後遺障害・慰謝料など交通事故は実績豊富な弁護士事務所にご相談下さい
メニュー

解決事例

事例053頚椎捻挫・腰椎捻挫

会社員が14級9号の認定を受け480万円を獲得した事例

最終更新日:2023年06月01日

文責:弁護士 大澤 一郎

保険会社提示額 : 400万円

解決額
480万円
増額倍率 :1.2
病名・被害
  • むちうち(首・腰)
怪我の場所
  • 腰・背中
後遺障害等級
  • 14級

事故発生!自動車自動車の事故

追突事故
平成19年某月、齊藤さん(仮名・八柱在住・40代・男性)が赤信号のため停車している自動車の助手席に乗っていたところ、後方より進行してきた自動車に追突されるという被害にあいました。

相談から解決まで

事故により、齊藤さんは、頸椎捻挫及び腰椎捻挫の傷害を負いました。約1年間の通院治療の後、後遺障害の申請を行い、頸椎・腰椎ともにそれぞれ14級9号の後遺障害が認定されました。

当初は弁護士に依頼せず、ご自分で調停を申し立て、相手方保険会社と交渉を続けた結果、相手方は400万円を支払うという提案をしてきました。しかし、齊藤さんは金額に納得がいかず、その段階で当事務所にご相談いただき、当事務所が受任しました。

訴訟提起したところ、裁判所から当方の主張を概ね認め、遅延損害金の一部も考慮した和解案の提示があり、480万円を受領するという内容で、裁判上の和解が成立しました。

なお、齊藤さんの加入する保険に弁護士費用特約がついていたので、齊藤さんご自身で弁護士費用をご負担いただくことはありませんでした。

当事務所が関わった結果

当事務所が訴訟提起した結果、賠償額が80万円増額しました。

解決のポイントは以下の点です。

1逸失利益について

裁判において、逸失利益につき、事故後の減収がなかったため、そもそも逸失利益は存在しないのではないかという点が争われました。 この点、当方は、業務への具体的な支障や今後の昇進・昇級への影響等を、会社の上司の協力を得ながら、丁寧に主張立証していきました。 その結果、裁判所において、事故後の減収は認められないものの、当方の主張する逸失利益の満額が認められました。

2遅延損害金について

齊藤さんは、弁護士に依頼する前に、ご自分で調停を申し立てて相手方保険会社と半年以上もの間交渉を行っていましたが、その段階では、相手方は遅延損害金については一切認めないと主張していました。 当事務所が受任し訴訟を提起したところ、裁判所から遅延損害金の一部を考慮した和解案が出され、結果として相手方も遅延損害金の一部を支払うことに合意しました。

依頼者様の感想

満足のいく結果となり、感謝しております。

※プライバシー保護のため、地名については実際にお住まいの場所の近隣ですが実際とは異なる場所を記載してあることがあります。

本事例へのよくある質問

事故後に収入が減っていないのであれば、将来の労働への影響は発生していないという指摘は一理あるような気もします。裁判所は事故後に収入が減っていない場合、どのような要素を考慮して逸失利益の金額などを考えるのでしょうか?
そもそも逸失利益を含めた損害という概念が何かということについては、従来活発な議論が繰り返されてきています。

例えば損害を、もし加害原因がなかったならばあるべき利益と、加害がされた現在の利益の差であると考える「差額説」という考え方によると、後遺障害が残ってしまった財産上の損害については、後遺障害がなければ得られた収入と、後遺障害が残った状態で得られ、あるいは得られると考えられる収入を控除した差額が損害であると考えることになります。

この考え方を貫くと、差額が発生しない(減収がない)のであれば、基本的に損害は発生しないという結論になります。

もっとも、後遺障害における特に逸失利益(将来の労働への影響)は、将来に渡る長期間の損害の発生を予測するというものであるため、現在の事実のみから将来を予測することは困難です。

現在の関連する裁判例を分析すると、差額がない場合に損害はないと一刀両断に決めるのではなく、差額がないことはもちろん考慮に入れた上で、下記要素などを総合的に考慮して逸失利益の有無を判断しています。
  • ①現在及び将来の昇進や昇給における不利益があるか否か
  • ②後遺障害の部位・内容・程度と被害者の業務の具体的内容との対応関係からみて業務への支障があるか否か
  • ③従前の業務に支障が生じたために配置転換などを余儀なくされたなどの事情があるか否か
  • ④勤務継続の不確実性に関する被害者側の事情として退職・転職の可能性があるか否か
  • ⑤勤務先側の事情として勤務先の規模、業績、雇用環境や勤務先を取り巻く状況はどうか
  • ⑥被害者の我慢・忍耐による勤務継続のほか、後遺障害による症状自体を軽減させる努力、業務上のハンディキャップをカバーするための努力及び職種を変更し、あるいは業務自体をレベルアップさせる努力をしているか否か
  • ⑦勤務先の配慮や温情に支えられているか否か
  • ⑧生活上の支障があるか否か
今回の事例は、上記立証を丁寧に行い裁判所がこれを認めたという事案です。

あわせて読みたい