチメートル以上短縮したもの(10級8号)
    • 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨又は骨盤骨に著しい変形を残すもの(12級5号)
    • 1下肢を1センチメートル以上短縮したもの(13級8号)
監修者
よつば総合法律事務所
弁護士
大澤 一郎

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